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第一章 魔法の剣
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二人は炎の魔神に捕まる前になんとかギリギリ悪魔の塔に入ることができた。対して炎の魔神は悪魔の塔には近づくことができずにいた。あの、イエティ同様でガーディアンは塔に近づけないのだ。
二人はとりあえず息を整えることからした。
塔の柱は天使の塔とは違い柱が悪魔の彫刻になっている。
壁には絵が描かれており、沢山の剣と、その中から一つを引き抜こうとしている悪魔がいる。
太陽が天にあり、細かく一つ一つの剣に影まで描かれてあるが、よく見ると悪魔が手にしている剣にだけは影がなかった。
これが、ヒントということか。
その横には文字が書かれてある。
悪の心持つものは真がどれか見抜けない。
どういうことだろうか? 悪い心の持ち主は真の魔法の剣を手にすることは出来ない、という意味にしか見えないが。
「エド」
「なに?」
「あなたは無力ではないわ。あの化け物を目の前にして勇敢に戦おうとするなんてのは馬鹿よ。あなたはそうではなかった。自分の実力を知っている。だから、あなたは臆病なんかじゃない」
「どうしてその話しを僕にするんだ?」
「だってあなた、泣いてるんだもん」
「え?」
指摘されて初めて涙を流していたことに気づく。
「あの商人は救えなかった。でも、私達のせいではないわ」
だが、結果的にはその犠牲のおかげで僕らはこうして生き延びていた。
これも運というのか。
それはあんまりだった。運で人の生死がわかれていいのか。
だが、一方でこの世界は実力、能力が全てではなかった。それが現実だった。
現実というのは残酷であり、僕らの理想はこの世界ではほど遠く、現実にすることが出来ない。
ここでも、人はあっさりと死んでしまう。
「あたなが無謀に戦おうとしたら私はあなたを見捨てて逃げていたわ」
ミアは素直にそう僕に言った。
皆、自分の命が大事。それは自分にも当てはめるべきなのだろう。自分を犠牲にするヒーロー像は今や規制対象だ。今は命は大事だと教育している。
それは戦争で多く失ってから知ったのだろう。
「さぁ、行くわよ」
ミアはそう言ってこの塔の中にある階段を探しに向かった。
塔に入って最初の部屋の構造は初めて見た天使の塔と基本的に広さは変わらないが、ひとつ違うのは部屋が今回一つではないということだ。
奥にも部屋があり、そこに螺旋階段はあった。
螺旋階段を二人は降りていく。その下は暗く、ミアが持つランタンがたよりだった。
螺旋階段を降りていくと、洞窟は続いており、その先でトロッコが現れた。レールが暗闇で先がどうなっているか分からない。
ミアは当たり前かのようにトロッコに乗り、ランタンをトロッコに固定した。
「え、乗るの?」
ミアはこくりと頷いた。
ミアを信じていないわけではない。ミアの言う通りに一緒にトロッコに入ると、ミアは横に伸びるレバーを退いた。
ガチャとなにか外れたような金属音がすると、トロッコは動き出した。
そうか、傾斜になっているんだ。
トロッコはどんどんスピードをあげて暗闇の中を進んでいく。
急にカーブにさしかかり、体がそちらへと持っていかれる。
トロッコが走る場所の横幅はギリギリで、気をつけないと壁にぶち当たりそうだ。
すると、いきなり狭いところから広い場所に出た。
とても大きな空洞だ。風が吹いており、海水が臭う。
そしてまた狭いところに入っていくと、何故かガタガタと振動した。
トロッコの外を見ると、レールがない。
トロッコはレール無しで勢いは失速しきれずに走り続けている。
「ミア!」
「レールが途中で外されている……」
「トロッコを止めなきゃ!」
そう言ってトロッコのブレーキの役割をするハンドルを見ると、そのハンドルが何故か外れてなくなっている。
「あれ?」
「さっきブレーキかけようと思ったの」
「それじゃ……」
トロッコは遂に二人を乗せたまま飛び跳ね始めた。まるで、バッタだ。
「ぎゃあああ!!」
「いやあああ!!」
二人は思いっきり叫び続けた。
そして、トロッコは横転し二人は投げ飛ばされ、気づいたら上に登る螺旋階段のそばに到着していた。
「だ、大丈夫?」とエドは腰を痛めながらも起き上がった。
「なんとか……死ぬかと思った」
「フッ」
エドは思わずおかしくなって吹き出してしまった。
ミアもおかしくなったのか、暫く二人はその場で笑い続けていた。
ようやく笑いが止まると、二人は螺旋階段を登り始めた。
「この上が天使の塔なんだね」
「そうよ」
螺旋階段を登りきると、先程入ってきた悪魔の塔と構造が同じで、柱に天使が彫刻されてあった。
だが、残念なことに壁には赤い塗料がかけられており、見えないようになっていた。
「誰かがやったんだ」
何故かは分からないが、エドは確信的に言った。
ミアもそう思ったようで「レールもよ」と付け加えた。
二人はとりあえず息を整えることからした。
塔の柱は天使の塔とは違い柱が悪魔の彫刻になっている。
壁には絵が描かれており、沢山の剣と、その中から一つを引き抜こうとしている悪魔がいる。
太陽が天にあり、細かく一つ一つの剣に影まで描かれてあるが、よく見ると悪魔が手にしている剣にだけは影がなかった。
これが、ヒントということか。
その横には文字が書かれてある。
悪の心持つものは真がどれか見抜けない。
どういうことだろうか? 悪い心の持ち主は真の魔法の剣を手にすることは出来ない、という意味にしか見えないが。
「エド」
「なに?」
「あなたは無力ではないわ。あの化け物を目の前にして勇敢に戦おうとするなんてのは馬鹿よ。あなたはそうではなかった。自分の実力を知っている。だから、あなたは臆病なんかじゃない」
「どうしてその話しを僕にするんだ?」
「だってあなた、泣いてるんだもん」
「え?」
指摘されて初めて涙を流していたことに気づく。
「あの商人は救えなかった。でも、私達のせいではないわ」
だが、結果的にはその犠牲のおかげで僕らはこうして生き延びていた。
これも運というのか。
それはあんまりだった。運で人の生死がわかれていいのか。
だが、一方でこの世界は実力、能力が全てではなかった。それが現実だった。
現実というのは残酷であり、僕らの理想はこの世界ではほど遠く、現実にすることが出来ない。
ここでも、人はあっさりと死んでしまう。
「あたなが無謀に戦おうとしたら私はあなたを見捨てて逃げていたわ」
ミアは素直にそう僕に言った。
皆、自分の命が大事。それは自分にも当てはめるべきなのだろう。自分を犠牲にするヒーロー像は今や規制対象だ。今は命は大事だと教育している。
それは戦争で多く失ってから知ったのだろう。
「さぁ、行くわよ」
ミアはそう言ってこの塔の中にある階段を探しに向かった。
塔に入って最初の部屋の構造は初めて見た天使の塔と基本的に広さは変わらないが、ひとつ違うのは部屋が今回一つではないということだ。
奥にも部屋があり、そこに螺旋階段はあった。
螺旋階段を二人は降りていく。その下は暗く、ミアが持つランタンがたよりだった。
螺旋階段を降りていくと、洞窟は続いており、その先でトロッコが現れた。レールが暗闇で先がどうなっているか分からない。
ミアは当たり前かのようにトロッコに乗り、ランタンをトロッコに固定した。
「え、乗るの?」
ミアはこくりと頷いた。
ミアを信じていないわけではない。ミアの言う通りに一緒にトロッコに入ると、ミアは横に伸びるレバーを退いた。
ガチャとなにか外れたような金属音がすると、トロッコは動き出した。
そうか、傾斜になっているんだ。
トロッコはどんどんスピードをあげて暗闇の中を進んでいく。
急にカーブにさしかかり、体がそちらへと持っていかれる。
トロッコが走る場所の横幅はギリギリで、気をつけないと壁にぶち当たりそうだ。
すると、いきなり狭いところから広い場所に出た。
とても大きな空洞だ。風が吹いており、海水が臭う。
そしてまた狭いところに入っていくと、何故かガタガタと振動した。
トロッコの外を見ると、レールがない。
トロッコはレール無しで勢いは失速しきれずに走り続けている。
「ミア!」
「レールが途中で外されている……」
「トロッコを止めなきゃ!」
そう言ってトロッコのブレーキの役割をするハンドルを見ると、そのハンドルが何故か外れてなくなっている。
「あれ?」
「さっきブレーキかけようと思ったの」
「それじゃ……」
トロッコは遂に二人を乗せたまま飛び跳ね始めた。まるで、バッタだ。
「ぎゃあああ!!」
「いやあああ!!」
二人は思いっきり叫び続けた。
そして、トロッコは横転し二人は投げ飛ばされ、気づいたら上に登る螺旋階段のそばに到着していた。
「だ、大丈夫?」とエドは腰を痛めながらも起き上がった。
「なんとか……死ぬかと思った」
「フッ」
エドは思わずおかしくなって吹き出してしまった。
ミアもおかしくなったのか、暫く二人はその場で笑い続けていた。
ようやく笑いが止まると、二人は螺旋階段を登り始めた。
「この上が天使の塔なんだね」
「そうよ」
螺旋階段を登りきると、先程入ってきた悪魔の塔と構造が同じで、柱に天使が彫刻されてあった。
だが、残念なことに壁には赤い塗料がかけられており、見えないようになっていた。
「誰かがやったんだ」
何故かは分からないが、エドは確信的に言った。
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