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16話 結婚式
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王都での婚約パレードから、半年ほどの時間が経った頃。
私は、アシュトン公爵領にある屋敷にいました。
その身には、派手ではないけれど、清楚さを感じさせる美しいドレスを着ている。
「ローラ......こんなに美しくなって」
「きれいよローラ」
私の両親は、目からなみだを流している。
「お父さま、お母さま、今まで育ててくださってありがとうございますわ。こんなに立派に育つことが出来たのも、二人のおかげです」
「私こそ、礼を言いたい気分だよ。ローラ、今度こそ幸せになるんだぞ」
「ローラ、アレックス王子と幸せにね」
二人は、私が結婚することを悲しみつつも、祝福してくれています。
屋敷前に、王都から来たアレックスたちが乗る馬車がたくさん来ました。
馬車の一つからアレックスが降りて来た。
「アシュトン公爵、夫人。今日という日までローラを育ててくれてありがとう。ローラを最後まで守り抜き、必ず幸せにすると誓おう」
「アレックス王子、ローラを頼む」
「アレックス王子ならローラを託せますわ」
「ええ、任されました」
両親は、泣きながらアレックスと話をしています。
私もそれにつられて、目からなみだが出てきました。
「ローラ、では行こう」
「ええ、アレックスさまっ!」
私はアレックスに手を引かれて、馬車の方へと進む。
そして馬車に乗る前に、両親の方へと振り返る。
「行ってまいりますわ、お父さま、お母さま! ローラは必ず幸せになりますわ!」
私は、なみだを流しながら両親に向かって手を振りました。
両親も泣きながら、手を振り返してくれました。
こうして、私は馬車へと乗り込みました。
父と母も、王都から来た馬車の一つへと乗り込んだようです。
「では行こうかローラ」
◇
王都に着くと、婚約パレードとはまた違った雰囲気になっていました。
王都中は、お祝いムードになっていて、飾り付けがしてあります。
それだけではなく、屋台なんかも出ていて、民たちは幸せそうにしています。
「民たちが幸せそうにしているだろう?」
「ええ、みんなが祝福してくれているのですね」
「それもあるが......今日は国庫から予算が出ていて、王都に住む者ならお金が必要ないんだ」
「まぁ、それであんなに屋台に人が集まっているんですね」
「ああ、今日くらいはみんなで盛り上がらないといけないからね」
王都の街中を走りながら、そんな会話をしていました。
私たちが乗る馬車が通ると、皆声をかけてくれて祝福してくれました。
「アレックス王子、ローラさま、結婚おめでとうございます!」
私たちが乗る馬車は、王城へとたどり着きました。
◇
結婚式が開かれる会場。
王国内外の貴族たちが集まり、皆の前にアレックスと私、そして国王がいます。
「これで王子アレックスとアシュトン公爵令嬢ローラの婚姻を認める」
わぁっー、と盛り上がり皆が拍手をしてくれました。
その中には、公爵領からついてきた両親の姿もあります。
二人は、なみだをながしながら祝福してくれていました。
「ではアレックスよ、皆に一言を」
「はい、父上」
「私、アレックスはローラと結婚することをここに宣言します。これからは二人で、王国の将来を明るいものとすることを誓います」
アレックスが宣言をしました。
「では、ローラよ」
「はい、国王さま」
「私、ローラはアレックスさまと結婚することを宣言します。いかなる時も、アレックスさまを支え、王国のためにあると誓います」
私たち二人の宣言が終わると、大きな拍手が送られてきました。
私が心配していたようなことは、何もなく無事に結婚式を迎えることが出来て、本当に良かったです。
婚約破棄されたことを批判されることもなく、皆が祝福をしてくれているのが、よく分かります。
私とアレックスは互いに向き合いました。
そして、皆の前でキスをしました。
先程よりも更に大きな拍手が、会場を埋めつく勢いで聞こえて来ました。
「これにて、結婚式は終了とする。これ以降は、各自あいさつが必要であればするように」
国王の一言で、結婚式が終わりました。
そしてあいさつの時間が設けられます。
貴族たちは、結婚したアレックスとその妻となる私に、あいさつをしに来ました。
「アレックス王子、ローラさま、この度はおめでとうございます」
「今日という良き日に、お二人が結ばれたことを喜ばしく存じます」
「お二人の婚姻は、とても素晴らしきものでした」
貴族たちは、それぞれあいさつをしに来ました。
その中には、エドガーとデイジーもいます。
「アレックス王子さま~、ローラさま~、この度はおめでとうございますわ」
「ここは祝いの席だ、礼を言おう。おめでとうございます」
あいかわらず、べったりとくっついている二人。
エドガーはどこかばつの悪そうな顔をしながら、あいさつをするとすぐに目の前からいなくなった。
「ローラおめでとう」
「今日の二人は輝いて見えたわ」
両親もあいさつに来た。
今日一日中泣いてるじゃないか、と言うほど目からはなみだが出ている。
簡単なやり取りをして、どこかへと行った。
「最後はわしか。アレックス、ローラ、互いに支え合い良きパートナーとなることに努めよ」
「はっ、父上」
「はい、国王さま」
「うむうむ、それで良い。この度はめでたく思うぞ」
国王からのあいさつで、全ての行程が終わった——。
◇
私とアレックスの結婚式は、何事もなく無事に終えることが出来ました。
王国内外からたくさんの貴族が来て、祝福をしてくれました。
それだけではありません。
王都に住む領民たちもまた、馬車を歓迎して受け入れてくれたのです。
今日は、人生の中でも一大イベントの中でも重要な日でした。
「はぁ......」
「お疲れかい、ローラ」
私がため息をもらすと、アレックスが話しかけて来ました。
「ええ、今日はとても疲れましたわ」
「僕もさすがに疲れたよ」
部屋には、私とアレックスしかいません。
「ふふ」
「ははは」
私たちは、互いに見つめ合い、そして笑いました。
そこには、幸せという言葉で埋め尽くされた空間があります。
「アレックスさまと、こうしているなんてまるで夢みたいですわ」
「僕もだよ。でもこれは現実だ、これからもずっと続く——」
色々とあったけれど、今をこうして過ごせることに、感謝しなければなりません。
父と母、国王さま、アレックス、そして領民たちに。
「ローラ、僕は君のことを絶対に幸せにしてみせる。だからこれからよろしく頼む」
「ええ、アレックスさま。私を幸せでいっぱいにしてくださいっ!」
私は、アレックスに抱きついた。
甘い空間の中で、幸福をかみしめます。
真実の愛とは、なんて素晴らしいものなのでしょう。
隣にアレックスがいるだけで、自然と幸せでいっぱいの素晴らしい時間になります。
この時間が永遠に続けば良いと、そう思いました——。
私は、アシュトン公爵領にある屋敷にいました。
その身には、派手ではないけれど、清楚さを感じさせる美しいドレスを着ている。
「ローラ......こんなに美しくなって」
「きれいよローラ」
私の両親は、目からなみだを流している。
「お父さま、お母さま、今まで育ててくださってありがとうございますわ。こんなに立派に育つことが出来たのも、二人のおかげです」
「私こそ、礼を言いたい気分だよ。ローラ、今度こそ幸せになるんだぞ」
「ローラ、アレックス王子と幸せにね」
二人は、私が結婚することを悲しみつつも、祝福してくれています。
屋敷前に、王都から来たアレックスたちが乗る馬車がたくさん来ました。
馬車の一つからアレックスが降りて来た。
「アシュトン公爵、夫人。今日という日までローラを育ててくれてありがとう。ローラを最後まで守り抜き、必ず幸せにすると誓おう」
「アレックス王子、ローラを頼む」
「アレックス王子ならローラを託せますわ」
「ええ、任されました」
両親は、泣きながらアレックスと話をしています。
私もそれにつられて、目からなみだが出てきました。
「ローラ、では行こう」
「ええ、アレックスさまっ!」
私はアレックスに手を引かれて、馬車の方へと進む。
そして馬車に乗る前に、両親の方へと振り返る。
「行ってまいりますわ、お父さま、お母さま! ローラは必ず幸せになりますわ!」
私は、なみだを流しながら両親に向かって手を振りました。
両親も泣きながら、手を振り返してくれました。
こうして、私は馬車へと乗り込みました。
父と母も、王都から来た馬車の一つへと乗り込んだようです。
「では行こうかローラ」
◇
王都に着くと、婚約パレードとはまた違った雰囲気になっていました。
王都中は、お祝いムードになっていて、飾り付けがしてあります。
それだけではなく、屋台なんかも出ていて、民たちは幸せそうにしています。
「民たちが幸せそうにしているだろう?」
「ええ、みんなが祝福してくれているのですね」
「それもあるが......今日は国庫から予算が出ていて、王都に住む者ならお金が必要ないんだ」
「まぁ、それであんなに屋台に人が集まっているんですね」
「ああ、今日くらいはみんなで盛り上がらないといけないからね」
王都の街中を走りながら、そんな会話をしていました。
私たちが乗る馬車が通ると、皆声をかけてくれて祝福してくれました。
「アレックス王子、ローラさま、結婚おめでとうございます!」
私たちが乗る馬車は、王城へとたどり着きました。
◇
結婚式が開かれる会場。
王国内外の貴族たちが集まり、皆の前にアレックスと私、そして国王がいます。
「これで王子アレックスとアシュトン公爵令嬢ローラの婚姻を認める」
わぁっー、と盛り上がり皆が拍手をしてくれました。
その中には、公爵領からついてきた両親の姿もあります。
二人は、なみだをながしながら祝福してくれていました。
「ではアレックスよ、皆に一言を」
「はい、父上」
「私、アレックスはローラと結婚することをここに宣言します。これからは二人で、王国の将来を明るいものとすることを誓います」
アレックスが宣言をしました。
「では、ローラよ」
「はい、国王さま」
「私、ローラはアレックスさまと結婚することを宣言します。いかなる時も、アレックスさまを支え、王国のためにあると誓います」
私たち二人の宣言が終わると、大きな拍手が送られてきました。
私が心配していたようなことは、何もなく無事に結婚式を迎えることが出来て、本当に良かったです。
婚約破棄されたことを批判されることもなく、皆が祝福をしてくれているのが、よく分かります。
私とアレックスは互いに向き合いました。
そして、皆の前でキスをしました。
先程よりも更に大きな拍手が、会場を埋めつく勢いで聞こえて来ました。
「これにて、結婚式は終了とする。これ以降は、各自あいさつが必要であればするように」
国王の一言で、結婚式が終わりました。
そしてあいさつの時間が設けられます。
貴族たちは、結婚したアレックスとその妻となる私に、あいさつをしに来ました。
「アレックス王子、ローラさま、この度はおめでとうございます」
「今日という良き日に、お二人が結ばれたことを喜ばしく存じます」
「お二人の婚姻は、とても素晴らしきものでした」
貴族たちは、それぞれあいさつをしに来ました。
その中には、エドガーとデイジーもいます。
「アレックス王子さま~、ローラさま~、この度はおめでとうございますわ」
「ここは祝いの席だ、礼を言おう。おめでとうございます」
あいかわらず、べったりとくっついている二人。
エドガーはどこかばつの悪そうな顔をしながら、あいさつをするとすぐに目の前からいなくなった。
「ローラおめでとう」
「今日の二人は輝いて見えたわ」
両親もあいさつに来た。
今日一日中泣いてるじゃないか、と言うほど目からはなみだが出ている。
簡単なやり取りをして、どこかへと行った。
「最後はわしか。アレックス、ローラ、互いに支え合い良きパートナーとなることに努めよ」
「はっ、父上」
「はい、国王さま」
「うむうむ、それで良い。この度はめでたく思うぞ」
国王からのあいさつで、全ての行程が終わった——。
◇
私とアレックスの結婚式は、何事もなく無事に終えることが出来ました。
王国内外からたくさんの貴族が来て、祝福をしてくれました。
それだけではありません。
王都に住む領民たちもまた、馬車を歓迎して受け入れてくれたのです。
今日は、人生の中でも一大イベントの中でも重要な日でした。
「はぁ......」
「お疲れかい、ローラ」
私がため息をもらすと、アレックスが話しかけて来ました。
「ええ、今日はとても疲れましたわ」
「僕もさすがに疲れたよ」
部屋には、私とアレックスしかいません。
「ふふ」
「ははは」
私たちは、互いに見つめ合い、そして笑いました。
そこには、幸せという言葉で埋め尽くされた空間があります。
「アレックスさまと、こうしているなんてまるで夢みたいですわ」
「僕もだよ。でもこれは現実だ、これからもずっと続く——」
色々とあったけれど、今をこうして過ごせることに、感謝しなければなりません。
父と母、国王さま、アレックス、そして領民たちに。
「ローラ、僕は君のことを絶対に幸せにしてみせる。だからこれからよろしく頼む」
「ええ、アレックスさま。私を幸せでいっぱいにしてくださいっ!」
私は、アレックスに抱きついた。
甘い空間の中で、幸福をかみしめます。
真実の愛とは、なんて素晴らしいものなのでしょう。
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