真実の愛は、誰のもの?

ふまさ

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 同じような経験をした人を探していたわけじゃない。傷の舐めあいをしたいわけでもなかった。

 でも、ミアのこれまでの人生に、心が揺れた。身体が震えた。

 だから、気付いてくれたのか。覚えていないのに、傷付く痛みは覚えていて。


『……わたしにとって、大人の男の人は、怖い存在なんです。そんな人と向かい合うとき、わたしの身体は、震えたり、強張ったりします。時には、泣いてしまうこともあります』


 はじめて会ったとき、ミアはそう言っていた。ミアが忘れてしまった、大人の男の人を怖れる原因。それを知り、エディの目に涙が溢れた。

 支えたい。抱き締めてあげたい。甘やかしてあげたい。この想いが同情からくるものなのか、なんなのか。自身でもよくわからなかったが、そんな想いが、一気に溢れてきた。

「……そんなこと、思うはずないじゃないですか」

 エディは服の袖で涙を拭うと、決意を宿した双眸を、ジェンキンス伯爵に向けた。

「僕も、ジェンキンス伯爵と夫人のように、ミア嬢のすべてを受け止め、愛したいです」

 決して偽りではない、あまりに真っ直ぐな言葉に、ジェンキンス伯爵は驚いたと同時に、困惑もしていた。

(……まだ、十の子どもが。私とホリーですら、すべてを受け入れるのに、時間を要したというのに)  

 ジェンキンス伯爵は、膝の上に置いたこぶしを強く握った。

「エディ。もう一度、同じ質問をしてもいいかな」

 エディはてっきり、ミアのことについてのことだと思い、はい、と間を置かず首を縦にふった。でも。

「──なにか、悩みや、困ったことがあるのではないか?」

「……え?」

「きみがはじめてこの屋敷に来たとき、聞いたよね。なにか困ったことがあったら、なんでも相談していい。力になるからと。覚えているかな」

 エディは目を瞠りながら、どうして、と不安げに呟いた。

「……どうして、そんなことをおたずねになるのですか。いまは、ミア嬢の話をしていたはずではないですか。それともなにか、僕はしてしまったのでしょうか」

「違うよ。そうではない。ただ、きみが心配になっただけだ」

「……心配?」

「そうだ。きみにとってルソー伯爵は、どんな存在なのかな」

「……どんなって……あの」

 尊敬できる父親です。とでも答えるのが、正解なのだろう。けれど、口が動いてくれない。全身が、それを拒否している。

 下を向いていても、ジェンキンス伯爵がこちらの様子をうかがっているのを肌で感じる。どうして。ミアに相応しい相手かどうか。ミアを本当に幸せにしてくれる相手かどうか、見定められているのだろうか。

「……僕は」

 考えがまとまらないまま、エディは、ゆっくりと口を開いた。

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