閉ざされた時の中で

隠岐 旅雨

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「覚悟はいいな。オレ初めてだから、ぜんぜんうまく出来ないと思うけど、勘弁かんべんな?」
「あ、もういい、おかせよこんなんおかしいから、なんかのユメかなんかだ、でないとおれっ」
「でないと、どうなんだ──?」
「ッぐぐがっ、いてえぇぇっえええよぉおおおっ!」
 ギリギリだった。裂けちまわないか心配だったが、たっぷり時間をかけて穿うがち進むオレの剛直・・がちょうど半分くらいまで埋まったところで、マサヤは急に呼吸を荒げて涙目になる。そこまで痛むのか、
「どうだ、このへんなのか。けどまだだいぶ残ってるぞ、最後までちゃんと貫き通す・・・・からな、おまえが壊れても止めねえぞ?」
「あああァ、てめえのそれぇふざけんなよ、ころすきかよぉお!」
「そうかもな。マサヤ、おまえ意外にもエロ過ぎ・・・・んだよ。受けの素質・・ありそうだなぁ?」
 オレの本性ってこんなだったんかな。マサヤに負担を強いるようなことは絶対したくなかったのに、雄交尾セックスになると遠慮もなにもないケダモノじゃねえか、これは。
 それともオレは、あの「エルダー」とかいう男に力を与えられて「暴走」しているだけなのか。

 そうやって何発もくりかえしヤッて、イッて、体位も「寝バック」とかいろいろと試して。
 顔を見ると、さすがにもうマサヤのほうが痙攣けいれんしつつ白目をきかけてて限界だろうな、ってところでいきなり空気が動き出すような予感がした。
 時計を見ると秒針が動き始めており、これヤベーぞ、って思ったところでまた覚えのある「一瞬の砂塵」が吹き抜けて。

 そんでその後に残ったのはちゃんと柔道着を身につけて柔道場のド真ん中で眠ってるマサヤと、同じくちゃんと帯まで締めて立ち尽くしたままのオレ。ふたりしてハッとして視線を合わせたが、道着も道場も精液に汚れているわけでもない。ただ互いに、まだちんこが半勃はんだちだったくらいのもので。
 ただしマサヤはまだうまく立てないみたいだったので、互いに頬を赤らめつつも肩を貸して、一緒にシャワールームへ向かう。なんだったんだ、あれは本当にただの幻覚だったのか──そうだとしたら、あまりにも現実味がありすぎる白昼夢はくちゅうむのようなものに思えたが。

「アツシ、おまえマジでえげつねーセックスしやがって。しかも『ナマ全発全弾・・・・中出し』とかよぉぉ……」
 となりのシャワールームからはマサヤの声がして、思わず遠慮なくオレはのぞき込んでしまった。かなり大量と言える精液ザーメンがマサヤのケツから泡音あわおとをともなってあふれ出してはかかとまでを伝い落ちていて、どうしてその痕跡だけ・・が残っているのかという疑問にまた訳がわからなくなった。
 すべてが幻だった、というわけじゃないんだろうな。オレのちんこもイキ過ぎで赤く張り詰めて鈍く痛み、たとえしごいてみたところでもう、精液なんて一滴も出てきそうになかった。

 それからの関係性だが、一部の状況証拠しか残らなかったこともありマサヤはこの日のことをもう話題には出そうともしなかった。ただしオレはマサヤを屈服させた錯覚・・・・・・・からか、どこかでカラを破ったかのように鍛錬に全力を注ぎこみ、まだまだ成長しているマサヤをも超える勢いで技量を伸ばしていく。
 いつしか実力差は拮抗きっこうしていき、逆転する日も近いんじゃないかと噂されていたけど。

 だけどマサヤは、積極的にオレに抱かれるようになっていた。犯されたいなんて「オレがかつて思ってた」のが嘘みたいに、オレはマサヤを徹底的に犯したし、マサヤもまたオレにまたがってちんこを深く奥までくわえこんでは、オレの精液がカラになるまでしぼり取ろうとする。なんか完全にこれは「異常だろう」とは思ってたけど、これもすべて「エルダー」と名乗ったあの男の能力なんだって、そう割り切ってしまえばいい──どうせ分からねーことは、いくら考えても分からねーんだから、──な。
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