あなたを愛していないわたしは、嫉妬などしませんよ?

ふまさ

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「整理、だと?」

 ダレルが顔を歪める。アレクシアは気にすることなく、ええ、と話しを進めた。

「ダレルとバーサさんは、友人関係である。けれどわたしは、二人の仲を誤解して、バーサさんを虐めたと」

「そうですわ。あたし、ずっと耐えていましたけど、もう我慢できなくて、ダレル様に打ち明けたんです!」

 バーサが涙を浮かべ、叫ぶ。なんだか面倒くさい人だなと思いながらも、そうですか、とアレクシアが淡々と答える。

「ちなみに二人の仲を誤解、とは。わたし、二人が不貞行為をしていたとでも思っていたのでしょうか?」

「し、知るか! ともかく、ぼくとバーサが恋仲だと誤解していたことには間違いないだろうが!!」

 アレクシアは、ふむ、と考える素振りを見せてから、口を開いた。

「──していたとして、それがどうしたというのですか?」

「だ、だから。バーサに嫉妬して、だから、ぼくの知らないとこでバーサを虐めて、ぼくから離れさせようと……っ」

「そこが理解できません。そもそもそのような嫉妬は、相手を愛しているからこそ、するものではないのですか?」

 ダレルが、え、と口を半開きにした。つられてアレクシアも、え、と返した。

「どうかしました? わたし、何か間違ったこと言いました?」

 演技ではない真面目な表情に、バーサは眉を寄せた。

「何言ってんの? 自分の婚約者が他の令嬢と恋仲だと知って、嫉妬しない人がいるの?」

 丁寧な口調、忘れていますよ。アレクシアは思ったが、口には出さなかった。話しが抉れると考えたからだ。

「……あなたはまだ、愛のある結婚ができると信じているのですね」

 憐れみの双眸を向けられ、馬鹿にされたと感じたバーサは、頭にカッと血がのぼった。

「馬鹿にしてんの?!」

 いいえ、とアレクシアは首を左右にふった。なるほど。心で呟く。


「あなたたちの望みが何なのか、ようやく見えてきました」

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