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「安心しろ。平民のお前でも、住み込みの使用人として雇ってもらえるところを私が責任を持って探してやる。住み込みなら、衣食住は保障されるから、給金はすべて、慰謝料にまわせるだろう?」

 ベイジルの肩にぽんと手を置き、ロペス伯爵が笑う。ベイジルの顔から、どんどん血の気が引いていく。あてはあるのかというモンテス伯爵の問いに、ロペス伯爵が、ああ、と頷く。

「親戚が、辺境伯に嫁いだんだ。国の最北端にあるから、ここからも王都からも遠い地にあるし、付き合いもあるから、こいつの本性を伝えて、給金もすべてクラリッサに送金するように頼むつもりだ」

「そうか。もし断られたら私に言ってくれ。つてはいくらでもある。なんなら、鉱山で働かせるのもありだしな」

「それはいい」

 ロペス伯爵とモンテス伯爵がにこやかに笑い合う姿に、ベイジルは、ぞっとした。

「じょ、冗談、ですよね?」

 ロペス伯爵は「……そう思うなら、一生、そう思っていろ」と、ぴたっと笑うのを止めた。嘘じゃない、本気なんだとようやく悟ったベイジルは、縋るようにクラリッサの名前を呼んだ。

「なあ、ぼくはそんなにきみに酷いことをしただろうか? こんなに惨い罰を受けるほどのことをしたかな……?」

 ボロボロと涙を流し始めたベイジルに、クラリッサは、そうですねえ、と少し困ったように頬に手を添えた。



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