真実の愛は、誰のもの?

ふまさ

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「きみが生まれたのは、僕のせい?」

 日暮れ。王都への出入口の城門が閉まる前にどうにか王都を出立した馬車が、エディとルシンダを乗せ、薄闇に染まろうとする街道を走る。

 どこか痛みを伴うような声色に、ルシンダは口元を緩めた。

「わかっているのでしょう? 原因は、コーリー。誰の目にも明らかだわ」

「……いいや。僕にも充分、責任はある」

 重く吐露すると、エディは、正面に座るルシンダを見た。

「ダリアから話を聞いていたと言っていたね」

「ええ」

「会話ができるの?」

「できるわ」

「ミアとも?」

 ルシンダは、いいえ、と緩く頭をふった。

「あの子は、表に出ているとき以外は、眠っているから。だから中にいるときに、話し相手ができて嬉しいって、ダリアはわたしがうまれたこと、とても喜んでくれたわ」

「あの子は寂しがりやだから」

「ふふ、そうね」

「でも、いつ話を聞いたの? きみが生まれたのは、ついさっきじゃ……」

「正確には答えられないわ。気付けば、ミアの中に存在していた、という感覚だから。でも、そうね。一週間前には、もうミアの中にはいたわ」

「……一週間前」

「ミアには、幸せな記憶しか存在しない。だからこそ、コーリーの存在は、そうとうなストレスとなっていたの。それに加えて、混乱、怒り。それらが爆発して、わたしが表に出たってところかしら」

 エディが、そうか、と後悔するように頭を抱える。そんなエディに、ルシンダが慈しむような眼差しを向ける。

「エディ。あなたがルソー伯爵の養子だということ、これまで教えてくれなかったのは、ミアのため?」

「……ああ。ミアにとって、ジェンキンス伯爵夫妻は、本当の親だ。そんなミアに、養子という言葉を聞かせたくなかった。万が一にも、つらい記憶が蘇るかもしれないと思って」

「優しいあなた。口付けができない理由も、ミアには話せないものね」

 エディは、はは、と面を上げた。

「やっぱり、きみは知っているんだね」

「もう、何度もダリアに聞かせられたわ」

 ルシンダは肩を竦めたあと、真っ直ぐな眼差しをエディに向けた。

「今度は、あなたの話を聞かせて?」

 エディの人差し指が、ぴくりと動いた。

「あなたがミアを想いながら、それでもコーリーを拒絶しなかったのは、養子だから?」

「…………ああ」

「ルソー伯爵に、恩があるから。だから、ルソー伯爵が溺愛するコーリーに、なにも言えなかったの?」

 数秒の沈黙の後。

「──そうだね。ここまで育ててもらったという罪悪感は、確かにあるね」

 そう言ったエディの顔は、哀しそうに、歪んでいた。


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