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オレは童貞だ。けどこいつは何なんだ──?
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生徒会室に出入りすることも完全になくなった。季節は冬、本格的な受験シーズンを迎えようとしている。
受験校、進路についてオレはいまだに決めかねていた。ただ、海外留学はいったん保留にしようかと思ってる。べつに留学なんて、このタイミングでなくてもいつでもできるわけだし。あと推薦入試についても選択肢からは除外した。ギリギリまでオレは針路を狭めないさ、一般入試でも充分に戦える用意はしてきたんだからな。
関西進学も考えてはいた。なぜなら実家を出てひとり暮らしできるから──つまりオレは、実家を出たいという思いは持ち続けていたわけだが、その理由のひとつは「父親」だった。
うちは母親も医者だが親父も医師である。母さんのほうは大学病院の麻酔科でハードな日々を送っているが、親父のほうはどちらかというと研究職寄りで、海外の大学を渡り歩いている印象だ。専攻は「公衆衛生学」で、さいきん世界中を席巻した伝染病等に関しての研究は、かなりのハードワークではあるらしい。
ただ、尊敬できない人だ。それについては子供のころから、すでにオレはそう思っていた。
自分にとって有益か無益か、共に働くにあたって有能か無能かという判断のもとに行動するタイプで。母さんも何でこんなヤツと結婚したんだろうな、とはよく思っていた。とにかく冷徹な印象、オレのことはどちらかというと医学の道へ進んであいつの後継をして欲しいようなことは言っていたが冗談じゃない。オレがやるのだとしたら母さんのような、臨床の現場で必死に身体を張る仕事のほうだと信じている。
親父の出身は東京の医大ではトップ、つまりは東大だった。同じ大学には行きたくないからこそオレは関西などを視野に入れていたわけだが、あのアホ、つまり大智の進路は東京の私大と決まっていた。こんな恋愛感情で進路を選ぶなんてことは、それこそオレにとってはありえないことだったが──だけど子どもっぽい父親への反発から進路を捻じ曲げるのもバカらしいような気はしていた。
ちなみに母親の出身も親父と同じ大学である。こういう面倒な柵から逃れるには、東京の私立大学医学部のトップを目指すのも悪くはないような気もしていた。その場合は実家から通うことにはなってしまうが、元からやけに人のいない今の家の状況はいずれにしても変わらないのだろうし、居心地も変わらず、そうして今みたいに──。
今日は一週間ぶりくらいの母親の夜勤シフトということもあり、部屋には大智の姿がある。
「なあ秋介、前に渡した電動のアレ、たまに使ってたりすんのか?」
またいきなり恥ずかしいセリフから始まるな、コイツは。
「いや。定期的に使えって言ったのおまえだろーが」
中断期間が長くなると受け容れにくくなる──とは、大智が前にも言ったことだが。
「それなら大丈夫だろ、たぶん……これが最終関門ってヤツかな」
大智がいつものようにエナメルバッグから取り出したのは「某有名ネット通販」の段ボール箱だった。
それを床に置くと、切り目だとか繋ぎ目を無視して大智のバカでかい両手は、段ボール箱をたやすく破壊する。ゴリラかこいつは。部屋にはハサミとかカッターみたいな文明の利器もあるんだし、そういう力任せの破壊工作をされると部屋が汚れちまうだけだって、わかんねーのかなコイツには。
箱から取り出されたのは、前回こいつが置いていった電動式の「ケツプラグ」の上位互換──というか、なんか長いし太いし、先端部が亀頭みたいに迫り出している。ちょっと見ただけでもうダメだ、こんなん入るワケがねえって……と、ここにきて今さらだが、オレはあることに思い至った。
これまでに大智のアホがこの部屋に持ち込んできたものはすべて開封されていて、すでに使用済みのような感じがしていたが──そうだとすると、それは「誰に対しての使用済み」だったんだろう。
まあ大智はかなり女子には人気のあるほうだったと思うが、こんなにケツ穴に特化したアイテムを普通の女子高生は受けいれられるモノなんだろうか。いや、そりゃそういうタイプの女の子も少しはいるのかもしれないけど、どっちかってーとこういうのは年上のお姉さんとかそういう人との付き合いで、マンネリの解消のため「こういう道具を試していた」というほうが、どっちかってーと普通のような気がする。
そういうふうに考えるとモヤモヤすんぞ──オレにとっては「こういう行為」を初めてする相手となったのが大智だ、童貞なんだからあたりまえといえばそうなんだけど。よく考えたら大智の過去の恋愛遍歴とか、性的な経験のアレだとかはオレはまったく知らないわけで。べつに大智が誰と付き合っていようと構いやしないんだけどさ。いま「このオレとこういう関係にあって」実は他の相手がいたりするんじゃないのか──なんていう疑惑にオレは、初めて思い至った。
実はオレは「本命でもなんでもなくて」こういう特殊な遊び相手でしかない、とか? いや、こういうマニアックな感じの遊び相手だったらオレみたいにめんどくせークソ童貞は選ばないような気もするけど。
「なあ、大智……?」
「あ? なんだよ」
「そのサイズのデカいのがオレに使えるとでも思ってんのか──ってのはいったん置いといて。今回に限ってなぜか新品なのはどうしてだよ? 逆に言えばさ、これまでのは明らかに『使用済み』感があったわけだが、よく考えるとおまえさ、いったいそういうの、誰を相手に使ってたんだ」
なぜか大智は全身の動きを止めて、視線も不自然に宙に彷徨っている。
「オレ以外にもいたんだろ、そういうので開発した相手ってのがさ。それが男か女とかは、別にもうどうでもいいけどかよ、今のおまえって本当にひとりなのか? オレに隠して、どっかに別の相手っつーか本命とがいたりするんじゃねえだろうな──?」
大智は明らかに狼狽している。これは本当に突かれたくはない質問だったらしい。
「なんかこれまでの流れで、おまえはクソ童貞のオレのことが一応は好きでこういう関係になだれ込んでるもんだと思ってたけど。実は他に相手を確保してたりとか……」
「ち、ちげーよ!! そんなわけねーだろ、おれには秋介ひとりだけだって!」
なんか異様に焦ってテンパってる様子が余計にあやしい。
「じゃあこれまでにオレがおまえから預けられてきた『あやしい道具』って、どこでいつ誰に使ったんだよ──?」
大智は、その口を大きな左手で覆い隠して、あからさまに動揺した様子だった。同時にオレはどこかで失望を感じている。
それが過去の相手だったとしても何かもう気に入らないし、まさかこのオレ相手に二股なんてふざけた行為をかましているんだとしたら。
とりあえず一発ぶん殴って、二度とこいつのことなんて気にかけるつもりもなくなっちまうだろうな、きっと。
大智はなぜか赤面しつつある、それこそ首筋までが赤い。口許は手で隠したままだったが。
「……おれ、だよ」
「ん? なんだって」
「だから、おれだっての。それは」
いまいち意味がわからない。だが大智の表情からは、なんかに追い詰められたような異様な動揺が見て取れた。
「いきなり、おまえに使うなんてダメだと思ったんだ──不良品だったり、身体に悪いモンだったらマズいだろ」
大智は片膝立ての姿勢で口許を隠したまま、弱々しい声で告げる。
「ええと。つまり購入後、最初におまえが自分自身で使ってみて、問題なさそうなのをオレに使わせた──?」
大智は静かにうなずいた。
「マジかよおまえ。ぶッははは、じゃあ前回のあの電動式のプラグとかも、おまえが自分で自分に突っ込んで試した後だったってことなんか──!」
「なんだよ……そんなにイヤか? ちゃんと洗浄も消毒もしてるし……」
「つまりそういうことか、オレが一方的に開拓、開発されてるように見えて実は同時におまえ自身の開発も進んでたってことなんだなッ!」
「クソッ……それのなにが悪ィんだよ──!」
大智の放つ殺気が強くなった。あれ、ちょっと誂すぎたかな。
「いや。悪いとか悪くないじゃなくてよ、つまり今のおまえって必死にオレとセックス、つーか『ちんこ突っ込みたがってる』んだろうけど、実はオレのほうから突っ込んでも普通に受け容れられちまう状態なんだ、ってことなんじゃねえか──?」
「あぁ。クソ、そうだよ──!」
あれ、じゃあ大智って実は。立場上はオレと大差なくねぇか。
「あのさ。おまえさんざん人のこと『童貞』だとか『童貞くさい』とかバカにしてた気がすっけど、実はおまえ自身が『童貞』だったりすんじゃねえの──? なんかおかしいと思ってたんだよな、おまえのことはこの数年見てきたけど、べつに女連れでいるとこ見たこともないし、その手の噂もなんも聞いたことがねーからさ」
大智は口にあてた手を外して、立ち尽くすオレを正面から見据えた。
「ああ、そうだよ。おれも『童貞』だ、何だよ、悪いのかよッ──!」
なんか涙目になってんぞ、こいつ──バカだな、そしてその表情が「ちょっとカワイイ」ように見えたオレの脳は大丈夫だろうか。このポンコツ巨神兵に対して「かわいい」だなんて、初めて思う感情だった。
「あと、そんでさ。なんで今回にかぎってこの道具だけは未開封のまま持ってきたん──?」
「……これまでのサイズに関してはさ、秋介でも大丈夫だろうって思ってたんだよ。実際そうだったろ? でも今回のはまあ市販品のなかではたぶんかなりデカいほうで、これが大丈夫ならオレ、おまえと『ちゃんとセックスできると』思っちまったんだ──そうしたらなんか余裕なくてさぁ……」
「つまり早くオレに使わせたいから『これまでの手順を省略した』ってこと、なんだよな──?」
うん、改めて言おう。こいつはやっぱりバカだ、短絡的でガマンもできない、大型駄犬でポンコツ巨神兵なんだ。
そこがコイツのかわいいところなのかもしれない。凶悪な身長と体格であるとしても、まあ面影だけは幼少期のあのころと変わんねーし。
しかし何だかんだいって、この事実はおまえに付け入る隙をオレに与えちまったことに大智は気づいてるのか。
「じゃあさ、大智。この新アイテムがまずおまえのケツにちゃんと入って、安全に使えるんだって『オレの前で証明』してみせろよ。そんで大丈夫だっつーんなら、オレも受けてやるからさ──嘘はつかねーよ、けどそれが絶対条件だ」
受験校、進路についてオレはいまだに決めかねていた。ただ、海外留学はいったん保留にしようかと思ってる。べつに留学なんて、このタイミングでなくてもいつでもできるわけだし。あと推薦入試についても選択肢からは除外した。ギリギリまでオレは針路を狭めないさ、一般入試でも充分に戦える用意はしてきたんだからな。
関西進学も考えてはいた。なぜなら実家を出てひとり暮らしできるから──つまりオレは、実家を出たいという思いは持ち続けていたわけだが、その理由のひとつは「父親」だった。
うちは母親も医者だが親父も医師である。母さんのほうは大学病院の麻酔科でハードな日々を送っているが、親父のほうはどちらかというと研究職寄りで、海外の大学を渡り歩いている印象だ。専攻は「公衆衛生学」で、さいきん世界中を席巻した伝染病等に関しての研究は、かなりのハードワークではあるらしい。
ただ、尊敬できない人だ。それについては子供のころから、すでにオレはそう思っていた。
自分にとって有益か無益か、共に働くにあたって有能か無能かという判断のもとに行動するタイプで。母さんも何でこんなヤツと結婚したんだろうな、とはよく思っていた。とにかく冷徹な印象、オレのことはどちらかというと医学の道へ進んであいつの後継をして欲しいようなことは言っていたが冗談じゃない。オレがやるのだとしたら母さんのような、臨床の現場で必死に身体を張る仕事のほうだと信じている。
親父の出身は東京の医大ではトップ、つまりは東大だった。同じ大学には行きたくないからこそオレは関西などを視野に入れていたわけだが、あのアホ、つまり大智の進路は東京の私大と決まっていた。こんな恋愛感情で進路を選ぶなんてことは、それこそオレにとってはありえないことだったが──だけど子どもっぽい父親への反発から進路を捻じ曲げるのもバカらしいような気はしていた。
ちなみに母親の出身も親父と同じ大学である。こういう面倒な柵から逃れるには、東京の私立大学医学部のトップを目指すのも悪くはないような気もしていた。その場合は実家から通うことにはなってしまうが、元からやけに人のいない今の家の状況はいずれにしても変わらないのだろうし、居心地も変わらず、そうして今みたいに──。
今日は一週間ぶりくらいの母親の夜勤シフトということもあり、部屋には大智の姿がある。
「なあ秋介、前に渡した電動のアレ、たまに使ってたりすんのか?」
またいきなり恥ずかしいセリフから始まるな、コイツは。
「いや。定期的に使えって言ったのおまえだろーが」
中断期間が長くなると受け容れにくくなる──とは、大智が前にも言ったことだが。
「それなら大丈夫だろ、たぶん……これが最終関門ってヤツかな」
大智がいつものようにエナメルバッグから取り出したのは「某有名ネット通販」の段ボール箱だった。
それを床に置くと、切り目だとか繋ぎ目を無視して大智のバカでかい両手は、段ボール箱をたやすく破壊する。ゴリラかこいつは。部屋にはハサミとかカッターみたいな文明の利器もあるんだし、そういう力任せの破壊工作をされると部屋が汚れちまうだけだって、わかんねーのかなコイツには。
箱から取り出されたのは、前回こいつが置いていった電動式の「ケツプラグ」の上位互換──というか、なんか長いし太いし、先端部が亀頭みたいに迫り出している。ちょっと見ただけでもうダメだ、こんなん入るワケがねえって……と、ここにきて今さらだが、オレはあることに思い至った。
これまでに大智のアホがこの部屋に持ち込んできたものはすべて開封されていて、すでに使用済みのような感じがしていたが──そうだとすると、それは「誰に対しての使用済み」だったんだろう。
まあ大智はかなり女子には人気のあるほうだったと思うが、こんなにケツ穴に特化したアイテムを普通の女子高生は受けいれられるモノなんだろうか。いや、そりゃそういうタイプの女の子も少しはいるのかもしれないけど、どっちかってーとこういうのは年上のお姉さんとかそういう人との付き合いで、マンネリの解消のため「こういう道具を試していた」というほうが、どっちかってーと普通のような気がする。
そういうふうに考えるとモヤモヤすんぞ──オレにとっては「こういう行為」を初めてする相手となったのが大智だ、童貞なんだからあたりまえといえばそうなんだけど。よく考えたら大智の過去の恋愛遍歴とか、性的な経験のアレだとかはオレはまったく知らないわけで。べつに大智が誰と付き合っていようと構いやしないんだけどさ。いま「このオレとこういう関係にあって」実は他の相手がいたりするんじゃないのか──なんていう疑惑にオレは、初めて思い至った。
実はオレは「本命でもなんでもなくて」こういう特殊な遊び相手でしかない、とか? いや、こういうマニアックな感じの遊び相手だったらオレみたいにめんどくせークソ童貞は選ばないような気もするけど。
「なあ、大智……?」
「あ? なんだよ」
「そのサイズのデカいのがオレに使えるとでも思ってんのか──ってのはいったん置いといて。今回に限ってなぜか新品なのはどうしてだよ? 逆に言えばさ、これまでのは明らかに『使用済み』感があったわけだが、よく考えるとおまえさ、いったいそういうの、誰を相手に使ってたんだ」
なぜか大智は全身の動きを止めて、視線も不自然に宙に彷徨っている。
「オレ以外にもいたんだろ、そういうので開発した相手ってのがさ。それが男か女とかは、別にもうどうでもいいけどかよ、今のおまえって本当にひとりなのか? オレに隠して、どっかに別の相手っつーか本命とがいたりするんじゃねえだろうな──?」
大智は明らかに狼狽している。これは本当に突かれたくはない質問だったらしい。
「なんかこれまでの流れで、おまえはクソ童貞のオレのことが一応は好きでこういう関係になだれ込んでるもんだと思ってたけど。実は他に相手を確保してたりとか……」
「ち、ちげーよ!! そんなわけねーだろ、おれには秋介ひとりだけだって!」
なんか異様に焦ってテンパってる様子が余計にあやしい。
「じゃあこれまでにオレがおまえから預けられてきた『あやしい道具』って、どこでいつ誰に使ったんだよ──?」
大智は、その口を大きな左手で覆い隠して、あからさまに動揺した様子だった。同時にオレはどこかで失望を感じている。
それが過去の相手だったとしても何かもう気に入らないし、まさかこのオレ相手に二股なんてふざけた行為をかましているんだとしたら。
とりあえず一発ぶん殴って、二度とこいつのことなんて気にかけるつもりもなくなっちまうだろうな、きっと。
大智はなぜか赤面しつつある、それこそ首筋までが赤い。口許は手で隠したままだったが。
「……おれ、だよ」
「ん? なんだって」
「だから、おれだっての。それは」
いまいち意味がわからない。だが大智の表情からは、なんかに追い詰められたような異様な動揺が見て取れた。
「いきなり、おまえに使うなんてダメだと思ったんだ──不良品だったり、身体に悪いモンだったらマズいだろ」
大智は片膝立ての姿勢で口許を隠したまま、弱々しい声で告げる。
「ええと。つまり購入後、最初におまえが自分自身で使ってみて、問題なさそうなのをオレに使わせた──?」
大智は静かにうなずいた。
「マジかよおまえ。ぶッははは、じゃあ前回のあの電動式のプラグとかも、おまえが自分で自分に突っ込んで試した後だったってことなんか──!」
「なんだよ……そんなにイヤか? ちゃんと洗浄も消毒もしてるし……」
「つまりそういうことか、オレが一方的に開拓、開発されてるように見えて実は同時におまえ自身の開発も進んでたってことなんだなッ!」
「クソッ……それのなにが悪ィんだよ──!」
大智の放つ殺気が強くなった。あれ、ちょっと誂すぎたかな。
「いや。悪いとか悪くないじゃなくてよ、つまり今のおまえって必死にオレとセックス、つーか『ちんこ突っ込みたがってる』んだろうけど、実はオレのほうから突っ込んでも普通に受け容れられちまう状態なんだ、ってことなんじゃねえか──?」
「あぁ。クソ、そうだよ──!」
あれ、じゃあ大智って実は。立場上はオレと大差なくねぇか。
「あのさ。おまえさんざん人のこと『童貞』だとか『童貞くさい』とかバカにしてた気がすっけど、実はおまえ自身が『童貞』だったりすんじゃねえの──? なんかおかしいと思ってたんだよな、おまえのことはこの数年見てきたけど、べつに女連れでいるとこ見たこともないし、その手の噂もなんも聞いたことがねーからさ」
大智は口にあてた手を外して、立ち尽くすオレを正面から見据えた。
「ああ、そうだよ。おれも『童貞』だ、何だよ、悪いのかよッ──!」
なんか涙目になってんぞ、こいつ──バカだな、そしてその表情が「ちょっとカワイイ」ように見えたオレの脳は大丈夫だろうか。このポンコツ巨神兵に対して「かわいい」だなんて、初めて思う感情だった。
「あと、そんでさ。なんで今回にかぎってこの道具だけは未開封のまま持ってきたん──?」
「……これまでのサイズに関してはさ、秋介でも大丈夫だろうって思ってたんだよ。実際そうだったろ? でも今回のはまあ市販品のなかではたぶんかなりデカいほうで、これが大丈夫ならオレ、おまえと『ちゃんとセックスできると』思っちまったんだ──そうしたらなんか余裕なくてさぁ……」
「つまり早くオレに使わせたいから『これまでの手順を省略した』ってこと、なんだよな──?」
うん、改めて言おう。こいつはやっぱりバカだ、短絡的でガマンもできない、大型駄犬でポンコツ巨神兵なんだ。
そこがコイツのかわいいところなのかもしれない。凶悪な身長と体格であるとしても、まあ面影だけは幼少期のあのころと変わんねーし。
しかし何だかんだいって、この事実はおまえに付け入る隙をオレに与えちまったことに大智は気づいてるのか。
「じゃあさ、大智。この新アイテムがまずおまえのケツにちゃんと入って、安全に使えるんだって『オレの前で証明』してみせろよ。そんで大丈夫だっつーんなら、オレも受けてやるからさ──嘘はつかねーよ、けどそれが絶対条件だ」
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