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6話 聖女の実力
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「メアリー、治せるか。いや、治してくれ」
冒険者ギルドのギルドマスター、アランが真剣な顔で言って来た。
今までは宮廷で、軽い擦り傷の治療と冒険者ギルドで少しだけの治療しか経験したことがない。
「はいっ! やってみます」
目の前で怪我をしている冒険者たちを治せるかと言われれば、自信はありません。
だけどそれでも、私がやらなければ彼ら彼女らは死んでしまいます。
そして私の他にこの場に治療師はいません。私がやらなければならない仕事です。
「冒険者の皆さんは、怪我人をゆっくりと地面に寝かせて下さい! 手の空いている人は、お湯を沸かして、ポーションの用意もお願いします」
「お、おう。分かったぞ」
「俺がお湯を沸かすぞ!」
「冒険者ギルドからもポーションの予備を出そう」
私が指示を出すと、冒険者の皆さんはすぐに行動を開始しました。
アランさんは、ギルドの奥からポーションを持って来てくれました。
これで最低限はなんとかなるかもしれません。
後は、私が治療をするだけです——。
改めて、怪我をしている冒険者たちを見た。
軽傷で命に別状がない人は、放置して良い。
問題は、彼らだ。
ドラゴンに遭遇したと言うルークさんたちのパーティだ。
出血が止まる様子はなく、早く回復魔法を使わなければ、死んでしまう。
「回復魔法」
私は、魔法を唱えた。
だけど出血のペースがさっきよりは落ちた気がする程度しか変わらない。
「おいおい、これは不味いぞ」
「回復魔法!」
魔法があまりきかないからと、ここで焦ってしまってはダメです。
冷静さを忘れずに、また魔法を使った。
だけどやはり少し良くなるだけで、このままだと死んでしまうのにな変わりはない。
「くそう、もうダメなのか」
「お願い治って! 回復魔法》」
私は、ありったけの魔力を込めて魔法を唱えた。
ここでダメならもう私に出来ることはありません。
それなら、思いっきりやるだけです!
「なっ、なんだこれは」
「光輝く回復魔法だと!?」
私が魔法を唱えると、目を開けていられないほどの光で部屋中が埋めつくされしまいました。
そして少しずつ見えるようになって来ると、完全に血が止まっているのが分かる冒険者たちが目の前にいました。
「嬢ちゃん、これは一体......」
「これが私の魔法......?」
「ルークたちの顔色が良くなったぞ」
ルークさんたちのパーティは、青かった顔色に血が戻り、死からは遠くなっているのが分かった。
周囲にいた冒険者たちが、ざわざわと話始めた。
「ギルドマスター、アランだ。みんなここで見たことは絶対に漏らしてはならん」
そこへ、ギルドマスターのアランさんが来て、そう言った。
周囲にいた冒険者たちは、お互いに顔を見合わせて、静かに頷いている。
「ここは。ここはどこだ」
「おいルーク、まだ話すな」
「仲間たちは無事なのか」
「大丈夫だ、この嬢ちゃんのおかげで誰も死んじゃいねぇよ」
先程まで死にかけていたルークさんが、目の覚ましたようだ。
「それは良かった。このルーク、この恩は絶対に忘れ......」
ルークさんは私の方を見ながらそこまで発言して、また気を失ってしまいました。
「ギルドの奥へと運べ! メアリーのおかげで助かったとはいえ、まだ危ないのには変わりはない」
「おうよ! みんな運ぶぞ」
ルークさんたちパーティは、冒険者ギルドの奥へと運ばれて行った。
私は、魔力を使い切った疲労感で、倒れそうになりながらも何とか耐える。
「みんなが助かって良かったです」
けど先程の光は一体、なんでしょう。
冒険者ギルドのギルドマスター、アランが真剣な顔で言って来た。
今までは宮廷で、軽い擦り傷の治療と冒険者ギルドで少しだけの治療しか経験したことがない。
「はいっ! やってみます」
目の前で怪我をしている冒険者たちを治せるかと言われれば、自信はありません。
だけどそれでも、私がやらなければ彼ら彼女らは死んでしまいます。
そして私の他にこの場に治療師はいません。私がやらなければならない仕事です。
「冒険者の皆さんは、怪我人をゆっくりと地面に寝かせて下さい! 手の空いている人は、お湯を沸かして、ポーションの用意もお願いします」
「お、おう。分かったぞ」
「俺がお湯を沸かすぞ!」
「冒険者ギルドからもポーションの予備を出そう」
私が指示を出すと、冒険者の皆さんはすぐに行動を開始しました。
アランさんは、ギルドの奥からポーションを持って来てくれました。
これで最低限はなんとかなるかもしれません。
後は、私が治療をするだけです——。
改めて、怪我をしている冒険者たちを見た。
軽傷で命に別状がない人は、放置して良い。
問題は、彼らだ。
ドラゴンに遭遇したと言うルークさんたちのパーティだ。
出血が止まる様子はなく、早く回復魔法を使わなければ、死んでしまう。
「回復魔法」
私は、魔法を唱えた。
だけど出血のペースがさっきよりは落ちた気がする程度しか変わらない。
「おいおい、これは不味いぞ」
「回復魔法!」
魔法があまりきかないからと、ここで焦ってしまってはダメです。
冷静さを忘れずに、また魔法を使った。
だけどやはり少し良くなるだけで、このままだと死んでしまうのにな変わりはない。
「くそう、もうダメなのか」
「お願い治って! 回復魔法》」
私は、ありったけの魔力を込めて魔法を唱えた。
ここでダメならもう私に出来ることはありません。
それなら、思いっきりやるだけです!
「なっ、なんだこれは」
「光輝く回復魔法だと!?」
私が魔法を唱えると、目を開けていられないほどの光で部屋中が埋めつくされしまいました。
そして少しずつ見えるようになって来ると、完全に血が止まっているのが分かる冒険者たちが目の前にいました。
「嬢ちゃん、これは一体......」
「これが私の魔法......?」
「ルークたちの顔色が良くなったぞ」
ルークさんたちのパーティは、青かった顔色に血が戻り、死からは遠くなっているのが分かった。
周囲にいた冒険者たちが、ざわざわと話始めた。
「ギルドマスター、アランだ。みんなここで見たことは絶対に漏らしてはならん」
そこへ、ギルドマスターのアランさんが来て、そう言った。
周囲にいた冒険者たちは、お互いに顔を見合わせて、静かに頷いている。
「ここは。ここはどこだ」
「おいルーク、まだ話すな」
「仲間たちは無事なのか」
「大丈夫だ、この嬢ちゃんのおかげで誰も死んじゃいねぇよ」
先程まで死にかけていたルークさんが、目の覚ましたようだ。
「それは良かった。このルーク、この恩は絶対に忘れ......」
ルークさんは私の方を見ながらそこまで発言して、また気を失ってしまいました。
「ギルドの奥へと運べ! メアリーのおかげで助かったとはいえ、まだ危ないのには変わりはない」
「おうよ! みんな運ぶぞ」
ルークさんたちパーティは、冒険者ギルドの奥へと運ばれて行った。
私は、魔力を使い切った疲労感で、倒れそうになりながらも何とか耐える。
「みんなが助かって良かったです」
けど先程の光は一体、なんでしょう。
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