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「フィオナ、待ちなさい!」
「フィオナ!!」
侯爵と侯爵夫人がわめく。やがてフィオナの姿が見えなくなると、今度はニールを睨み付けてきた。
「説得をしてくださるのではなかったのですか?! 私たちに嘘をついたのですか!!」
信じていたのに!
叫ぶ二人に構わず、ニールは従者が持っていた紙の束を受けとると、柵の間からそれをドンと落とした。
侯爵が「……何ですかな、これは」と訝しみながらニールを見る。ニールは、これか、と腕を組んだ。
「まず、お前らの家族、親戚、友人からの縁切り状と──」
さらっと述べられた科白に、侯爵たちが「……は? え?」と目を点にする。
「フィオナがアイン侯爵家から除籍し、ポール公爵家の養女となった証となる書類もある。むろん、写しだがな」
侯爵たちが紐でまとめられた書類を手に取り、血の気の引いた顔で一枚一枚確認している間も、ニールは続けた。
「このひと月半、本当に大変だった。お前たち阿呆のおかげでな──だが、まあ」
ニールは、ニッと口角をあげた。
「そうそう。先ほどフィオナはお前たちのことを侯爵、侯爵夫人と呼んでいたが、あれは間違いだ。フィオナにはまだ知らせていなかったら、しようのないことだがな」
侯爵が震える手で、とある一枚の書類に釘付けになっていた。そこに書かれていた内容は──。
「侯爵の爵位はもう、お前ではなく、お前の弟に正式に継がれている」
「フィオナ!!」
侯爵と侯爵夫人がわめく。やがてフィオナの姿が見えなくなると、今度はニールを睨み付けてきた。
「説得をしてくださるのではなかったのですか?! 私たちに嘘をついたのですか!!」
信じていたのに!
叫ぶ二人に構わず、ニールは従者が持っていた紙の束を受けとると、柵の間からそれをドンと落とした。
侯爵が「……何ですかな、これは」と訝しみながらニールを見る。ニールは、これか、と腕を組んだ。
「まず、お前らの家族、親戚、友人からの縁切り状と──」
さらっと述べられた科白に、侯爵たちが「……は? え?」と目を点にする。
「フィオナがアイン侯爵家から除籍し、ポール公爵家の養女となった証となる書類もある。むろん、写しだがな」
侯爵たちが紐でまとめられた書類を手に取り、血の気の引いた顔で一枚一枚確認している間も、ニールは続けた。
「このひと月半、本当に大変だった。お前たち阿呆のおかげでな──だが、まあ」
ニールは、ニッと口角をあげた。
「そうそう。先ほどフィオナはお前たちのことを侯爵、侯爵夫人と呼んでいたが、あれは間違いだ。フィオナにはまだ知らせていなかったら、しようのないことだがな」
侯爵が震える手で、とある一枚の書類に釘付けになっていた。そこに書かれていた内容は──。
「侯爵の爵位はもう、お前ではなく、お前の弟に正式に継がれている」
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