8 / 27
8
しおりを挟む
「バーサ。この前は、付き合ってくれてありがとう。伝えるのが遅くなってごめん。彼女、とても喜んでくれたよ」
ブラッドの台詞に、カミラとバーサは嫌でも思い知った。バーサが選ばされていたのは、カミラの誕生日プレゼントではなく、イライザの誕生日プレゼントだったということを。
「……あなた! 私にそんなこと、一言も言わなかったわよね!?」
我慢できなくなったのか。バーサが涙目で叫んだ。カミラ以外の者が、びくっと身体を揺らす。
「……? 突然、なに? ぼく、ちゃんと言ったよね……? 誕生日プレゼントを選ぶの、手伝ってほしいって」
「その女のためだなんて、聞いてないわ!」
ブラッドが「その女って」と、眉をひそめた。
「聞かれなかったから答えなかっただけだよ。それ、そんなに怒るようなこと?」
バーサの怒りの理由は、使用人たちも、痛いほどよく理解していた。そもそもが、この誕生日パーティーは誰のために開かれるのですかと、誰もブラッドにたずねなかったのも、同じ理由だったのだから。
ブラッドの台詞に、カミラとバーサは嫌でも思い知った。バーサが選ばされていたのは、カミラの誕生日プレゼントではなく、イライザの誕生日プレゼントだったということを。
「……あなた! 私にそんなこと、一言も言わなかったわよね!?」
我慢できなくなったのか。バーサが涙目で叫んだ。カミラ以外の者が、びくっと身体を揺らす。
「……? 突然、なに? ぼく、ちゃんと言ったよね……? 誕生日プレゼントを選ぶの、手伝ってほしいって」
「その女のためだなんて、聞いてないわ!」
ブラッドが「その女って」と、眉をひそめた。
「聞かれなかったから答えなかっただけだよ。それ、そんなに怒るようなこと?」
バーサの怒りの理由は、使用人たちも、痛いほどよく理解していた。そもそもが、この誕生日パーティーは誰のために開かれるのですかと、誰もブラッドにたずねなかったのも、同じ理由だったのだから。
4,074
お気に入りに追加
5,292
あなたにおすすめの小説

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。

婚約者の私には何も買ってはくれないのに妹に好きな物を買い与えるのは酷すぎます。婚約破棄になって清々しているので付き纏わないで
珠宮さくら
恋愛
ゼフィリーヌは、婚約者とその妹に辟易していた。どこに出掛けるにも妹が着いて来ては兄に物を強請るのだ。なのにわがままを言って、婚約者に好きな物を買わせていると思われてしまっていて……。
※全5話。

嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

従姉が私の元婚約者と結婚するそうですが、その日に私も結婚します。既に招待状の返事も届いているのですが、どうなっているのでしょう?
珠宮さくら
恋愛
シーグリッド・オングストレームは人生の一大イベントを目前にして、その準備におわれて忙しくしていた。
そんな時に従姉から、結婚式の招待状が届いたのだが疲れきったシーグリッドは、それを一度に理解するのが難しかった。
そんな中で、元婚約者が従姉と結婚することになったことを知って、シーグリッドだけが従姉のことを心から心配していた。
一方の従姉は、年下のシーグリッドが先に結婚するのに焦っていたようで……。

【完結】裏切ったあなたを許さない
紫崎 藍華
恋愛
ジョナスはスザンナの婚約者だ。
そのジョナスがスザンナの妹のセレナとの婚約を望んでいると親から告げられた。
それは決定事項であるため婚約は解消され、それだけなく二人の邪魔になるからと領地から追放すると告げられた。
そこにセレナの意向が働いていることは間違いなく、スザンナはセレナに人生を翻弄されるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる