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両家の話し合いの中で、マリアーノ伯爵はむろんのこと、カステロ伯爵夫妻にも、烈火のごとく怒鳴られたバージル。
エリカは、必要なことを告げたあと「これであなたとわたしは他人ですので、お互い、話しかけるのは止めましょう」と言い捨て、さっさとマリアーノ伯爵の屋敷に帰っていってしまった。
アルマも、深夜に起こった出来事を証言したあと、バージルを振り返ることなく、エリカと一緒にマリアーノ伯爵の屋敷に行ってしまった。
残されたバージルを庇う者は、誰もいない。散々怒鳴られ続けたあと、バージルはひと月、自室での謹慎処分を命じられた。
謹慎処分がとけたあと。
半ば追い出されるかたちで、王立学園に登校したバージル。何もかもを失ったうえ、約束されていた将来さえ無くなってしまったバージルは、無気力になっていた。
エリカと廊下ですれ違うことはあっても、決して目を合わせてくれず、まるで最初から他人だったように、存在を無視された。
もしかして、という想像をしていたぶん。ずっと、心のダメージは大きかった。
『あなたは同じ条件で、魅力的な令嬢と婚約し直せる機会を得たのですよ?』
吐き捨てられた言葉が頭をまわる。確かに、それも一理あると思いながらも、気分は塞ぎ込んだまま。
「……本当に、姉上以外の女性を愛せるのかな」
そもそも。条件が良い令嬢は、とっくに婚約している。学園に通う年齢の令嬢なら、なおさら。
(……父上は、もう、僕の婚約者を探す気はないみたいだし)
無理だ。覚悟を決め、貴族の令息に相応しい職業につくことを考えなければ。わかってはいるのだが、バージルは勉学がさして得意ではなく、剣の腕もないため、それは限られてくる。
「……もっとよく考えて行動すればよかった」
いかに自分が恵まれていたか。身をもって知ったバージル。そんなバージルがとある子爵令嬢に告白されたのは、それから半月ほど経ったころのこと。
「……え?」
「あたし、バージル様のこと、ずっといいなって思ってて。そしたら、エリカ様と別れられたって聞いて、居てもたってもいられなくて」
放課後。校舎裏に呼び出されたと思ったら、初対面の相手に告白をされた。同じ年の彼女は、年よりさらに幼く見え、年上好きのバージルからすれば、好みからは遠くかけ離れていて。
でも。
「……きみに、男兄弟はいるの?」
「いえ、いません」
「きみは長女、だったりする?」
「はい。ですから、その……もしあたしと結婚すれば、バージル様には、将来、あたしのお父様の後を継いでもらうことにはなってしまうのですが」
これは、神が与えてくれた最後のチャンスではないか。そう考えたバージルは、それを逃すまいと、その場で告白の返事をした。
エリカは、必要なことを告げたあと「これであなたとわたしは他人ですので、お互い、話しかけるのは止めましょう」と言い捨て、さっさとマリアーノ伯爵の屋敷に帰っていってしまった。
アルマも、深夜に起こった出来事を証言したあと、バージルを振り返ることなく、エリカと一緒にマリアーノ伯爵の屋敷に行ってしまった。
残されたバージルを庇う者は、誰もいない。散々怒鳴られ続けたあと、バージルはひと月、自室での謹慎処分を命じられた。
謹慎処分がとけたあと。
半ば追い出されるかたちで、王立学園に登校したバージル。何もかもを失ったうえ、約束されていた将来さえ無くなってしまったバージルは、無気力になっていた。
エリカと廊下ですれ違うことはあっても、決して目を合わせてくれず、まるで最初から他人だったように、存在を無視された。
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(……父上は、もう、僕の婚約者を探す気はないみたいだし)
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「……もっとよく考えて行動すればよかった」
いかに自分が恵まれていたか。身をもって知ったバージル。そんなバージルがとある子爵令嬢に告白されたのは、それから半月ほど経ったころのこと。
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「はい。ですから、その……もしあたしと結婚すれば、バージル様には、将来、あたしのお父様の後を継いでもらうことにはなってしまうのですが」
これは、神が与えてくれた最後のチャンスではないか。そう考えたバージルは、それを逃すまいと、その場で告白の返事をした。
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