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13話 真実の愛
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「おいおいおい、待てよ、待ってくれよ二人とも!」
私とアレックスがいい感じの気分になり、抱きしめ合っていると、エドガーが話しかけて来ました。
そう言えば、エドガーもいたのですね。すっかり忘れていました。
「いくらアレックス王子とは言え、さすがに他人の婚約者に手を出すのはまずいんじゃないですかねぇ。ローラは僕の婚約者だ! 王子のではない」
エドガーは、嫌みったらしく言って来ました。
そう言えば、そうでしたわと思い出す。
「ははは、何だそんなことか」
「そんなことかとは何ですか! 浮気は王国法でも十分罰せられますよ!」
アレックスは笑いながら言いました。
「エドガー、ローラをどんな風に言って丸め込めたかは分からない。だけどそれは僕には通用しないよ」
「な、何をっ!?」
「エドガー、君とローラは婚約破棄をしたじゃないか」
「それは誤報だっ!」
エドガーは大声でそう言いました。
「仮に誤報だとしよう。それならパーティーでの一件と茶会でのことはどう説明してくれるんだ?」
「な、何のことだ」
「コートネイ男爵家の令嬢デイジーのことだよ。あんなに親しげにしていたのは、僕の見間違いだったのかな? 僕とローラが浮気で罰せられるとしたら、エドガーはどうなるんだ」
エドガーは、パーティーにもお茶会にもデイジーと参加していました。
しかも、肩を寄せ合い親愛を感じさせるように。
私も目撃していたので、それは間違いありません。
「そ、それは勘違いだ! あ、あれだ。親しい令嬢と参加したに過ぎない!」
エドガーは、見苦しく見っともない言い訳をしました。
見ているこっちが恥ずかしくなって来ます。
「エドガーは、デイジーと真実の愛を見つけたのではなかったのですか?」
「ほう? それは是非とも聞かせてもらいたいね」
私の発言に、アレックスはニヤリと笑いました。
「ローラは黙っていろっ!」
エドガーは額から汗を流し、大声で叫んだ。
側から見ても、どちらが正しいのかが、はっきりと分かるほどだった。
「デイジー、彼女とは行く相手が居なかったから、誘ったに過ぎない! それをどうこう言われる筋合いはないっ!」
「エドガーがそう思っていても、王国中はどう思っているかな。既に婚約破棄についても、王国中に知れ渡っている事実だ。それに加えてデイジーの件もあれば、どちらに義があるのかははっきりと分かるだろう」
「く、くそ! それでもあんたが婚約者をとったと言う事実は変わらない! 僕が叫べば、少しくらいあんたの印象を下げることだって出来るんだぞ!」
エドガーは最後までみっともなく、叫んでいます。
「エドガー、その辺にしておけ。それ以上あることないこと言っていると、この公爵領から出ることなく、君は歴史から帰ることになる」
「なっ、脅しているのかっ! それでも王子か」
「脅してはいない。君の今後次第さ」
エドガーは顔を真っ青にしています。
「それに、君の婚約者は彼女だろう?」
アレックスは、視線をエドガーから遠方へと向ける。
私もそちらの方へと目を向ける。
「エドガーさま~」
「なっ、なんでデイジーがここにっ!?」
遠くからデイジーと、兵士たちが走ってくるのが見えた。
「アレックス王子ー、やっと追いつきましたよー」
兵士たちは、アレックスの護衛のようです。
本当にたった一人で、王都からアシュトン公爵領まで、白馬にまたがって来たみたいです。
「彼女は僕が呼んでおいたのさ。エドガーの動きは事前に調べさせておいたから、公爵領に来ると分かれば容易いことだ」
「な、なんだって......」
「もうっ! エドガーさまったらひどいです。私を放っておいて、どこかに行ってしまわれるんですから」
デイジーがエドガーのすぐそばまで来て、文句を言い始める。
男にこびるような甘ったるい声で、見ていてあまり良くない感情を抱く。
「エドガー、デイジーとの真実の愛を見つけたのでしたわよね」
「あらローラさま、ありがとうございますわ」
「ま、待ってくれ。違うんだ!」
私は、これまでのエドガーの発言のように、嫌みを含んだように行ってやりました。
そして、アレックスのことを強く抱きしめ直して。
「私たちも真実の愛を見つけましたわ。これからは互いの道を行きましょう、エドガー」
「ロ、ローラ! ってことはもしかして」
「ええ、私が間違っていましたわアレックスさま。私はアレックスさまと結ばれたいです」
私とアレックスは互いに見つめ合い、そして抱きしめ合う。
「な、なんだこれは!」
「エドガー」
「エドガー」
私たちは言う。
「あなたのおかげですわ」
「君のおかげだ」
「あなたのおかけで、真実の愛を見つけられましたわ」
「君のおかけで、僕たちは一つになれた」
精一杯の感謝と皮肉を込めて、エドガーに言う。
「私も真実の愛を見つけたので、あなたはデイジーとの愛を深めて下さいね」
「こんなはずではっ! 何なのだこれは......」
エドガーは力なく、肩を落とした。
「さあ行きますよエドガーさま~」
デイジーに引っ張られて、馬車へと乗って行ってしまいました。
残った私たち二人は、互いに見つめ合い、笑った。
「ローラ、もう一度言おう。僕は君のことが好きだ。一緒に来てはくれないか?」
「ええ、アレックスさま。私もあなたのことが好きですわ」
私たちは、抱きしめ合ったまま、キスをした。
今まで感じたことのないような、幸福感にあふれています。
本当に良かったです——。
私とアレックスがいい感じの気分になり、抱きしめ合っていると、エドガーが話しかけて来ました。
そう言えば、エドガーもいたのですね。すっかり忘れていました。
「いくらアレックス王子とは言え、さすがに他人の婚約者に手を出すのはまずいんじゃないですかねぇ。ローラは僕の婚約者だ! 王子のではない」
エドガーは、嫌みったらしく言って来ました。
そう言えば、そうでしたわと思い出す。
「ははは、何だそんなことか」
「そんなことかとは何ですか! 浮気は王国法でも十分罰せられますよ!」
アレックスは笑いながら言いました。
「エドガー、ローラをどんな風に言って丸め込めたかは分からない。だけどそれは僕には通用しないよ」
「な、何をっ!?」
「エドガー、君とローラは婚約破棄をしたじゃないか」
「それは誤報だっ!」
エドガーは大声でそう言いました。
「仮に誤報だとしよう。それならパーティーでの一件と茶会でのことはどう説明してくれるんだ?」
「な、何のことだ」
「コートネイ男爵家の令嬢デイジーのことだよ。あんなに親しげにしていたのは、僕の見間違いだったのかな? 僕とローラが浮気で罰せられるとしたら、エドガーはどうなるんだ」
エドガーは、パーティーにもお茶会にもデイジーと参加していました。
しかも、肩を寄せ合い親愛を感じさせるように。
私も目撃していたので、それは間違いありません。
「そ、それは勘違いだ! あ、あれだ。親しい令嬢と参加したに過ぎない!」
エドガーは、見苦しく見っともない言い訳をしました。
見ているこっちが恥ずかしくなって来ます。
「エドガーは、デイジーと真実の愛を見つけたのではなかったのですか?」
「ほう? それは是非とも聞かせてもらいたいね」
私の発言に、アレックスはニヤリと笑いました。
「ローラは黙っていろっ!」
エドガーは額から汗を流し、大声で叫んだ。
側から見ても、どちらが正しいのかが、はっきりと分かるほどだった。
「デイジー、彼女とは行く相手が居なかったから、誘ったに過ぎない! それをどうこう言われる筋合いはないっ!」
「エドガーがそう思っていても、王国中はどう思っているかな。既に婚約破棄についても、王国中に知れ渡っている事実だ。それに加えてデイジーの件もあれば、どちらに義があるのかははっきりと分かるだろう」
「く、くそ! それでもあんたが婚約者をとったと言う事実は変わらない! 僕が叫べば、少しくらいあんたの印象を下げることだって出来るんだぞ!」
エドガーは最後までみっともなく、叫んでいます。
「エドガー、その辺にしておけ。それ以上あることないこと言っていると、この公爵領から出ることなく、君は歴史から帰ることになる」
「なっ、脅しているのかっ! それでも王子か」
「脅してはいない。君の今後次第さ」
エドガーは顔を真っ青にしています。
「それに、君の婚約者は彼女だろう?」
アレックスは、視線をエドガーから遠方へと向ける。
私もそちらの方へと目を向ける。
「エドガーさま~」
「なっ、なんでデイジーがここにっ!?」
遠くからデイジーと、兵士たちが走ってくるのが見えた。
「アレックス王子ー、やっと追いつきましたよー」
兵士たちは、アレックスの護衛のようです。
本当にたった一人で、王都からアシュトン公爵領まで、白馬にまたがって来たみたいです。
「彼女は僕が呼んでおいたのさ。エドガーの動きは事前に調べさせておいたから、公爵領に来ると分かれば容易いことだ」
「な、なんだって......」
「もうっ! エドガーさまったらひどいです。私を放っておいて、どこかに行ってしまわれるんですから」
デイジーがエドガーのすぐそばまで来て、文句を言い始める。
男にこびるような甘ったるい声で、見ていてあまり良くない感情を抱く。
「エドガー、デイジーとの真実の愛を見つけたのでしたわよね」
「あらローラさま、ありがとうございますわ」
「ま、待ってくれ。違うんだ!」
私は、これまでのエドガーの発言のように、嫌みを含んだように行ってやりました。
そして、アレックスのことを強く抱きしめ直して。
「私たちも真実の愛を見つけましたわ。これからは互いの道を行きましょう、エドガー」
「ロ、ローラ! ってことはもしかして」
「ええ、私が間違っていましたわアレックスさま。私はアレックスさまと結ばれたいです」
私とアレックスは互いに見つめ合い、そして抱きしめ合う。
「な、なんだこれは!」
「エドガー」
「エドガー」
私たちは言う。
「あなたのおかげですわ」
「君のおかげだ」
「あなたのおかけで、真実の愛を見つけられましたわ」
「君のおかけで、僕たちは一つになれた」
精一杯の感謝と皮肉を込めて、エドガーに言う。
「私も真実の愛を見つけたので、あなたはデイジーとの愛を深めて下さいね」
「こんなはずではっ! 何なのだこれは......」
エドガーは力なく、肩を落とした。
「さあ行きますよエドガーさま~」
デイジーに引っ張られて、馬車へと乗って行ってしまいました。
残った私たち二人は、互いに見つめ合い、笑った。
「ローラ、もう一度言おう。僕は君のことが好きだ。一緒に来てはくれないか?」
「ええ、アレックスさま。私もあなたのことが好きですわ」
私たちは、抱きしめ合ったまま、キスをした。
今まで感じたことのないような、幸福感にあふれています。
本当に良かったです——。
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