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「……違う。本当に、違うんだ。ぼくはシャノンと付き合ってから、パティがいかにわがままだったか。どれだけ振り回されてきたか、思い知ったんだ……だから、今度は、ぼくが振り回してやろうと、思って……」
リッキーが、ぼろぼろと涙を流しはじめた。しゃくりあげながら、シャノンに必死に訴えかけてくる。
「……不貞行為は、した。でも、もうパティに愛情なんてない……愛しているのは、シャノンだけだ……っ」
リッキーが手を伸ばす。シャノンが嫌悪感から、一歩、後退った。
──そのとき。
「聞きしに勝る屑だな、貴様は」
馬車から出てきた人影が、シャノンに向かって伸ばされたリッキーの腕を掴んだ。
「……ハーヴィー! 出てこないでって、あれほどお願いしたのに……っ」
「充分、我慢した。それに、屑男が恋人に触れようとするのを、黙ってみていろと?」
シャノンと見つめ合う、はじめて見る長身の男を見上げ、リッキーは瞠目した。
「……だ、れだ?」
いや、そんなことよりも。
「……恋人? 誰が、誰の……?」
呆然とするリッキーの腕をぎりっと締めながら、ハーヴィーと呼ばれた男は「屑に加え、馬鹿とはな」と、吐き捨てた。
「い、いたっ……はなせっ! はなせよ!!」
喚くリッキーの腕を、ハーヴィーが、ぱっとはなした。蔑んだ目を向けながら。
「…………っ」
妙な圧を感じたリッキーは、息を呑んだ。
リッキーが、ぼろぼろと涙を流しはじめた。しゃくりあげながら、シャノンに必死に訴えかけてくる。
「……不貞行為は、した。でも、もうパティに愛情なんてない……愛しているのは、シャノンだけだ……っ」
リッキーが手を伸ばす。シャノンが嫌悪感から、一歩、後退った。
──そのとき。
「聞きしに勝る屑だな、貴様は」
馬車から出てきた人影が、シャノンに向かって伸ばされたリッキーの腕を掴んだ。
「……ハーヴィー! 出てこないでって、あれほどお願いしたのに……っ」
「充分、我慢した。それに、屑男が恋人に触れようとするのを、黙ってみていろと?」
シャノンと見つめ合う、はじめて見る長身の男を見上げ、リッキーは瞠目した。
「……だ、れだ?」
いや、そんなことよりも。
「……恋人? 誰が、誰の……?」
呆然とするリッキーの腕をぎりっと締めながら、ハーヴィーと呼ばれた男は「屑に加え、馬鹿とはな」と、吐き捨てた。
「い、いたっ……はなせっ! はなせよ!!」
喚くリッキーの腕を、ハーヴィーが、ぱっとはなした。蔑んだ目を向けながら。
「…………っ」
妙な圧を感じたリッキーは、息を呑んだ。
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