死にたがり令嬢が笑う日まで。

「これだけは、覚えておいてほしい。わたしが心から信用するのも、愛しているのも、カイラだけだ。この先、それだけは、変わることはない」

 真剣な表情で言い放つアラスターの隣で、肩を抱かれたカイラは、突然のことに驚いてはいたが、同時に、嬉しそうに頬を緩めていた。二人の目の前に立つニアが、はい、と無表情で呟く。

 正直、どうでもよかった。

 ニアの望みは、物心ついたころから、たった一つだけだったから。もとより、なにも期待などしてない。


 ──ああ。眠るように、穏やかに死ねたらなあ。


 吹き抜けの天井を仰ぐ。お腹が、ぐうっとなった。

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