31 / 45
本編
27話 森の獣
しおりを挟む
森での生活に慣れ始めた頃。
私は、自分に出来ることは何かないのかという、焦りを感じていました。
「私だって、何か出来ることがあるはずですわ」
クライヴたち護衛メンバーは、小屋周辺の警戒と食料調達。
サラとセバスチャンは、小屋とその周囲の清掃や雑務。
レオン王子殿下は、今後について頭を使っています。
そんな中、私だけがやることがなく暇をしていました。
何かしなくてはという焦りから、私にでも出来そうなことを考える。
「そうですわ!」
レオン王子殿下とサラが持って来た毒キノコを思い出しました。
キノコ類は、毒を持つものも多く危険でも、他のものなら食べられるものもあるかもしれません。
それに、鬱蒼とした森といっても、小屋周辺は開かれて日も当たります。
クライヴたちが警戒していることもあり、比較的安全です。
「レオン様にはダメだと言われてますけど、小屋の近くでしたら大丈夫ですわよね」
遠くに行かなければ大丈夫。
そんな気持ちで、小屋周辺で何か食べられるものはないかを探すことにしました。
私は、そんなことを考えながら森へと入って行った。
◇
小屋から少し歩いたところ。
この辺りは、直接小屋を見ることも出来るので、安全なはずです。
「この葉っぱは、食べられるかもしれないですわ」
私は、どこかで見たことのあるような、無いような葉っぱを採った。
鬱蒼とした森なだけあって、あちこちに草木が生い茂っていることもあり、草に困ることはありません。
「この果実も多分いけますわね......」
見たことはない果実を手に取り、カゴの中へと入れました。
一つ、二つ、三つと果実を入れていく。
私は、食材探しに夢中になってあちこちを歩き回りました。
「これくらいあれば大丈夫ですわね。そろそろ帰りま......」
私は、そろそろ小屋へと帰ろうと周囲を見て、何かおかしいことに気が付きました。
「小屋が見えませんわ......」
先程までは、見えていたはずの小屋が見えません。
どうやら、集めるのに夢中になっているうちに、森の奥へ奥へと進んでしまったみたいです。
「急いで戻らないと......」
私は、急いで小屋へと戻ることにしました。
「こっちでいいのかしら?」
でも、いくら歩いても小屋が見えて来ることはありません。
歩き回っているうちに、どの方向に行けば良いのかが分からなくなってしまいました。
歩き疲れてどうしようか考えていると、ガサゴソと茂みの中から音が聞こえて来た。
グルルル、と唸声をあげてけものが出て来る。
するどい爪と牙があり、どう見ても危険な獣なのは間違いありません。
「きゃぁぁぁあ」
私は、おそろしさのあまり悲鳴をあげました。
逃げることは出来ず、その場に膝をついて倒れ込んでしまった。
その間も獣は唸り声をあげながら、少しずつ近付いて来る。
私は何をすることも出来ずに、ただ黙って震えながら見ていることしか出来ませんでした。
とうとう獣がすぐそばまで来て、襲いかかって来た。
私は、目をつぶった。
......いくら待っても、襲われることはありません。
おそるおそる目を開けると。
「大丈夫かシルヴィア、こんな危険な森に入っては危ないだろう」
「レオン様!」
目を開けると、そこにはレオン王子殿下がいました。
レオン王子殿下は、私を庇うように獣に背を向けて、両手を包み込むような形をしてくれていました。
私は、おそろしさと安心感のあまり涙を流す。
「ぐっ......」
「レオン様、どうしたのです?」
「なんでもないシルヴィア」
レオン王子殿下は、どこか苦しそうな声を出す。
「もしかして、私を庇って怪我を!?」
「シルヴィアを守れたんだ、これくらいはどうってことないよ」
「そんな、私のせいでレオン様が......」
「それよりもシルヴィア、とうとうやばそうだ」
レオン王子殿下の言葉通り、獣が再び襲いかかろうと距離をつめて来ていた。
私たちは、二人で抱きしめ合う。
「せめて、シルヴィアだけでも」
「そんなのはダメですわ! レオン様も......」
獣が飛びかかって来たのを見て、レオン王子殿下は私を庇うように力を込めて抱きついて来る。
ザシュッと何か切り裂く音が聞こえる。
「全く、何をやっているんだ二人とも」
「「クライヴ!」」
声のする方を見ると、クライヴが獣を倒してくれていました。
「森は危険だと言ってたんだがな」
クライヴは、やれやれと言った表情をしている。
「レオン様、お怪我は大丈夫ですか?」
「セバス、お前も来ていたのか。少し痛むが、これくらい大丈夫だ」
「レオン様、肩を」
「すまない......」
レオン王子殿下は、セバスチャンに肩を貸してもらいながら立ち上がる。
「さぁ、小屋に帰るぞ」
私たちは、クライヴに守られながら小屋へと帰ることにしました。
ちなみに、あの獣は晩御飯のお肉としていただきました。
恐ろしい見た目とは裏腹に、味はとても美味しかったです。
私の採って来たものも食卓へと並び、食べることになりました。
恐ろしい目には合いましたけど、レオン王子殿下に守ってもらえてよかったです——。
私は、自分に出来ることは何かないのかという、焦りを感じていました。
「私だって、何か出来ることがあるはずですわ」
クライヴたち護衛メンバーは、小屋周辺の警戒と食料調達。
サラとセバスチャンは、小屋とその周囲の清掃や雑務。
レオン王子殿下は、今後について頭を使っています。
そんな中、私だけがやることがなく暇をしていました。
何かしなくてはという焦りから、私にでも出来そうなことを考える。
「そうですわ!」
レオン王子殿下とサラが持って来た毒キノコを思い出しました。
キノコ類は、毒を持つものも多く危険でも、他のものなら食べられるものもあるかもしれません。
それに、鬱蒼とした森といっても、小屋周辺は開かれて日も当たります。
クライヴたちが警戒していることもあり、比較的安全です。
「レオン様にはダメだと言われてますけど、小屋の近くでしたら大丈夫ですわよね」
遠くに行かなければ大丈夫。
そんな気持ちで、小屋周辺で何か食べられるものはないかを探すことにしました。
私は、そんなことを考えながら森へと入って行った。
◇
小屋から少し歩いたところ。
この辺りは、直接小屋を見ることも出来るので、安全なはずです。
「この葉っぱは、食べられるかもしれないですわ」
私は、どこかで見たことのあるような、無いような葉っぱを採った。
鬱蒼とした森なだけあって、あちこちに草木が生い茂っていることもあり、草に困ることはありません。
「この果実も多分いけますわね......」
見たことはない果実を手に取り、カゴの中へと入れました。
一つ、二つ、三つと果実を入れていく。
私は、食材探しに夢中になってあちこちを歩き回りました。
「これくらいあれば大丈夫ですわね。そろそろ帰りま......」
私は、そろそろ小屋へと帰ろうと周囲を見て、何かおかしいことに気が付きました。
「小屋が見えませんわ......」
先程までは、見えていたはずの小屋が見えません。
どうやら、集めるのに夢中になっているうちに、森の奥へ奥へと進んでしまったみたいです。
「急いで戻らないと......」
私は、急いで小屋へと戻ることにしました。
「こっちでいいのかしら?」
でも、いくら歩いても小屋が見えて来ることはありません。
歩き回っているうちに、どの方向に行けば良いのかが分からなくなってしまいました。
歩き疲れてどうしようか考えていると、ガサゴソと茂みの中から音が聞こえて来た。
グルルル、と唸声をあげてけものが出て来る。
するどい爪と牙があり、どう見ても危険な獣なのは間違いありません。
「きゃぁぁぁあ」
私は、おそろしさのあまり悲鳴をあげました。
逃げることは出来ず、その場に膝をついて倒れ込んでしまった。
その間も獣は唸り声をあげながら、少しずつ近付いて来る。
私は何をすることも出来ずに、ただ黙って震えながら見ていることしか出来ませんでした。
とうとう獣がすぐそばまで来て、襲いかかって来た。
私は、目をつぶった。
......いくら待っても、襲われることはありません。
おそるおそる目を開けると。
「大丈夫かシルヴィア、こんな危険な森に入っては危ないだろう」
「レオン様!」
目を開けると、そこにはレオン王子殿下がいました。
レオン王子殿下は、私を庇うように獣に背を向けて、両手を包み込むような形をしてくれていました。
私は、おそろしさと安心感のあまり涙を流す。
「ぐっ......」
「レオン様、どうしたのです?」
「なんでもないシルヴィア」
レオン王子殿下は、どこか苦しそうな声を出す。
「もしかして、私を庇って怪我を!?」
「シルヴィアを守れたんだ、これくらいはどうってことないよ」
「そんな、私のせいでレオン様が......」
「それよりもシルヴィア、とうとうやばそうだ」
レオン王子殿下の言葉通り、獣が再び襲いかかろうと距離をつめて来ていた。
私たちは、二人で抱きしめ合う。
「せめて、シルヴィアだけでも」
「そんなのはダメですわ! レオン様も......」
獣が飛びかかって来たのを見て、レオン王子殿下は私を庇うように力を込めて抱きついて来る。
ザシュッと何か切り裂く音が聞こえる。
「全く、何をやっているんだ二人とも」
「「クライヴ!」」
声のする方を見ると、クライヴが獣を倒してくれていました。
「森は危険だと言ってたんだがな」
クライヴは、やれやれと言った表情をしている。
「レオン様、お怪我は大丈夫ですか?」
「セバス、お前も来ていたのか。少し痛むが、これくらい大丈夫だ」
「レオン様、肩を」
「すまない......」
レオン王子殿下は、セバスチャンに肩を貸してもらいながら立ち上がる。
「さぁ、小屋に帰るぞ」
私たちは、クライヴに守られながら小屋へと帰ることにしました。
ちなみに、あの獣は晩御飯のお肉としていただきました。
恐ろしい見た目とは裏腹に、味はとても美味しかったです。
私の採って来たものも食卓へと並び、食べることになりました。
恐ろしい目には合いましたけど、レオン王子殿下に守ってもらえてよかったです——。
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のススメ!王子の「真実の愛」見つけて差し上げます
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢メロア・クレーベルの隣には、非の打ち所がない完璧すぎる婚約者、ジークハルト王子が君臨している。このまま結婚すれば、待っているのは「王妃教育」と「終わらない公務」という名の過労死コース……。
「嫌ですわ! わたくし、絶対に婚約破棄して隠居してみせますわ!」
決意したメロアは、入学したての学園で、王子の「真実の愛の相手(ヒロイン)」を見つけ出し、自分を捨ててもらうという作戦を開始する。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
婚約破棄された悪役令嬢、放浪先で最強公爵に溺愛される
鍛高譚
恋愛
「スカーレット・ヨーク、お前との婚約は破棄する!」
王太子アルバートの突然の宣言により、伯爵令嬢スカーレットの人生は一変した。
すべては“聖女”を名乗る平民アメリアの企み。でっち上げられた罪で糾弾され、名誉を失い、実家からも追放されてしまう。
頼る宛もなく王都をさまよった彼女は、行き倒れ寸前のところを隣国ルーヴェル王国の公爵、ゼイン・ファーガスに救われる。
「……しばらく俺のもとで休め。安全は保証する」
冷徹な印象とは裏腹に、ゼインはスカーレットを庇護し、“形だけの婚約者”として身を守ってくれることに。
公爵家で静かな日々を過ごすうちに、スカーレットの聡明さや誇り高さは次第に評価され、彼女自身もゼインに心惹かれていく。
だがその裏で、王太子とアメリアの暴走は止まらず、スカーレットの両親までもが処刑の危機に――!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる