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第一部:第二章 希望を胸に

(三)出会いと再会①

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(三)

 入寮の翌日、授業が開始された。
 クラス分けは当日に掲示で通達となっており、八クラス各四十名程度に振り分けがされていた。 入学時の成績が反映されているという噂もあるが、振り分け自体に意図するところが有るかは不明である。
 初日となるこの日は、学校内の施設案内から始まり、教員と生徒の自己紹介という流れとなっていた。
 ラーソルバールの自己紹介時には、冷やかし半分の歓声が上がったが、それ以外は概ね順調に行われた。
 クラス全員の自己紹介を終えたが、さすがに一回で覚えきれるはずもない。偶然だろうか、シェラが同クラスに居てくれたおかげで助かったが、他には幼年学校時代の知り合いも居らず、話す相手にも苦労するところだった。
 この自己紹介中に、入学には推薦枠というものがあったことを、他の生徒の話で知ることになった。

 軍務省からの推薦と、騎士団長二名以上の承認が必要ということで、なかなか厳しい審査基準となっているようだ。
 貴族のコネや圧力は通用しないという話で、騎士の子女が利用する他、剣技等の大会で上位入賞した者が、利用することが多いと聞いた。勿論、騎士の子女とはいえ、相応の能力が無くては合格するはずもない。
 話を聞くうちにこのクラスには、二名の推薦入学者が居る事が判明した。
 一人は騎士の娘、もう一人は剣技大会で大人に混じって三位という成績を残した男子である。二人とも推薦枠での入学のためか、それを鼻にかけて他を見下しているような雰囲気が見てとれた。
 態度で分かったのか、休憩時間には皆が和やかに談笑する中、二人には誰も寄り付かず、孤立していた。
「あのままで良いと思う?」
 ラーソルバールは、寄ってきたシェラに問いかけた。
「良くはないけど、今は何を言っても聞かないと思うよ」
「だよねえ」
 友の言葉に同意すると、頬杖をついて眉間にしわを寄せた。
 騎士として、背中を預ける事になるかもしれない、未来の同僚にやきもきする。今、何も出来ないことがもどかしい。
「ミルエルシさん」
 ため息をつきかけたところで、背後から不意に声をかけられた。
 振り返ると、クラスメイトの一人が背後に立っていた。
「入学試験の模擬戦見てたよ! 同い年であそこまでできるんだって、驚いたよ」
 どんな顔をして良いか分からず、ラーソルバールは思わず固まってしまった。
「あ、家名じゃなくて、私の事はラーソルと呼んでね。こちらはシェラさん」

「シェラです、よろしくね」
 シェラも改めて自己紹介をする。
「あ、失礼しました。私はエミーナ・デセナです」
 ウェーブがかった茶色い髪と、若干の雀斑が印象的な少女で、他意無くラーソルバールを憧憬の目で見ていた。
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