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「わたしはとにかく、あなた嫌いで嫌いで、一緒にいるのがストレスでしかなくて。だからお父様たちに、別れの許可を得られたとき、心から嬉しかった。それだけで良かったから、あなたの先のことなんて、興味はなかったのですが──」

 ふふ。クラリッサは、ふわっと頬を緩めた。

「自意識過剰のナルシストなあなたが、これからは貴族令息ではなく、平民として、使用人として過ごす姿を想像したら……正直、わたしも性格が悪いなと思いますが、いい気味だと胸がすっとしてしまいました」

 見たことのない笑顔で、とんでもないことを言うクラリッサ。怒りよりも唖然としてしまったベイジルは、背に腹はかえられないとばかりに、今度はネリーに視線を移した。

「……ネリー、お願いがある。聞いた通り、ぼくは慰謝料を支払わなければならない。でも、それさえなくなれば自由になれるんだ。だから、きみの父親に慰謝料を肩代わりしてくれるよう、頼んでくれないかな。その代わり、ぼくはきみだけのものになると約束するから」

 全員がネリーに注目する中、ネリーは「……あ、あたしのものになってほしくないので、お断りします……」と、拒絶するように両手を前に出した。その表情は、化け物を見たかのように青く、歪んでいた。

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