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確実に。デリアを見るみんなの目は変化していた。
でも。
「クライブ殿下!」
放課後。学園の廊下を、イアンと二人で歩いていたクライブを後ろから呼び止めたのは、デリアだった。
「あたし、陛下にお呼ばれしてて。クライブ殿下たちも、これから王宮ですよね。よかったらご一緒してもいいですか? やっぱり王宮って、少し緊張して……」
「すまない。これから少し、学園で用があってね」
「どのくらいで終わりますか? あたし、待ってちゃ駄目ですか?」
上目遣いで、瞳を潤ませるデリアに、クライブがにこりと微笑む。
「父上が用意した、きみの迎えの馬車がもう来ているはずだよ。護衛がいるから心配はないと思うけど、気をつけて」
「え、あの」
返事を待たず、クライブは軽く手を振り背を向けた。イアンも、なにも異を唱えることなく。二人が向かう先は、フェリシアがいる教室。
そう。
クライブをはじめとする五人の攻略対象者たちのデリアへの態度は、なにも変わらなかった。
セオドアは、変わらずデリアに興味を示さず。クライブとイアンのように、ティモシーも、接する態度は変わらない。
テッドは──明らかにデリアを避けていたが、それはかまわなかった。
決めたのだ。もう。
だって。
「……あたしに相応しいのは、あなただけだもの」
低く吐露された想いは、空に混じり、溶けていった。
ころん。
机にペンを転がしたクライブは、椅子の背もたれに体重を預け、大きくため息をついた。
「集中出来ていないようですね」
右斜め後ろで待機しているイアンに指摘され、クライブは眉間に皺を寄せた。
王宮内にある、クライブの執務室。そこにはクライブとイアン、二人しかいない。だからつい、気が、口が揺るんでしまう。
「……どうしてあんなに、リサと酷似しているんだろう」
「半年も経とうというのに、まだ言いますか」
「勘違いしないでくれ。心が揺れているわけじゃない」
「そうですか。用があるなんて嘘をついてまで遠ざけようとしていたので、意識しているのかと思いました」
棘のある言葉に、クライブはじっとイアンを見上げた。
「お前のその怒りは、誰のためだ?」
「怒っていません」
「何年の付き合いだと思っている。誰が気付かずとも、わたしにはわかる」
「私にもわかります。顔が似ているという理由だけで、聖女デリアを、完全には拒絶できないということを──」
ぴくり。クライブの肩が揺れた。僅かな、けれど確かな動揺。相手がなにを言いたいのか。長い付き合いゆえ、わかってしまう。
女性の悲鳴が王宮内に響いたのは、そんなときだった。
──数分前。
「本日はこれで終了です。お疲れさまでした」
友好国である隣国の語学を担当する教師がそう締めくくると、フェリシアは、ありがとうございましたと、軽く頭を下げた。室内から緊張が解け、女性教師が頬を緩ませる。
「この後は、クライブ殿下とお茶会ですか?」
「お茶会というほど、大袈裟なものでは……」
「ふふ。未来の国王様と王妃様が仲睦まじいのは、我々も嬉しいものです」
では、これで失礼しますね。教師が早々に、部屋を出て行く。クライブがいつ来ても二人きりになれるようにと、気をきかせてのことだろう。
それぞれの予定が終われば、少しの時間でいい。二人でお茶をする。いつからか、それは日課となっていた。
「……クライブ殿下は優しいから、きっと誰が婚約者でも、同じことするんだろうな」
吐露してから、いいえ、と冷静に思考を巡らす。
デリアが聖女となれば、今度こそ、クライブの心は完全にあちらに向くと思っていた。変わらずデリアを意識してはいるようだが、フェリシアに対しての接し方も変わらない。それだけで充分──なのだが。
(……もしもあれが。デリアさんがわたしに水をかけられたと訴えたのが、デリアさんが聖女になった後だったら、どうなっていたんだろう)
まわりは、リンダは。クライブとイアンは、どちらを信じたのだろうか。
コンコン。コンコン。
思考にはまっていたフェリシアを現実に引き戻したのは、ノック音だった。この時間、タイミング的に、クライブだろうと予想したフェリシアは椅子から立ち上がり、慌てて扉を開いた。
「こんにちは」
けれどそこに立っていたのは、デリアだった。目を丸くするフェリシアを尻目に、デリアは室内を見回す。
「陛下から、あなたはこの時間、王妃教育を受けていると聞きまして。さっき、教師らしき人が出てきたから、いまならチャンスかなって思ったんですけど、当たりでしたね」
「……なんの」
デリアはフェリシアの肩をどんと押し、フェリシアが一歩下がったところで室内に入ると、後ろ手で扉を閉めた。
「……っ」
先ほどまで笑みを浮かべていたデリアの顔から、表情がなくなった。嫌いな佳奈と同じ顔のデリア。クライブが愛したリサと同じ顔のデリア。この世でもっとも見たくない顔が、目の前にある。あれほど避けていた人物と、二人きりの空間。
──逃げたい。
浮かんだのは、それだけ。頭で考えるより先に、身体が動いた。ここは二階で、出入り口は一つだけだから、デリアの横を通らなければならない。でも、そんなことすら考える余裕はなかった。ただ、ここから逃げたい。その一心で、足を前に動かす。
横切るとき、デリアが懐からなにかを取り出した。窓から入る西日が、それにきらっと反射する。
(……ナイフ……?)
気付いたとき。デリアはそれを、自身の左腕──肘からに下にかけて、切り裂いた。
つうっと血が滲み出し、ぽたりぽたりと真っ赤な液体が床に落ちる。
ひっ。
声にならない悲鳴を上げるフェリシアの間近で、デリアがすうっと息を吸った。
「きゃああああーっっ!!!!」
突然の大声。いや、悲鳴に、フェリシアはびくりと身体を揺らした。目の前でなにが行われているのかわからず、パニックで頭が真っ白になる。
デリアはナイフをその場にからんと落とし、自身で傷付けた腕を庇うようにしながら、部屋を出て行く。開け放たれた扉から、こちらに駆け寄ってくる兵士の姿が視界に入った。
「どうされました?!」
「……フェ、フェリシア様が、いきなり、あたしを……っ」
兵士も驚愕していたが、フェリシアは、その比ではなかった。状況が理解できず、言葉を失う。
聖女を傷付けたのだ。これが平民なら、有無を言わさず捕らえられていただろう。でも、相手は公爵令嬢であり、第一王子の婚約者だ。兵士も、咄嗟に動けずにいた。
「……クライブ殿下……っ」
実際は数秒だったかもしれないが、その数倍の時間を感じていたフェリシア。目の前で狂気の行動を見せた女が、被害者のように震え、前からやってきた人物の名を呼び、縋り付くように腕の中に飛び込む様子を、ただ黙って見ていることしかできなかった。
でも。
「クライブ殿下!」
放課後。学園の廊下を、イアンと二人で歩いていたクライブを後ろから呼び止めたのは、デリアだった。
「あたし、陛下にお呼ばれしてて。クライブ殿下たちも、これから王宮ですよね。よかったらご一緒してもいいですか? やっぱり王宮って、少し緊張して……」
「すまない。これから少し、学園で用があってね」
「どのくらいで終わりますか? あたし、待ってちゃ駄目ですか?」
上目遣いで、瞳を潤ませるデリアに、クライブがにこりと微笑む。
「父上が用意した、きみの迎えの馬車がもう来ているはずだよ。護衛がいるから心配はないと思うけど、気をつけて」
「え、あの」
返事を待たず、クライブは軽く手を振り背を向けた。イアンも、なにも異を唱えることなく。二人が向かう先は、フェリシアがいる教室。
そう。
クライブをはじめとする五人の攻略対象者たちのデリアへの態度は、なにも変わらなかった。
セオドアは、変わらずデリアに興味を示さず。クライブとイアンのように、ティモシーも、接する態度は変わらない。
テッドは──明らかにデリアを避けていたが、それはかまわなかった。
決めたのだ。もう。
だって。
「……あたしに相応しいのは、あなただけだもの」
低く吐露された想いは、空に混じり、溶けていった。
ころん。
机にペンを転がしたクライブは、椅子の背もたれに体重を預け、大きくため息をついた。
「集中出来ていないようですね」
右斜め後ろで待機しているイアンに指摘され、クライブは眉間に皺を寄せた。
王宮内にある、クライブの執務室。そこにはクライブとイアン、二人しかいない。だからつい、気が、口が揺るんでしまう。
「……どうしてあんなに、リサと酷似しているんだろう」
「半年も経とうというのに、まだ言いますか」
「勘違いしないでくれ。心が揺れているわけじゃない」
「そうですか。用があるなんて嘘をついてまで遠ざけようとしていたので、意識しているのかと思いました」
棘のある言葉に、クライブはじっとイアンを見上げた。
「お前のその怒りは、誰のためだ?」
「怒っていません」
「何年の付き合いだと思っている。誰が気付かずとも、わたしにはわかる」
「私にもわかります。顔が似ているという理由だけで、聖女デリアを、完全には拒絶できないということを──」
ぴくり。クライブの肩が揺れた。僅かな、けれど確かな動揺。相手がなにを言いたいのか。長い付き合いゆえ、わかってしまう。
女性の悲鳴が王宮内に響いたのは、そんなときだった。
──数分前。
「本日はこれで終了です。お疲れさまでした」
友好国である隣国の語学を担当する教師がそう締めくくると、フェリシアは、ありがとうございましたと、軽く頭を下げた。室内から緊張が解け、女性教師が頬を緩ませる。
「この後は、クライブ殿下とお茶会ですか?」
「お茶会というほど、大袈裟なものでは……」
「ふふ。未来の国王様と王妃様が仲睦まじいのは、我々も嬉しいものです」
では、これで失礼しますね。教師が早々に、部屋を出て行く。クライブがいつ来ても二人きりになれるようにと、気をきかせてのことだろう。
それぞれの予定が終われば、少しの時間でいい。二人でお茶をする。いつからか、それは日課となっていた。
「……クライブ殿下は優しいから、きっと誰が婚約者でも、同じことするんだろうな」
吐露してから、いいえ、と冷静に思考を巡らす。
デリアが聖女となれば、今度こそ、クライブの心は完全にあちらに向くと思っていた。変わらずデリアを意識してはいるようだが、フェリシアに対しての接し方も変わらない。それだけで充分──なのだが。
(……もしもあれが。デリアさんがわたしに水をかけられたと訴えたのが、デリアさんが聖女になった後だったら、どうなっていたんだろう)
まわりは、リンダは。クライブとイアンは、どちらを信じたのだろうか。
コンコン。コンコン。
思考にはまっていたフェリシアを現実に引き戻したのは、ノック音だった。この時間、タイミング的に、クライブだろうと予想したフェリシアは椅子から立ち上がり、慌てて扉を開いた。
「こんにちは」
けれどそこに立っていたのは、デリアだった。目を丸くするフェリシアを尻目に、デリアは室内を見回す。
「陛下から、あなたはこの時間、王妃教育を受けていると聞きまして。さっき、教師らしき人が出てきたから、いまならチャンスかなって思ったんですけど、当たりでしたね」
「……なんの」
デリアはフェリシアの肩をどんと押し、フェリシアが一歩下がったところで室内に入ると、後ろ手で扉を閉めた。
「……っ」
先ほどまで笑みを浮かべていたデリアの顔から、表情がなくなった。嫌いな佳奈と同じ顔のデリア。クライブが愛したリサと同じ顔のデリア。この世でもっとも見たくない顔が、目の前にある。あれほど避けていた人物と、二人きりの空間。
──逃げたい。
浮かんだのは、それだけ。頭で考えるより先に、身体が動いた。ここは二階で、出入り口は一つだけだから、デリアの横を通らなければならない。でも、そんなことすら考える余裕はなかった。ただ、ここから逃げたい。その一心で、足を前に動かす。
横切るとき、デリアが懐からなにかを取り出した。窓から入る西日が、それにきらっと反射する。
(……ナイフ……?)
気付いたとき。デリアはそれを、自身の左腕──肘からに下にかけて、切り裂いた。
つうっと血が滲み出し、ぽたりぽたりと真っ赤な液体が床に落ちる。
ひっ。
声にならない悲鳴を上げるフェリシアの間近で、デリアがすうっと息を吸った。
「きゃああああーっっ!!!!」
突然の大声。いや、悲鳴に、フェリシアはびくりと身体を揺らした。目の前でなにが行われているのかわからず、パニックで頭が真っ白になる。
デリアはナイフをその場にからんと落とし、自身で傷付けた腕を庇うようにしながら、部屋を出て行く。開け放たれた扉から、こちらに駆け寄ってくる兵士の姿が視界に入った。
「どうされました?!」
「……フェ、フェリシア様が、いきなり、あたしを……っ」
兵士も驚愕していたが、フェリシアは、その比ではなかった。状況が理解できず、言葉を失う。
聖女を傷付けたのだ。これが平民なら、有無を言わさず捕らえられていただろう。でも、相手は公爵令嬢であり、第一王子の婚約者だ。兵士も、咄嗟に動けずにいた。
「……クライブ殿下……っ」
実際は数秒だったかもしれないが、その数倍の時間を感じていたフェリシア。目の前で狂気の行動を見せた女が、被害者のように震え、前からやってきた人物の名を呼び、縋り付くように腕の中に飛び込む様子を、ただ黙って見ていることしかできなかった。
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