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抵抗しても無駄
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「答えろ、サタ」
アズラークの顔が至近距離に迫る。
きつい視線で睨みつけられたままそう尋ねられて俺は背中に冷や汗が落ちる。
「え……なに、言って、」
「発情した雄犬の匂いがする。こんなに匂いを付けられておいて、とぼける気か?」
匂い。
獣人は匂いに敏感で、匂いだけで相手の種族や年齢などが分かるとは聞いたことがある。
だけどルアンに匂い消しをかけてもらったはず……とそこまで考えて、その後にイレリオに抱えて走ってきてもらったことを思い出した。
もしかして、それでイレリオの匂いがついてしまったのか。
「扉に鍵がかかっていなかったな。逃げていなかったことに驚いたが……どこかで会って戻ってきたということか」
「わっ……!」
太い腕で腰を抱かれて持ち上げられる。
荷物のように抱えられて焦って身を捩らせると、いっそう強く抱きしめられた。
そのままアズラークは大股で部屋の中を突っ切っていく。
辿り着いた先はベッドだった。
今までにない乱暴な仕草で柔らかいベッドの上に落とされる。
アズラークの発する危うげな空気に、大した抵抗もできないままあお向けに転がされて。
そんな俺を見下ろしたアズラークは一瞬辛そうな顔をして、だけどすぐに酷薄そうな表情呟いた。
「お前が、お前が元の世界に戻りたいと言ったから諦めようと思った。どれだけ苦しくても、お前が望むなら諦めようと……。だが、この世界で番を見つけようというのなら、」
そう言ってアズラークは言葉を区切り、俺の上に圧し掛かってくる。
重たい彼の体が俺の体の上に乗り上げる。
いつも冷たい色をした彼の瞳の奥が燃えるようだった。
「俺が、手に入れたっていいだろう」
「なに、やっ……っ、あっ!」
指先が俺の顎を掴み横に傾けさせられる。
晒された首元にいきなり強く噛みつかれて俺は悲鳴を上げた。
皮膚は破れないけれど、甘噛みとは言えないほどの強さ。
鈍い痛みを感じる。
痛みの恐怖に体を強張らせると、熱い舌で何度か同じところを舐め上げられて、再び牙をたてられる。
びくりと体を跳ねさせても抑え込まれたまま動けない。
「や、やめ、て……」
怖い。
怖い。
このまま食い殺されてしまう。
この美しいけれど狂暴な獣に、このまま食べられてしまう。
恐怖に震えながら言葉を紡ぐけれど聞こえてきたのは舌打ちだった。
不機嫌さを露わにしたままアズラークは俺のシャツに手を掛ける。
獣人の力で引っ張られたそれは、まるで紙のようにあっさりと破け散った。
「ひっ、」
首筋から顔を上げたアズラークは俺のことを見下ろして、は、と熱い吐息を吐く。
彼の美しい顔は苛立ちに歪み、瞳は怒りと獣欲に燃えていた。
大きな掌が、ゆっくりと俺の体をまさぐる。
頬を撫でてから首筋、鎖骨と下がり、うすっぺらい腹を辿る。
そのままズボンと下着もあっさり剥ぎ取られた。
千切れたシャツと共にベッドの下に落ちる音がして、俺の情けない裸体が彼の眼下にさらされる。
「この匂い、誰に付けられた?」
「や……、やめ、」
肘でベッドから起き上がろうとすると首に掌が伸びて来て抑え込まれる。
まるで片手で首を絞めるように掴まれれて、力は籠っていないだろうけどわずかな息苦しさに眉を寄せた。
「やめる?冗談だろう」
俺の首を絞めたままもう片方の掌が脚を大きく割り拓く。
その間にアズラークの体が沈み、股間をわしづかみにされた。
「やっ……あ、!」
「この匂いを付けた雄に、ここも触らせたのか?」
やわやわと揉みこまれて小さく悲鳴が漏れる。
恐ろしいのに。
それなのにじわじわと勃ち上がってきて恥ずかしい。
手を放して欲しくて必死に両手でアズラークの手を引き剥がそうとするけれど、獣人の力に敵うはずがない。
どれだけ引っ張っても緩むことのない熱い手のひらが、すっかり勃起した俺の性器をゆっくりと扱き上げた。
「今までにお前が客を取っていたということも頭がおかしくなりそうなのに、まだ他の男が触れたなんて……許せるはずがない」
「やっ……っ、ぁあ! や、やだぁ……!」
膝を掴まれて尻がシーツから浮くほど大きく高く足を開かされた。
ようやく手が離れたと思った俺の陰茎に、屈んだアズラークの舌がねっとりと包む。
その強い刺激に首を横に振る。
だがアズラークは口淫を止めるつもりはないらしく、唾液に塗れた俺の性器をじゅっと吸う音がした。
鋭い刺激に腰が跳ねる。
「サタ、抵抗しても無駄なのは分かるな?」
「ひっ、や、あ、あ!」
足をばたばた振って抵抗すると、口を離してそう睨むと再び陰茎に舌を這わせてくる。
気持ちいい。
柔らかく肉厚な舌と熱い咥内に包まれて溶けてしまいそうだ。
はしたなくも先走りが零れ出ているのが分かる。
唾液と先走りの混じった水音に耳すら犯されて腰が震える。
だけど受け入れて流されることなんてできなくて、俺が泣き声のように嫌だと叫ぶと、アズラークは俺を冷たく見下ろした。
「答えろ、サタ」
アズラークの顔が至近距離に迫る。
きつい視線で睨みつけられたままそう尋ねられて俺は背中に冷や汗が落ちる。
「え……なに、言って、」
「発情した雄犬の匂いがする。こんなに匂いを付けられておいて、とぼける気か?」
匂い。
獣人は匂いに敏感で、匂いだけで相手の種族や年齢などが分かるとは聞いたことがある。
だけどルアンに匂い消しをかけてもらったはず……とそこまで考えて、その後にイレリオに抱えて走ってきてもらったことを思い出した。
もしかして、それでイレリオの匂いがついてしまったのか。
「扉に鍵がかかっていなかったな。逃げていなかったことに驚いたが……どこかで会って戻ってきたということか」
「わっ……!」
太い腕で腰を抱かれて持ち上げられる。
荷物のように抱えられて焦って身を捩らせると、いっそう強く抱きしめられた。
そのままアズラークは大股で部屋の中を突っ切っていく。
辿り着いた先はベッドだった。
今までにない乱暴な仕草で柔らかいベッドの上に落とされる。
アズラークの発する危うげな空気に、大した抵抗もできないままあお向けに転がされて。
そんな俺を見下ろしたアズラークは一瞬辛そうな顔をして、だけどすぐに酷薄そうな表情呟いた。
「お前が、お前が元の世界に戻りたいと言ったから諦めようと思った。どれだけ苦しくても、お前が望むなら諦めようと……。だが、この世界で番を見つけようというのなら、」
そう言ってアズラークは言葉を区切り、俺の上に圧し掛かってくる。
重たい彼の体が俺の体の上に乗り上げる。
いつも冷たい色をした彼の瞳の奥が燃えるようだった。
「俺が、手に入れたっていいだろう」
「なに、やっ……っ、あっ!」
指先が俺の顎を掴み横に傾けさせられる。
晒された首元にいきなり強く噛みつかれて俺は悲鳴を上げた。
皮膚は破れないけれど、甘噛みとは言えないほどの強さ。
鈍い痛みを感じる。
痛みの恐怖に体を強張らせると、熱い舌で何度か同じところを舐め上げられて、再び牙をたてられる。
びくりと体を跳ねさせても抑え込まれたまま動けない。
「や、やめ、て……」
怖い。
怖い。
このまま食い殺されてしまう。
この美しいけれど狂暴な獣に、このまま食べられてしまう。
恐怖に震えながら言葉を紡ぐけれど聞こえてきたのは舌打ちだった。
不機嫌さを露わにしたままアズラークは俺のシャツに手を掛ける。
獣人の力で引っ張られたそれは、まるで紙のようにあっさりと破け散った。
「ひっ、」
首筋から顔を上げたアズラークは俺のことを見下ろして、は、と熱い吐息を吐く。
彼の美しい顔は苛立ちに歪み、瞳は怒りと獣欲に燃えていた。
大きな掌が、ゆっくりと俺の体をまさぐる。
頬を撫でてから首筋、鎖骨と下がり、うすっぺらい腹を辿る。
そのままズボンと下着もあっさり剥ぎ取られた。
千切れたシャツと共にベッドの下に落ちる音がして、俺の情けない裸体が彼の眼下にさらされる。
「この匂い、誰に付けられた?」
「や……、やめ、」
肘でベッドから起き上がろうとすると首に掌が伸びて来て抑え込まれる。
まるで片手で首を絞めるように掴まれれて、力は籠っていないだろうけどわずかな息苦しさに眉を寄せた。
「やめる?冗談だろう」
俺の首を絞めたままもう片方の掌が脚を大きく割り拓く。
その間にアズラークの体が沈み、股間をわしづかみにされた。
「やっ……あ、!」
「この匂いを付けた雄に、ここも触らせたのか?」
やわやわと揉みこまれて小さく悲鳴が漏れる。
恐ろしいのに。
それなのにじわじわと勃ち上がってきて恥ずかしい。
手を放して欲しくて必死に両手でアズラークの手を引き剥がそうとするけれど、獣人の力に敵うはずがない。
どれだけ引っ張っても緩むことのない熱い手のひらが、すっかり勃起した俺の性器をゆっくりと扱き上げた。
「今までにお前が客を取っていたということも頭がおかしくなりそうなのに、まだ他の男が触れたなんて……許せるはずがない」
「やっ……っ、ぁあ! や、やだぁ……!」
膝を掴まれて尻がシーツから浮くほど大きく高く足を開かされた。
ようやく手が離れたと思った俺の陰茎に、屈んだアズラークの舌がねっとりと包む。
その強い刺激に首を横に振る。
だがアズラークは口淫を止めるつもりはないらしく、唾液に塗れた俺の性器をじゅっと吸う音がした。
鋭い刺激に腰が跳ねる。
「サタ、抵抗しても無駄なのは分かるな?」
「ひっ、や、あ、あ!」
足をばたばた振って抵抗すると、口を離してそう睨むと再び陰茎に舌を這わせてくる。
気持ちいい。
柔らかく肉厚な舌と熱い咥内に包まれて溶けてしまいそうだ。
はしたなくも先走りが零れ出ているのが分かる。
唾液と先走りの混じった水音に耳すら犯されて腰が震える。
だけど受け入れて流されることなんてできなくて、俺が泣き声のように嫌だと叫ぶと、アズラークは俺を冷たく見下ろした。
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