上 下
18 / 54

待てない

しおりを挟む

くたりと体重を預けてくる体が愛らしい。
馬車に戻ると従者が目を丸くしていたが、ここから一番近い宿の名前を告げると無言で馬を操りだした。
本当ならいっそ自宅でも良かった……いや、むしろ一番の巣(テリトリー)である自宅に連れて行きたかったが、彼の了承を得ていない。

そう言えば彼の名前すらまだ知らない。

「遅くなったが……俺の名前はアズラーク・イサウロスという。お前は?」

「んっあ、ぁあ、そ、こで話すな!」

膝の上に乗せて、舌先で淡い色の乳首をちろちろと舐めながら尋ねると、お気に召さなかったのか手を突っ張って距離を取ろうとされる。
逃げられないようにがっしりと腰を掴んでいるから、無駄な抵抗だが。


「……すまん。だがこんなに可愛いものを見せつけられて、触るなというほうが無理だろう」

「ひ、ぁあ、あ……!」


ちゅ、ちゅ、とリップ音を鳴らして乳首を吸い上げると細い腰がビクビク震える。
素直な反応に気をよくして、もう一方の乳首も指先でころがすように弄ぶ。


「名前は?」

「んっ……、サタ、」

「サタ?変わった名前だな……出身は?」

「ん、や、やぁ、……!もうやだ……ぁ!」


相当快感に弱いらしい体は、胸への弱い刺激だけで出来上がってしまったようで、さっきからむずがるように頭を振るばかりだ。
だが甘い声で嫌だとかダメだとか言われても、煽られているようにしか感じない。
そんな痴態を楽しみながら細い体を弄んでいると、馬車が静かに止まって、扉が外から控え目にノックされる。
彼を片手で抱えたまま外に踏み出すと、馬車は宿の裏口に停められていた。
高級宿だが、遅い時間のためかひっそりとしている。
従者がすでに話を通してきたんだろう。
宿の従業員が控え目に立って、部屋まで先導してくれる。
長い廊下も人払いがされているのか誰とも擦れちがわない。

腕の中から顔を出したサタが、戸惑ったようにシャツを引っ張る。


「……ここ?」

「嫌だったか?」

「いや、嫌っていうか……」


ああ、もしかして見られるのが嫌なのか。
俺もこの蕩けた顔を他の獣人に晒すのは嫌だ。

そう思い至って、彼を体ごとマントでくるんで抱きなおす。


「これなら大丈夫だ」

「え? いや、まあその方がいいと思うけど……。て言うか、チェックインもしないなんて、どんだけ慣れてんだよ……」


小さな体は何やらもごもごと呟くと、マントの中で小さく固まってしまった。












部屋に着くと、一旦サタをベッドに降ろして覆いかぶさる。
サタの両手をベッドに縫い付けると頬に唇を落とす。
このまま一気に貪ってしまいたいが、獣性の強いものとしてそれはできない。

「……サタ、何か食べるか?」
「ぃらな、い……!」
「こんなに痩せてるんだから、もっと食べさせないとな……。じゃあ、水分だけでも」


巣に連れ帰った番に、獲物を取ってきて与える。獣としての本能だ。
しかも可愛い相手がこんなに痩せ細っているんだったらなおの事だ。
とりあえず今は、とベッドサイドに置いてある果実水を口に含んで、サタの口に少しずつ流し込む。

「ん、ぅんん……」
「もっと飲めるか?」
「ん……おいし……」

口の端から零れてしまった水を舐め、またグラスから水を含み口移しで与える。
グラスに半分ほどを飲ませて、もっと欲しいか聞くと首を横に振られた。
体が小さい分、水分摂取量も少ないんだろうか。

グラスを置いて、プレゼントのラッピングを開けるようにシャツのボタンを外していく。
きめ細やかでなめらかな素肌に感嘆の息をもらし、そのまま抵抗を許さず下履きも取り去る。

「や、……は、恥ずかしぃ、から……」

一糸まとわぬ姿でベッドの上で震える彼は、眩暈がするほど愛らしくて。
本当に16歳なのかとか、番から逃げてきたという噂は本当なのかとか、なんで男娼をしているのかだとか、聞きたいことは山のようにあったはずなのに、俺はすべてを放置して……思わず首筋に噛みついた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜

N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間) ハーレム要素あります。 苦手な方はご注意ください。 ※タイトルの ◎ は視点が変わります ※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます ※ご都合主義です、あしからず

獣人彼氏のことを童貞だと思って誘おうとしたら、酷い目にあった話

のらねことすていぬ
BL
異世界トリップして、住人の9割が獣人の世界に住み始めたアラサーのアオ。この世界で仕事も恋人もできて問題ない生活を送っている……ように見えたが、一つ不満があった。それは恋人である豹の獣人、ハンスが彼と最後までセックスしないことだった。彼が童貞なのでは?と思い誘ってみることにしたが……。獣人×日本人。♡喘ぎご注意ください。

異世界で大切なモノを見つけました【完結】

Toys
BL
突然異世界へ召喚されてしまった少年ソウ お世話係として来たのは同じ身長くらいの中性的な少年だった だがこの少年少しどころか物凄く規格外の人物で!? 召喚されてしまった俺、望月爽は耳に尻尾のある奴らに監禁されてしまった! なんでも、もうすぐ復活する魔王的な奴を退治して欲しいらしい。 しかしだ…一緒に退治するメンバーの力量じゃ退治できる見込みがないらしい。 ………逃げよう。 そうしよう。死にたくねぇもん。 爽が召喚された事によって運命の歯車が動き出す

魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。

柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。 そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。 すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。 「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」 そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。 魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。 甘々ハピエン。

魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。

柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。 頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。 誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。 さくっと読める短編です。

奴の執着から逃れられない件について

B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。 しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。 なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され..., 途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...