婚約者はやさぐれ王子でした

ダイナイ

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本編

34話 王宮制圧

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 王宮の入り口。
 周囲は、国王陛下たちを逃さないように兵士たちが取り囲んでいる。
 王家に伝わる隠し通路も全て封鎖されていて、完全に逃げ場はありません。

 これなら、ネズミ一匹すら逃げる事は不可能と言えるかもしれません。

「さて、行くか」

「ええレオン様」

 私とレオン王子殿下は、王宮へと向かって歩いて行く。
 その周囲には、私たちを護衛する兵士たちが大勢います。

「やはり閉められているか」

 王宮の入り口の扉は、鍵が閉められていて開きそうにない。

「どうしますのレオン様」

「仕方ないが扉を破ろうか」

 レオン王子殿下は、そう言うとすぐ側にいた兵士の方を向いた。

「よろしいのですね?」

「ああ、破ってくれ」

「分かりました。危ないですので、お下がりください」

 私たちは、兵士に囲まれてながら少し下がる。
 兵士たちは、丸太のようなものを持ち出して来て、扉へとぶつけ始める。

 ドン、ドン、ドン

 と大きな音を立てて、丸太を扉へとぶつける。
 それを繰り返しいると、メキメキと音を立てながら扉が破れ始めた。
 それでも丸太をぶつけ、ついには扉を破りました。

「兵士たちは突入してくれ! 父上たちを見つけ次第報告を頼む」

「分かりましたレオン王子殿下」

 兵士たちは、レオン王子殿下の指示を受けて「突入っ!」と言いながら王宮へと入って行く。

「こちら異常なし」
「国王陛下確認出来ず」
「さらに奥へ進め!」

 王宮の内部からは、突入した兵士たちの声が聞こえて来る。
 今のところは、何事もなく進めているようです。

「シルヴィア公爵令嬢、レオン王子殿下。もうしばらくお待ちください」

「ええ」

 すぐ近くにいる護衛の兵士は、私たちに声をかけた。
 突入する兵士と護衛の兵士は、役割を分けている。

「一階、確認出来ず。これより二階を確認する」

 中からは、捜索中の兵士たちの声が聞こえる。
 バタバタと走り回り、大急ぎで部屋を調べているみたいです。

 しばらくすると、一人の兵士が王宮の外へと出て来た。
 私たちの方へと来て、一礼をしてから話し始める。

「報告します。王宮二階で鍵のかかった部屋を発見しました。おそらく、そこに国王陛下たちがいるものと思われます」

「分かった。そこまで案内を頼む」

「分かりました。ではこちらに」

「シルヴィア、行こうか」

 レオン王子殿下は、私の方を向いて手を差し出して来た。
 その手はどこか緊張しているような気がします。


 ◇


 報告のあった部屋の前まで来た。
 すでに扉の鍵は破壊されていて、いつでも入ることができる状態になっていました。

 私たちは、兵士たちの護衛のもとで部屋へと入りました。

「お、お前たちこれがどういうことか分かっているのか! 革命など許されるはずがないだろう」

「父上、やつらを処刑してやりましょう。身分をわきまえないやつなど、殺してしまえばいいのです」

 部屋には、予想通りで国王陛下たちがいました。
 隅っこに四人で固まっていて、兵士たちに怯えている様子です。

「お父様、私こわいですわ」

「おおセレナよ、私が何とかするから隠れていなさい」

 そこには、アーヴァイン公爵領から逃げて来たお父様とセレナもいました。
 いつもの二人とは異なり、どこか薄汚れていて衣装には泥汚れも付いています。

「お父様、セレナ......」

 あまりにもみすぼらしい姿に、私は小さく呟いた。

「父上、兄上も惨めな抵抗は辞めて、大人しく俺たちにしたがってください」

「き、貴様っ! レオンがお金さえ払っていれば、こんなことにはならんかったのだぞ!」

「そうだレオン! 素直に反逆罪を認めていれば、命だけは助けてやったものを!」

 国王陛下と王太子は、レオン王子殿下に向かって威勢の良い言葉を使って来ます。
 この状況でなお、そんな言葉を使うとは呆れてしまいます。

 レオン王子殿下も同じ気持ちなのか、背中がどこかしょんぼりとしているように見えました。

「俺は言ったからな父上、兄上......この場を制圧してくれ」

「はっ!」

 レオン王子殿下は、兵士たちに命令を出した。
 命令を受けた兵士たちは、四人をじわじわと追い詰めるように動き始める。

「おいアーヴァイン公爵! やつらを何とかしろ、これは王命であるぞ!」

「で、ですが国王陛下......これはあんまりにも......」

 お父様は、剣を抜いて国王陛下たちを庇うように立った。
 セレナは壁に向かって俯いて、ガタガタと震えています。

「お父様、抵抗はお辞めになってください!」

「シルヴィアか、おまえはどちらの味方なのだ! 親を捨て、妹まで捨てると言うのか。この大馬鹿者がっ!」

 お父様はすごい剣幕で怒鳴って来る。
 私は、どうしたら良いのかわからなくなってしまいました。
 そこに、レオン王子殿下が私を庇うように前に出る。

「アーヴァイン公爵よ、間違っているぞ。シルヴィアは俺の婚約者であり、家も出ている。公爵家の娘ではなく、俺の婚約者のシルヴィア・クライトンだ」

「レ、レオン様っ! 私は、私は」

 レオン王子殿下の言葉に、私は胸がいっぱいになった。
 先程の言葉には、レオン王子殿下の妻となることを正式に認めてもらえたという意味があります。

「この若造がっ!」

 お父様が怒りのあまり、レオン王子殿下に斬りかかるも、周囲の兵士たちに取り押さえられる。
 そして他の三人も取り押さえられてた。

「お姉様、お姉様! お助けになってください、私は悪いことはしていませんの!」

 私は、セレナの言葉に耳をかすことはしなかった。

「牢へと入れておけ」

「はっ!」

 兵士たちは、四人を連れて牢屋へと向かった。
 こうして、革命は無事に成功することが出来ました。
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