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●身体だけの関係

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「俺も男だしさ、正直女と違ってさ、たまるわけさ。今まではそんな風になったら、すぐできる相手が必ず側に何人かいたしさ。
だけど・・・、まどかを傷つけたり、嫌われるのは嫌なんだ。
大切にしたいしさ・・・」


隆也が照れくさそうに、頭を掻きながら言う。


私はそんな隆也の顔を見られなかった。


頭が呆然として。

目の奥が真っ白になったような感覚。

何も見えない。

何も感じない。


私は大事じゃないから、簡単に誘えたの?

嫌われても、傷つけてもどうでも良かったの?


付き合ってるとき、身体を重ねあってる時だけが、隆也とつきあってるって実感してた。

隆也とつながっているような気がしてた。


だけど・・・、こんなんだったらしなければよかった・・・


身体を重ねていないほうが、大事にされてる・・・、

愛されてるなんて・・・、



空しすぎるよ・・・・


隆也はそれからもビールやら焼酎やらをどんどん注文しては流し込んでいく。


隆也はバーの店長をしてることもあって、お酒は強い。

だけど、相当飲んでるせいか、段々顔が真っ赤に染まってきている。


それに女の私にこんな相談をするのは、相当恥ずかしいのかもしれない・・・

飲まないと、こんな事相談しづらいのかもしれないよね。


そもそも隆也は人に相談をしたりする人ではなく、何でも自分で決めるような人だった。


“やっぱり、それだけまどかが好きなんだな・・・”


まどかの事が真剣に好きだから、どうしていいのかわからなくなるんだろう。


隆也にとっては初恋なわけだし・・・


隆也の真っ赤に染まった顔を見ながら、私は自嘲的に笑う。


隆也に会えるのはうれしいけど、会えば会うほど悲しくなる。


自分の存在の小ささを思い知らされる。
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