【完結】熱血くんと嫌味なアイツ【改稿版】

雫川サラ

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56. 獣のように**

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 ——こいつは、俺を萌え殺す気か。
 普段の澄ました顔からこんな蕩けた声が出るなんて、誰も想像すらできないに違いない。将吾は請われるままに腰を掴み、限界に近く張り詰めた己の雄で、ぬかるみを更に深く穿った。
 とん、と突き当たる感覚で、最奥にたどり着いたことを知る。
「全部、入った……」
 小さな窄まりだった入口は今やぎちぎちに広がり、将吾の怒張をくわえ込んで離さない。凄まじい快感に持って行かれまいとするあまり、将吾は顔をしかめた。
 ——マジで、ちんこ溶けそう……。
 天国を見せてやるよ、なんて安っぽいAVのセリフが頭をよぎるが、このままではこっちが天国を見てしまいそうだ。
 は、は、とこちらも荒く息をつく東堂が、とろりと笑みを浮かべる。獲物を食らった獣の満足げな様子にも似て、鳥肌の立つような色気があった。
「も、動けよ」
 言いながらも苦しそうに顔を歪ませる東堂に、将吾は少しためらった。こっちがこれだけきついのだから、受け入れている方は相当苦しいだろう。そのためらいを断ち切るかのように、東堂が自ら腰を揺すった。
「ぅ、分かった、煽んな、って……」
 三ツ藤と決裂したあとの東堂の状況では、久しくこうして誰かと体を繋げるようなことはしてこなかったに違いない。久しぶりの行為に体は負担を感じているはずだが、それでも将吾を求めているのだと思うと、たまらなかった。
「ぁ、あ、んッ、く、ぅあ、ぁ……ッ」
 初めはゆっくりと、形を馴染ませるように。そのうち、東堂の中もこわばりが解けるように柔くきつく、将吾のものに吸い付くように感触が変わった。そこからは、本能の命じるままだ。
 信じられないほど、いい。東堂の中は、比べるのも失礼なほどに、今まで経験したどのナニよりも、よかった。
 それでも、なけなしの見栄で、ただ腰を振るしか脳のない男と思われたくない将吾も懸命に東堂のいいところを探る。浅く、深く、緩急をつけて責め立て、追い上げる。浅いところの方が反応はいいが、それだと刺激が強すぎて辛いのか、東堂は奥をねだった。
 足を肩へ担ぎ上げて、集中的に奥を突けば、東堂の顔から余裕が消える。涙を溜めた目はもう焦点を失い、ひっきりなしに甘い声をあげる口からは唾液が溢れて顎に伝う。
「あ、ぁ、も、だめ、ッく、あ、ああ……ッ!」
 シーツをきつく握りしめ、背をしならせて東堂が極まった。とぷとぷと東堂のものから白濁が吐き出される。二度、三度と東堂の体が跳ね、内壁の搾り取るようなうねりに、たまらず将吾も精を放った。
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