あなたがわたしを本気で愛せない理由は知っていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。

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「……わたしは、あなたたちの人間性を疑います。二度と関わり合いになりたくないので、もう話しかけてこないでください。婚約解消の件、お父様には、わたしから伝えますので」

　言い捨て、その場から立ち去ろうとするミラベルを、オーブリーとマルヴィナが前に立ち塞がり、必死に止める。

「待ってって！　ごめん。事実とはいえ、流石に言い過ぎたかもっ」

「あなたはオーブリー様と違って、この方をちゃんと愛していたんですものね。いきなり愛人だなんて、話が急すぎました。でも、もっとよく考えた方がよろしいかと」

　人の神経を逆なですることが妙にうまいこの二人は、案外お似合いかもしれない。怒りと哀しみがない交ぜになった心でミラベルはうっすら思ったが、気付けばそれを、表に、言葉として出していた。

「……お二人、とてもお似合いですよ。愛人だなんていわず、ちゃんとお付き合いされてみては？」

　いや、だって。オーブリーが歯切れ悪く、ごにょごにょと口を動かした。

「……きみはぼくの家族にとても好かれているし……絶対、父上から怒られる……それに」

　子どもか。
　ほんの少し前まで、こういうところも可愛いだなどと思えるときもあったが、今はもう、ただただ、ミラベルは血管が切れるのではないかというぐらいに、イラッとした。