16 / 17
16
しおりを挟む
「……ど、どういう意味ですか」
訳がわからないといった風に、ヘクターが問いかける。パトリスは、わかりませんか? と首を傾げた。
「あなたはもう、ローナの婚約者ではない。にもかかわらず、ユーイン様とローナが異母兄弟であると知ってしまった。ローナが、陛下の子であることも」
ひゅっ。
ヘクターは息を呑み、顔面蒼白になった。
「……ちょ、ちょっと待ってください……それは、あなたたちが勝手にっっ」
「訊ねたのは貴様だろう」
「……だ、誰にも言いません! 約束しますから!!」
「悪いが、信じられんな」
吐き捨てられ、ヘクターは絶望した。震えながら、すがるように、力の限り叫んだ。
「……ローナ! 助けてくれ! このままではぼくは、殺されてしまう……っっ!!」
びくっと肩を揺らしながらも、ローナは答えた。
「お、お兄様たちは、そんなことしません」
ぶちっ。
その言葉に、ヘクターの怒りが一瞬で頂点へと達した。
「……このくそ女がぁぁぁっっっ!!!」
わめき散らすヘクターは、再び口に布を突っ込まれ、ユーインに命じられたデールによって、ユーインが学園まで乗ってきた馬車までずるずると引きずられていった。そしてそのまま、有無を言わさずその馬車に乗せられ、城へと連れて行かれたのだった。
訳がわからないといった風に、ヘクターが問いかける。パトリスは、わかりませんか? と首を傾げた。
「あなたはもう、ローナの婚約者ではない。にもかかわらず、ユーイン様とローナが異母兄弟であると知ってしまった。ローナが、陛下の子であることも」
ひゅっ。
ヘクターは息を呑み、顔面蒼白になった。
「……ちょ、ちょっと待ってください……それは、あなたたちが勝手にっっ」
「訊ねたのは貴様だろう」
「……だ、誰にも言いません! 約束しますから!!」
「悪いが、信じられんな」
吐き捨てられ、ヘクターは絶望した。震えながら、すがるように、力の限り叫んだ。
「……ローナ! 助けてくれ! このままではぼくは、殺されてしまう……っっ!!」
びくっと肩を揺らしながらも、ローナは答えた。
「お、お兄様たちは、そんなことしません」
ぶちっ。
その言葉に、ヘクターの怒りが一瞬で頂点へと達した。
「……このくそ女がぁぁぁっっっ!!!」
わめき散らすヘクターは、再び口に布を突っ込まれ、ユーインに命じられたデールによって、ユーインが学園まで乗ってきた馬車までずるずると引きずられていった。そしてそのまま、有無を言わさずその馬車に乗せられ、城へと連れて行かれたのだった。
262
お気に入りに追加
1,100
あなたにおすすめの小説




見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)


どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる