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必定の習慣と自己嫌悪
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引退後からの受験準備。実質的にはもう半年もない──ただし、凱はもともと英語と国語の成績はわりとよかった。問題は社会だ。私立文系一本に絞るにしても、特に苦手というジャンルも得意なジャンルもない。とりあえずは航にも進められた世界史を選択したがどうにも年号を覚えるのが苦手で、いろいろなゴロ合わせでムリヤリに詰め込んでいる最中だった。
「はぁ……」
天井を仰ぎ見て、ため息を吐く。気晴らしにランニングにでも出ようかと思ったが、窓を開けると弱く雨が降り始めていてその気も失せた。それから不意に蒼のことを想う。
『スカウトで同期の捕手とちょっと仲良くなった──』
あたりまえのことだろう、何をひとりでバカみたいに動揺しているんだよ、オレは……。
確かにもともと気位の高いところのあるヤツではあるが、べつに協調性がないわけではなく、むしろ同年代の仲間ができたというのなら素直に祝福してやればいいだけだ。なのに内心では複雑なところを、すぐに蒼に悟られてしまった。
なんだか未来に期待が持てない。このまま現役で六大学に合格したとしても、プロ入りして蒼とバッテリーを組むなどという夢は具体的なわりにまるで現実的には感じられなかった。
あの夏の終わり、臨などは泣けるだけ泣きじゃくって周囲を心配させたが、泣き止んだその後はもう何も迷わなかったようだ──もっとも臨の場合は最初からプロ入りなど考えてはおらず、実は都内のスポーツ科学部のある大学をあらかじめいくつかピックアップしていたらしい。
凱は臨のようには、まだ本気になりきれていない自分を自覚していた。塾でも──この田舎町に予備校などというものはない──、自分だけがどこか地に足のついていないような違和感と浮揚感の中にいた。
集中力を欠き、のそりと立ち上がるとベッドに身を投げ出す。天井を見上げながら、右手は勝手に下半身へと伸びていた。
ズリネタは、最近はいつでも文化祭最終日のときの、あの蒼の声や姿だった。
『XLサイズでよかったんだよな。恥ずかしかったんだぜこれ買うの──』
あのときの蒼のセリフだけで、脳内に蒼の伸びやかな肢体が浮かび、下半身は電流でも走ったかのような疼きにやられる。すぐに完勃ちしたモノが下着ごとジャージを突き上げて高くテントを張る。合宿の風呂のときなど他の部員にもからかわれたが、凱はひとことでいえば巨根だった。もちろん勃起したところまで見られたのは、さすがに蒼ひとりだけではあるが。
想像するのは、まだされたことはないが、蒼が口淫する姿だった。仁王立ちになる凱の下腹部に左手をあてて、右手では先端のひときわ大きい部分を捉えて口へと運び、舌を這わせる。その大きさにすこしだけ弱気になる様子を見せながらも口を開けて咥えこんで、戸惑いながら息苦しそうに吸う。膝立ちになって必死に顎を動かす蒼自身もまた勃起を揺らしながら、裏スジにいやらしく舌を這わせて──。
そこまで考えただけでもう凱はジャージ越しの刺激では我慢できずに下着ごと脱ぎ捨てて半裸になり、数回だけ手を上下させるだけで、すぐにもうイきそうになってしまう。
特に自分が早漏だとか考えたことはなかったが、蒼とつながったあの日以来はダメだった。部活もなく持て余した体力はダイレクトに性欲に転換されて、毎日のようにくりかえすこの行為。何度くりかえしても衰えない刺激と、達するまでの早さと、放たれる精の量と。
「はァ……」
ダメだ。どうしたってやっぱり、また蒼とつながりたい。オレ自身の動きで蒼が達してしまう姿を、もう一度見てみたい。
そうやってようやく息が整って、襲ってくる急激な虚脱感とともに、もう勉強を再開する気力も喪われている。それがここのところの毎日だ。本当にダメなヤツだなオレは──と、凱は性懲りもなく自己嫌悪に苛まれるのだった。
「はぁ……」
天井を仰ぎ見て、ため息を吐く。気晴らしにランニングにでも出ようかと思ったが、窓を開けると弱く雨が降り始めていてその気も失せた。それから不意に蒼のことを想う。
『スカウトで同期の捕手とちょっと仲良くなった──』
あたりまえのことだろう、何をひとりでバカみたいに動揺しているんだよ、オレは……。
確かにもともと気位の高いところのあるヤツではあるが、べつに協調性がないわけではなく、むしろ同年代の仲間ができたというのなら素直に祝福してやればいいだけだ。なのに内心では複雑なところを、すぐに蒼に悟られてしまった。
なんだか未来に期待が持てない。このまま現役で六大学に合格したとしても、プロ入りして蒼とバッテリーを組むなどという夢は具体的なわりにまるで現実的には感じられなかった。
あの夏の終わり、臨などは泣けるだけ泣きじゃくって周囲を心配させたが、泣き止んだその後はもう何も迷わなかったようだ──もっとも臨の場合は最初からプロ入りなど考えてはおらず、実は都内のスポーツ科学部のある大学をあらかじめいくつかピックアップしていたらしい。
凱は臨のようには、まだ本気になりきれていない自分を自覚していた。塾でも──この田舎町に予備校などというものはない──、自分だけがどこか地に足のついていないような違和感と浮揚感の中にいた。
集中力を欠き、のそりと立ち上がるとベッドに身を投げ出す。天井を見上げながら、右手は勝手に下半身へと伸びていた。
ズリネタは、最近はいつでも文化祭最終日のときの、あの蒼の声や姿だった。
『XLサイズでよかったんだよな。恥ずかしかったんだぜこれ買うの──』
あのときの蒼のセリフだけで、脳内に蒼の伸びやかな肢体が浮かび、下半身は電流でも走ったかのような疼きにやられる。すぐに完勃ちしたモノが下着ごとジャージを突き上げて高くテントを張る。合宿の風呂のときなど他の部員にもからかわれたが、凱はひとことでいえば巨根だった。もちろん勃起したところまで見られたのは、さすがに蒼ひとりだけではあるが。
想像するのは、まだされたことはないが、蒼が口淫する姿だった。仁王立ちになる凱の下腹部に左手をあてて、右手では先端のひときわ大きい部分を捉えて口へと運び、舌を這わせる。その大きさにすこしだけ弱気になる様子を見せながらも口を開けて咥えこんで、戸惑いながら息苦しそうに吸う。膝立ちになって必死に顎を動かす蒼自身もまた勃起を揺らしながら、裏スジにいやらしく舌を這わせて──。
そこまで考えただけでもう凱はジャージ越しの刺激では我慢できずに下着ごと脱ぎ捨てて半裸になり、数回だけ手を上下させるだけで、すぐにもうイきそうになってしまう。
特に自分が早漏だとか考えたことはなかったが、蒼とつながったあの日以来はダメだった。部活もなく持て余した体力はダイレクトに性欲に転換されて、毎日のようにくりかえすこの行為。何度くりかえしても衰えない刺激と、達するまでの早さと、放たれる精の量と。
「はァ……」
ダメだ。どうしたってやっぱり、また蒼とつながりたい。オレ自身の動きで蒼が達してしまう姿を、もう一度見てみたい。
そうやってようやく息が整って、襲ってくる急激な虚脱感とともに、もう勉強を再開する気力も喪われている。それがここのところの毎日だ。本当にダメなヤツだなオレは──と、凱は性懲りもなく自己嫌悪に苛まれるのだった。
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