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「えっ………?」
「わりーわりー、まぁ泣くなよこんなことでさ、ごめんって。な?」
「いや、たとえ同情でもっ、おれ相手にこんなことしたら……」
「責任だっけ? まーいいや、それなりには取ってやるよ」
ヤナギはその上背をかがめるようにしてタケルにキスを落とした。状況が完全に理解できずに硬直しているタケルのTシャツを「バンザイの要領」で脱がせてしまいソファに放り投げると、続けて勃起をもはやただ圧迫するだけのボクサーパンツも簡単に脱がせてしまった。ついでに足首に絡みついたままのハーフパンツごと、足をあげさせて脱がす。ほぼ同時に浅履きの靴下もあっさり引き抜いて、目の前には全裸になった元後輩の筋肉質な姿が、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「シャワー浴びてから行ってきたんだな、そんですぐ帰ってきたってか。べつに汗くさくもねーな」
ヤナギの舌がタケルの乳首にそっと触れる。何度か掠め上げて、それから舐めた。ビクンとタケルの全身が反応する。
「ちょっと、いやさすがに恥ずかしいっつーか、リビングでこんな……」
「今さらか? まあいいよ、今回はオレが悪かったしな、ベッド行くか?」
部屋まで導くようにしてヤナギが腰に腕を回すと、またタケルの全身が反応する。ヤナギは気にしていない様子だが、混乱したタケルに言葉はなく、ただ無言で、されるがままで。
やがて乱れのない白いシーツにタケルは抱き横たえられる。ヤナギは部屋の入り口で照明スイッチを操作して一瞬だけ部屋は暗くなり、やがて間接照明だけをやや強めに設定してベッドに戻る。
それから、先ほどとは逆の胸あたりに舌を這わせはじめた。
「ちょっと、あの先輩!? どういうつもりで……」
「責任とれ、だろ。どこまでがどうなのか知らんけど」
ヤナギの右手は、タケルの勃起をあらためて探るようにして指に掴む。すでに混乱と興奮の渦中にいるタケルのそれは、極限まで勃っていて先走りの雫がしたたり、細い糸を引いている。
「いやさすがにこれ、シャレになってないっていうか……」
「べつにシャレとかでやってるわけでもねーしな」
しっかりと根本から握られ高速に上下されると、タケルは思いのほか低い声で喘いだ。
「キモチーのか?」
「いや、はい……そんなされたらすぐイキそうっす……」
「そんな一瞬で終わらせちまうのも、なんか違ーのかな」
ヤナギは軽く、タケルと唇を合わせた。タケルはまだ混乱のうちにあるようで、されるがままの状態がつづく。
やがてヤナギの顔は離されてベッド下端へと遠ざかる。そしてためらいもなくタケルの勃起、先端を咥えてしまった。
「うぉ──ッ!」
じゅぽじゅぽと音をたててタケルの反応を窺うヤナギの、やけに物慣れた様子にタケルは混乱を深める。
「確かにこりゃでけーわ、オレおまえに身長では圧勝してんのに『ここの差』は話になんねーなぁ」
やけに親しげに笑いながら言うセリフは、いつものヤナギらしくもない──やっぱ酔ってるのかな、とタケルは思う。
さらに深く咥えられ、奥まで吸われて、衝動的にタケルの腰は浮き沈みをはじめる。つまりはヤナギの「口内に対しての突き上げ」をしていた。いまは同級生として接してもらっているが、かつては尊敬する部活の先輩、遠い存在だったヤナギに──だ。タケルの興奮はまっすぐに頂点へと向かう。
「ダメっす先輩、それだともうイッちゃいます!」
「んー」
わかっているのかどうか、ヤナギは追い込みをやめず、タケルの腰も止まらない。
「ダメっす、もうムリ──ッ!!」
ひときわ大きく腰が跳ねて、射精が始まった──それをヤナギは躊躇なく受け止める。実際問題として溜まりに溜まっていたタケルの射精は激しすぎて、びゅー、びゅる、ぶぶっ、などあまり聞かないような音をたてた。ヤナギはそれを飲み下そうとしたようだが途中で咽返り、口から逃げ出したそれを掴んで制御しようとしたが結果として、顔面に何度も浴びせられた濃い白濁液によって、その整った容姿を汚していく。
はーはーと息の荒いタケルは、ようやく勢いを失い、それでも暴れる勃起を握りしめてこちらを見上げてくるヤナギの表情の、その凄絶なエロさに脳を貫かれて──あ、これすぐ二回戦いけちまうな、などと思っていたが。
「はぁぁ、いやー思った以上にすごかったなおまえ。これで責任、取ったよなオレ──?」
「へ? え、いや。その……」
「幸いベッドそのものはあんま汚れてねーな、おまえそのまま今日はここで寝ていいぞ。オレはダメだな、これは──シャワー浴びてからリビングに客用のエアマット敷いて寝るわ。そんじゃーな」
「いやちょっと、待ってくださいよ! ていうか先輩まだイッてねーしこれじゃ、おれも『生殺し』っつーか……」
「ああ、べつに気は使うなよ。オレはシャワー浴びるついでに『自分で処理』してくっからよー」
バタン、とそのままドアは閉ざされた。薄明るい部屋に取り残されたタケルは、追いかけるようにして無意識に伸ばしていた右手をベッド上に投げ出して、完全に呆気にとられていた。
そして、大きめのマクラに顔を投げ打ちつけると大声で叫ぶ。
「わけわかんねーよ先輩、あんたいったい何なんだッ──!!」
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