真実の愛は、誰のもの?

ふまさ

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 あからさま。というほどではなかったが、ジェマがショックを受けているように、少なくともミアには見えた。

(……ひょっとして、ジェマさん、エディのこと)

「そ、うなの。ふーん。婚約者ね。いっつもあたしの後をついてきて、離れなかったあんたがねぇ」

「もうあまり覚えてないけど、そうだったかも。父さんが忙しくて、あまり家にいなかったから、きみたちの家族にはとてもお世話になったよね」

「……なのにあなたは、突然、消えてしまった」

「ごめん」

 謝罪のみで、訳を話そうとしないエディに、仕方ないわねぇ、とジェマは苦笑した。

「やむを得ない事情があったんでしょ? 特別に、許してあげるわ」

「ありがとう」

 心なしか、いつもより幼く見えるエディを見詰めるミア。

(……ジェマさんは、エディのお父様を知っているんだ。それに、ルソー伯爵に引き取られる前のエディも)

 それはきっと。ルソー伯爵の元にいる頃より、ずっと幸せだったはずで。

「ねえ。いま、何処に住んでるの? あたし、今日は仕事休みなんだけど、何処かでお茶でもしない?」

 ジェマに誘われたエディは、少し困った顔をした。あ、とミアは察した。わたしのせいで、エディが迷っていると。

(……わたしがあんなこと言ったから)

「ごめん。ちょっと、いまは……」

 せっかくの再会。台無しにしたくない。その思いから、エディの返事に重なるように、ミアは声を上げた。

「ぜ、ぜひ、お願いします。つもる話しもあるでしょうから」

「いいの? あ、もちろん。婚約者のあなたも一緒に」

「いえ。せっかくの再会ですから、お二人で」

「──ミア」

 静かに名を呼んだエディの声色は、少しの怒気が混じっていた。ミアが、えと、と口ごもる。

「……お邪魔でなければ、わたしも一緒に」

「うん、うん。もちろんよ。婚約者がいる相手と二人きりになろうなんて無粋なこと、あたしはしないわ」

 そうときまれば。ジェマは、ぱんと手をうった。

「おすすめの店はある? あたし、王都に来てから日があさいうえに、忙しくて、街を探索するのは今日がはじめてなの」

「そうだったのか。それにしても、どうして王都に? おじさんとおばさんは?」

 ジェマは、ふふん、と胸を張った。

「お父さんの事業がうまくいってね。王都にも店を出店するまでになったんだけど、そこの店の経営を、あたしが任されたの」

「へえ。それはすごいな」

「でしょう?」

 自信と希望に満ちあふれている彼女は、ミアには、とても眩しく見えた。

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