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第一部:第十四章 崩れゆくもの
(四)闇の門①
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(四)
「ああ、鬱陶しい!」
魔法使いと思われる男は、連携する攻撃に怒りを爆発させた。
「ぐぁっ!」
「うっ!」
その怒りは魔力の波動となって、エラゼルとグランザーさんを弾き飛ばした。
「いつまでも調子に乗るなよ」
グランザーさんは近くの石造りの家に激突したが、鎧を着ていたのが幸いして軽傷だったようで、再び剣を構えなおした。
弾き飛ばされたエラゼルは、私のすぐ目の前まで転がってきた。
受身を取りつつだったので大した怪我はしていない様子だが、途中で剣を手放してしまったようで、相手との中間の辺りに転がっている。
受けた衝撃が大きかったようで、立ち上がるのが遅れ、隙ができてしまった。
「死ね! 炎の槍!」
男は先程と同じく、予備詠唱無しで魔法を発動させる。
その炎の槍が何本も、無防備なエラゼルを狙って襲い掛かった。
慌てて私は大きく前へ飛び出してエラゼルの前に立つと、剣を振るい無我夢中で炎を薙ぎ払った。
魔力制御をしていても、体がきしみ、激痛が走る。
元々、魔力制御がろくに出来ない私が、一朝一夕でできる訳がない。できているかさえも怪しいものだった。
ただ、エラゼルに襲い掛かった魔法を全て消し去る事が出来た。
「お前は何なんだ! 何故、僕の魔法を消せる!」
「剣のおかげ、かな?」
私の剣は切れ味が凄いわけでも、強力な魔法がかけられているわけでもない。
ただ、軽く丈夫に作られ、同じく軽く丈夫になるよう魔法がかけられている。
恐ろしく丈夫な剣で、少々魔法がぶつかったところで壊れるような代物ではない。
ただ、それだけでは魔法を消した理由にはならない。
「ふざけるな!」
私の答えに憤った男は、グランザーさんを目で牽制した後、私を睨みつける。
「エラゼル、魔法が来る。私から離れて」
背後で立ち上がるエラゼルに聞こえるように囁く。
「大丈夫だ。幸い、私はラーソルバールの陰だ。魔法が来れば、私が止める」
私は小さく頷いた。
実際、私は先程動いた分で痛みが出ていて、それが消えていない。
時間が欲しい。
「グランザーさん、エラゼルの剣を!」
「分かった」
グランザーさんはエラゼルの剣を拾いに走る。
同時に、男の魔力が高まるのを感じた。
「……大いなる力となりて……」
男が何か詠唱している。動きたいが動けない。その時だった。
「聖なる矢!」
私の背後から、エラゼルが魔法を発動させた。相手の魔法に対する牽制を狙ったのだろう。
「がっ!」
光り輝く一本の矢が、避けそこなった男の右肩に直撃する。
予備詠唱無しの魔法だったため威力も弱く、大したダメージは与えられなかったようだが、詠唱の中断には成功した。
その隙にグランザーさんがエラゼル剣を拾い、男に迫る。
(ここだ!)
大きく息を吸って、左足で地面を蹴る。私は男から見えないようグランザーさんが居る直線上に入り、距離を詰める。
その間に、グランザーさんが剣を振るい、男に小さな傷を負わせる。
グランザーさんが次の攻撃を仕掛けた時だった。
「邪魔をするな!」
男は左手に持っていた杖でグランザーさんの剣を止めた。
そしてニヤリと笑う。
「消えな!」
男の右手が光り、グランザーさんに向けられる。
避ける事ができないと分かったグランザーさんは、身構えた。
「させないっ!」
私はグランザーさんの背後から飛び出し、腕を伸ばして剣を突き出した。
「ああ、鬱陶しい!」
魔法使いと思われる男は、連携する攻撃に怒りを爆発させた。
「ぐぁっ!」
「うっ!」
その怒りは魔力の波動となって、エラゼルとグランザーさんを弾き飛ばした。
「いつまでも調子に乗るなよ」
グランザーさんは近くの石造りの家に激突したが、鎧を着ていたのが幸いして軽傷だったようで、再び剣を構えなおした。
弾き飛ばされたエラゼルは、私のすぐ目の前まで転がってきた。
受身を取りつつだったので大した怪我はしていない様子だが、途中で剣を手放してしまったようで、相手との中間の辺りに転がっている。
受けた衝撃が大きかったようで、立ち上がるのが遅れ、隙ができてしまった。
「死ね! 炎の槍!」
男は先程と同じく、予備詠唱無しで魔法を発動させる。
その炎の槍が何本も、無防備なエラゼルを狙って襲い掛かった。
慌てて私は大きく前へ飛び出してエラゼルの前に立つと、剣を振るい無我夢中で炎を薙ぎ払った。
魔力制御をしていても、体がきしみ、激痛が走る。
元々、魔力制御がろくに出来ない私が、一朝一夕でできる訳がない。できているかさえも怪しいものだった。
ただ、エラゼルに襲い掛かった魔法を全て消し去る事が出来た。
「お前は何なんだ! 何故、僕の魔法を消せる!」
「剣のおかげ、かな?」
私の剣は切れ味が凄いわけでも、強力な魔法がかけられているわけでもない。
ただ、軽く丈夫に作られ、同じく軽く丈夫になるよう魔法がかけられている。
恐ろしく丈夫な剣で、少々魔法がぶつかったところで壊れるような代物ではない。
ただ、それだけでは魔法を消した理由にはならない。
「ふざけるな!」
私の答えに憤った男は、グランザーさんを目で牽制した後、私を睨みつける。
「エラゼル、魔法が来る。私から離れて」
背後で立ち上がるエラゼルに聞こえるように囁く。
「大丈夫だ。幸い、私はラーソルバールの陰だ。魔法が来れば、私が止める」
私は小さく頷いた。
実際、私は先程動いた分で痛みが出ていて、それが消えていない。
時間が欲しい。
「グランザーさん、エラゼルの剣を!」
「分かった」
グランザーさんはエラゼルの剣を拾いに走る。
同時に、男の魔力が高まるのを感じた。
「……大いなる力となりて……」
男が何か詠唱している。動きたいが動けない。その時だった。
「聖なる矢!」
私の背後から、エラゼルが魔法を発動させた。相手の魔法に対する牽制を狙ったのだろう。
「がっ!」
光り輝く一本の矢が、避けそこなった男の右肩に直撃する。
予備詠唱無しの魔法だったため威力も弱く、大したダメージは与えられなかったようだが、詠唱の中断には成功した。
その隙にグランザーさんがエラゼル剣を拾い、男に迫る。
(ここだ!)
大きく息を吸って、左足で地面を蹴る。私は男から見えないようグランザーさんが居る直線上に入り、距離を詰める。
その間に、グランザーさんが剣を振るい、男に小さな傷を負わせる。
グランザーさんが次の攻撃を仕掛けた時だった。
「邪魔をするな!」
男は左手に持っていた杖でグランザーさんの剣を止めた。
そしてニヤリと笑う。
「消えな!」
男の右手が光り、グランザーさんに向けられる。
避ける事ができないと分かったグランザーさんは、身構えた。
「させないっ!」
私はグランザーさんの背後から飛び出し、腕を伸ばして剣を突き出した。
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