あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ

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「バーサ。この前は、付き合ってくれてありがとう。伝えるのが遅くなってごめん。彼女、とても喜んでくれたよ」

 ブラッドの台詞に、カミラとバーサは嫌でも思い知った。バーサが選ばされていたのは、カミラの誕生日プレゼントではなく、イライザの誕生日プレゼントだったということを。

「……あなた! 私にそんなこと、一言も言わなかったわよね!?」

 我慢できなくなったのか。バーサが涙目で叫んだ。カミラ以外の者が、びくっと身体を揺らす。

「……? 突然、なに? ぼく、ちゃんと言ったよね……? 誕生日プレゼントを選ぶの、手伝ってほしいって」

「その女のためだなんて、聞いてないわ!」

 ブラッドが「その女って」と、眉をひそめた。

「聞かれなかったから答えなかっただけだよ。それ、そんなに怒るようなこと?」

 バーサの怒りの理由は、使用人たちも、痛いほどよく理解していた。そもそもが、この誕生日パーティーは誰のために開かれるのですかと、誰もブラッドにたずねなかったのも、同じ理由だったのだから。

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