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待てない
しおりを挟むくたりと体重を預けてくる体が愛らしい。
馬車に戻ると従者が目を丸くしていたが、ここから一番近い宿の名前を告げると無言で馬を操りだした。
本当ならいっそ自宅でも良かった……いや、むしろ一番の巣(テリトリー)である自宅に連れて行きたかったが、彼の了承を得ていない。
そう言えば彼の名前すらまだ知らない。
「遅くなったが……俺の名前はアズラーク・イサウロスという。お前は?」
「んっあ、ぁあ、そ、こで話すな!」
膝の上に乗せて、舌先で淡い色の乳首をちろちろと舐めながら尋ねると、お気に召さなかったのか手を突っ張って距離を取ろうとされる。
逃げられないようにがっしりと腰を掴んでいるから、無駄な抵抗だが。
「……すまん。だがこんなに可愛いものを見せつけられて、触るなというほうが無理だろう」
「ひ、ぁあ、あ……!」
ちゅ、ちゅ、とリップ音を鳴らして乳首を吸い上げると細い腰がビクビク震える。
素直な反応に気をよくして、もう一方の乳首も指先でころがすように弄ぶ。
「名前は?」
「んっ……、サタ、」
「サタ?変わった名前だな……出身は?」
「ん、や、やぁ、……!もうやだ……ぁ!」
相当快感に弱いらしい体は、胸への弱い刺激だけで出来上がってしまったようで、さっきからむずがるように頭を振るばかりだ。
だが甘い声で嫌だとかダメだとか言われても、煽られているようにしか感じない。
そんな痴態を楽しみながら細い体を弄んでいると、馬車が静かに止まって、扉が外から控え目にノックされる。
彼を片手で抱えたまま外に踏み出すと、馬車は宿の裏口に停められていた。
高級宿だが、遅い時間のためかひっそりとしている。
従者がすでに話を通してきたんだろう。
宿の従業員が控え目に立って、部屋まで先導してくれる。
長い廊下も人払いがされているのか誰とも擦れちがわない。
腕の中から顔を出したサタが、戸惑ったようにシャツを引っ張る。
「……ここ?」
「嫌だったか?」
「いや、嫌っていうか……」
ああ、もしかして見られるのが嫌なのか。
俺もこの蕩けた顔を他の獣人に晒すのは嫌だ。
そう思い至って、彼を体ごとマントでくるんで抱きなおす。
「これなら大丈夫だ」
「え? いや、まあその方がいいと思うけど……。て言うか、チェックインもしないなんて、どんだけ慣れてんだよ……」
小さな体は何やらもごもごと呟くと、マントの中で小さく固まってしまった。
部屋に着くと、一旦サタをベッドに降ろして覆いかぶさる。
サタの両手をベッドに縫い付けると頬に唇を落とす。
このまま一気に貪ってしまいたいが、獣性の強いものとしてそれはできない。
「……サタ、何か食べるか?」
「ぃらな、い……!」
「こんなに痩せてるんだから、もっと食べさせないとな……。じゃあ、水分だけでも」
巣に連れ帰った番に、獲物を取ってきて与える。獣としての本能だ。
しかも可愛い相手がこんなに痩せ細っているんだったらなおの事だ。
とりあえず今は、とベッドサイドに置いてある果実水を口に含んで、サタの口に少しずつ流し込む。
「ん、ぅんん……」
「もっと飲めるか?」
「ん……おいし……」
口の端から零れてしまった水を舐め、またグラスから水を含み口移しで与える。
グラスに半分ほどを飲ませて、もっと欲しいか聞くと首を横に振られた。
体が小さい分、水分摂取量も少ないんだろうか。
グラスを置いて、プレゼントのラッピングを開けるようにシャツのボタンを外していく。
きめ細やかでなめらかな素肌に感嘆の息をもらし、そのまま抵抗を許さず下履きも取り去る。
「や、……は、恥ずかしぃ、から……」
一糸まとわぬ姿でベッドの上で震える彼は、眩暈がするほど愛らしくて。
本当に16歳なのかとか、番から逃げてきたという噂は本当なのかとか、なんで男娼をしているのかだとか、聞きたいことは山のようにあったはずなのに、俺はすべてを放置して……思わず首筋に噛みついた。
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