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●隆也とわたし

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それから、隆也と私のつきあいが始まった。

私の一目ぼれから始まった恋―――

一目ぼれから始まったから、意外とつきあううちに隆也に幻滅してしまうかも・・・
なんて、密かに心配していた。


だけどそんな心配はいらなかった。


隆也と一緒にいると、楽しかった。

相談をすると、真剣に相談に乗ってくれて、最後は大きな手で『がんばれよ』と頭を撫でてくれた。

そうかと思えば、ゲームセンターのUFOキャッチャーで、私の欲しがるぬいぐるみがなかなか取れないで、1万円もつぎこんで、後で本気で悔しがっていた。


隆也は大人っぽいところも、子供っぽいところもあって、そのギャップにすごく惹かれた。


美少年顔なのに、それに似合わず豪快に笑うところ。

男なのに、甘いものが大好きで、ケーキが大好物なところ。


私は会えば会うほど、隆也をどんどん好きになっていった―――


それと同時に、私は不安になった。

隆也の事を好きになればなるほど、隆也に私を本気で好きになってもらいたくなったのだ。


それから私は必死に努力した。


必死にダイエットして5キロ体重を落とした。

メイクも必死に研究した。

料理も必死にママに習った。

隆也のわがままや愚痴を何でも受け入れた。


努力は全然苦ではなかった。


こんなことくらいで私の事を隆也が本気で好きになってくれたら本望だ。



・・・・・だけど、



隆也は私の事を本気で好きになってくれはしなかった―――
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