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第一章 魔法の剣
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「あの、一つ聞いても」
「なに?」
「何故、悪い魔女は影か足跡がなくなるんですか」
「悪い魔女って地に足がついてないから」
川に向かって歩き続ける二人。少女の名前はミアという。
可愛らしい顔をしている一方魔女である。
「魔法には水が必要だと言うけど、その川はどうなの?」
雪山と燃える山の間に境界線のように存在する川を見ながらエドは聞いた。
「あの水は駄目。間違っても飲んだりしないでよ」
「わ、分かった」
まるで僕のお姉さん的なポジションだ。僕はその魔女の言いなりだ。
川のそばまで行くと、川幅は広いものの深くはなかった。川の水は透き通っており綺麗で、しかし、その川で泳ぐ魚は一匹も見られない。
「そんなに深そうな川でもないし、川の流れも急ではないから、渡れそうだよ」
橋がないので、濡れることにはなるがそれぐらいなら問題はない。ただ、彼女がどうかとエドはミアを見た。
「川は渡らない方がいいわよ」
「え? でも、皆この川を渡っている筈だけど。父の手帳にも、川を渡ったとある」
「雪山の雪解け水は上流から下流にかけて海に向かって流れている。その川は西に向かって流れている。対して私達は北へ向かって進んでいる。この川は雪山の上流から流れた川ではない。この川は海水が混ざっているんだ。陸の海沿いに洞窟があり、海水はそこから入ってくる。洞窟の奥はこの川と繋がっていて、川は東から西へ流れている。これがなにを意味するかは分かるでしょ?」
海水……それは汚染された水のことだ。人類は長きにわたりおこなってきた戦争により海水は汚れきっていた。
「この大地が海水を透明に綺麗にしていても、有害物質が取り除かれたわけじゃない。この川で体の汚れを落とすなんてもってのほか。でも、直ぐに人体に影響が出ない人には気づかないかもね」
成る程。皆知らずして川を泳いで渡っていったということか。
確かに、海で長時間泳ぐ行為は人体に影響を及ぼす。
渡る程度なら気にせず近道として渡る人も出てきそうではあるが。
「他に道はあるの? 橋がないんじゃ向うへは行けないよ」
「ある。近くに『悪魔の塔』がある。その塔には地下への階段があって地下道があるの。それで向う側へ行ける。ついでに向う側の上の階段を登ると『天使の塔』に繋がっている」
「そんなの、父の手帳にはどこにも書かれていなかったよ」
「父?」
「僕の父はここに来たことがあって、それを手帳に知るしたんだ」
「多分、全ての塔を見つけてなかったのね?」
「塔は幾つあるの?」
「分かっているだけで、雪山とその森にそれぞれ3箇所、多分同じようにこっちにも3つあるんだと思う。お父さんが見つけた塔は幾つなの?」
「それぞれ一つずつ、ただ三つ目の山では塔を見つけられなかったんだ」
「それじゃ、制覇してないのね」
「あ、うん。僕、知らないで雪山では父の手帳にある一つずつと、途中で見つけた『天使の塔』だけで、ちゃんと探さなかった」
「残念ね。もう引き返して探すのは無理だから。それに、お父さんがここで一箇所ずつしか見つけられなかったのは無理ないわ。だって、これから向かう場所ってちょっと危険だから」
「え?」
「雪山にもいたでしょ。この大地を守る守護者が」
「イエティ!?」
「ここにもいるの。守護者が。今から向かう場所にそいつはいる」
「なに?」
「何故、悪い魔女は影か足跡がなくなるんですか」
「悪い魔女って地に足がついてないから」
川に向かって歩き続ける二人。少女の名前はミアという。
可愛らしい顔をしている一方魔女である。
「魔法には水が必要だと言うけど、その川はどうなの?」
雪山と燃える山の間に境界線のように存在する川を見ながらエドは聞いた。
「あの水は駄目。間違っても飲んだりしないでよ」
「わ、分かった」
まるで僕のお姉さん的なポジションだ。僕はその魔女の言いなりだ。
川のそばまで行くと、川幅は広いものの深くはなかった。川の水は透き通っており綺麗で、しかし、その川で泳ぐ魚は一匹も見られない。
「そんなに深そうな川でもないし、川の流れも急ではないから、渡れそうだよ」
橋がないので、濡れることにはなるがそれぐらいなら問題はない。ただ、彼女がどうかとエドはミアを見た。
「川は渡らない方がいいわよ」
「え? でも、皆この川を渡っている筈だけど。父の手帳にも、川を渡ったとある」
「雪山の雪解け水は上流から下流にかけて海に向かって流れている。その川は西に向かって流れている。対して私達は北へ向かって進んでいる。この川は雪山の上流から流れた川ではない。この川は海水が混ざっているんだ。陸の海沿いに洞窟があり、海水はそこから入ってくる。洞窟の奥はこの川と繋がっていて、川は東から西へ流れている。これがなにを意味するかは分かるでしょ?」
海水……それは汚染された水のことだ。人類は長きにわたりおこなってきた戦争により海水は汚れきっていた。
「この大地が海水を透明に綺麗にしていても、有害物質が取り除かれたわけじゃない。この川で体の汚れを落とすなんてもってのほか。でも、直ぐに人体に影響が出ない人には気づかないかもね」
成る程。皆知らずして川を泳いで渡っていったということか。
確かに、海で長時間泳ぐ行為は人体に影響を及ぼす。
渡る程度なら気にせず近道として渡る人も出てきそうではあるが。
「他に道はあるの? 橋がないんじゃ向うへは行けないよ」
「ある。近くに『悪魔の塔』がある。その塔には地下への階段があって地下道があるの。それで向う側へ行ける。ついでに向う側の上の階段を登ると『天使の塔』に繋がっている」
「そんなの、父の手帳にはどこにも書かれていなかったよ」
「父?」
「僕の父はここに来たことがあって、それを手帳に知るしたんだ」
「多分、全ての塔を見つけてなかったのね?」
「塔は幾つあるの?」
「分かっているだけで、雪山とその森にそれぞれ3箇所、多分同じようにこっちにも3つあるんだと思う。お父さんが見つけた塔は幾つなの?」
「それぞれ一つずつ、ただ三つ目の山では塔を見つけられなかったんだ」
「それじゃ、制覇してないのね」
「あ、うん。僕、知らないで雪山では父の手帳にある一つずつと、途中で見つけた『天使の塔』だけで、ちゃんと探さなかった」
「残念ね。もう引き返して探すのは無理だから。それに、お父さんがここで一箇所ずつしか見つけられなかったのは無理ないわ。だって、これから向かう場所ってちょっと危険だから」
「え?」
「雪山にもいたでしょ。この大地を守る守護者が」
「イエティ!?」
「ここにもいるの。守護者が。今から向かう場所にそいつはいる」
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