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ミアの中で、なにかが引っかかった。
(心を守るために、別人格が生まれるのだとしたら、ダリアって子が生まれたのは、どうしてなんだろう)
エディとの口付けが恥ずかしくて、生まれた? そんな馬鹿な。
どくん。
心臓が、一つ、跳ねた。
「──ミア?」
深く沈みそうになっていたとき、名を呼ばれ、ミアはびくりと肩を揺らした。
「は、はい」
「ごめん。想いが強すぎて、引いてしまったかな」
「そ、そんなことありません!」
「なら、よかった」
エディがミアを引き寄せ、抱き締めた。おろおろするミアが、顔を赤くしながらジェンキンス伯爵たちに視線を向ける。
「あ、あの。お父様たちが……っ」
「かまわないよ。憂いが晴れて、エディも嬉しいのだろう」
「ええ、わたしたちのことは気にしないで。なんなら、席を外しましょうか?」
ジェンキンス伯爵とジェンキンス伯爵夫人が、穏やかに笑う。エディも、本当に嬉しそうで。
照れくさかったけど、心は満たされていて。僅かな疑問など、どうでもよくなってきていた。
思い返せば、昔からそうだった。記憶の欠如や、ふいに怖ろしいなにかが襲ってくるような感覚など。見て見ぬふりをした。そうしているうちに、それらが気にならなくなって。
(……わたしの中に、別人格がいるのは、正直まだよく理解できないし、怖いけど)
他の誰でもない、この三人がそれを受け止めてくれているなら。それでいい。
──例えば、話しが意図的に逸らされたのだとしても、みんながそれを望むなら、わたしはこれ以上、これについて、なにも聞かない。
心の中で静かに決意したミアは、エディの背中に、そっと腕をまわした。
(心を守るために、別人格が生まれるのだとしたら、ダリアって子が生まれたのは、どうしてなんだろう)
エディとの口付けが恥ずかしくて、生まれた? そんな馬鹿な。
どくん。
心臓が、一つ、跳ねた。
「──ミア?」
深く沈みそうになっていたとき、名を呼ばれ、ミアはびくりと肩を揺らした。
「は、はい」
「ごめん。想いが強すぎて、引いてしまったかな」
「そ、そんなことありません!」
「なら、よかった」
エディがミアを引き寄せ、抱き締めた。おろおろするミアが、顔を赤くしながらジェンキンス伯爵たちに視線を向ける。
「あ、あの。お父様たちが……っ」
「かまわないよ。憂いが晴れて、エディも嬉しいのだろう」
「ええ、わたしたちのことは気にしないで。なんなら、席を外しましょうか?」
ジェンキンス伯爵とジェンキンス伯爵夫人が、穏やかに笑う。エディも、本当に嬉しそうで。
照れくさかったけど、心は満たされていて。僅かな疑問など、どうでもよくなってきていた。
思い返せば、昔からそうだった。記憶の欠如や、ふいに怖ろしいなにかが襲ってくるような感覚など。見て見ぬふりをした。そうしているうちに、それらが気にならなくなって。
(……わたしの中に、別人格がいるのは、正直まだよく理解できないし、怖いけど)
他の誰でもない、この三人がそれを受け止めてくれているなら。それでいい。
──例えば、話しが意図的に逸らされたのだとしても、みんながそれを望むなら、わたしはこれ以上、これについて、なにも聞かない。
心の中で静かに決意したミアは、エディの背中に、そっと腕をまわした。
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