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「あまり人の容姿にどうこういうのはよくないことはわかっております。が、あなたは普段から、わたしの容姿や体型を貶してきたのですから、よいですよね? いいですか。あなたの容姿は特別優れているわけでもなんでもなく、平凡そのものです。いつも令嬢に見惚れられているなんてのは、単なる思い込みです。見ていて、とても痛々しかった。それに、常々ぼくは優秀だからと自慢していましたが、少なくとも学園の成績は、下から数えた方が早かったですよね? なにをもって、自分は魅力的だと、優秀だと勘違いしたのですか? 過大評価は結構ですが、そこのところ、詳しく教えてくださいます?」

「な……っっ」

 頭に血がのぼりすぎて、声をなくすベイジルに、クラリッサがたたみかける。

「学園で、学友ができるのを楽しみにしていました。なのにあなたは、わたしが男性どころか女性と親しく話すだけで、不機嫌になり、ぼくよりあいつらが大事なのかと怒鳴りつけ、あげく無視をしてきた。結果、わたしには学友が一人もできずにいたのに、あなたは浮気のうえ、不貞行為までしていた。その言い訳が、最初はネリーさんの妄想。最後は開き直り、不貞行為を認めたうえで、ぼくは優しいから同情から抱いただけ、でしたっけ」

 クラリッサは捲し立ててから、ゆらりと口角を上げた。

「一切悪びれることなく嘘をつき、暴言まみれのあなたはどんな倫理観をお持ちなのでしょう。ネリーさんの言うとおり、あなたは人としておかしいのです。わたしはその言葉に自信を持ち、お父様たちに、ネリーさんとの浮気のことだけでなく、あなたのすべてを伝えることにしました。そうしたら、お父様たちはおっしゃってくださったのです。どうしてもっと早く言わなかったのかと。そんな男に、不貞行為など関係なく、大事な娘はやれないって」

 クラリッサは心から嬉しそうに、胸に手を当てた。

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