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第1話 プロローグ

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神崎美羽はバラに囲まれた庭園でたたずんでいた。
彼女はこの状況が理解できないのだ。

「あぁ、目が覚めたかいミウ」

「あのあなたは誰でしょうか?」

「あぁ、私は創造神だよ。
 君はね死んだんだ、理解できるかい?」

この金髪金眼のイケメンさんが創造神?
たしかに、私は病気で苦しんでいた。
それも、世界に症例が私しかいない病気でだ。
でも、この状況は病床で読んでいた異世界ものの定番だろう。

「あの私は異世界転移ですか、異世界転生ですか?」

「おぉ、そこまでわかっているとは話が早くて助かるね。
 君は転生させようと思う。
 転生前になにか希望や願いはあるかい」

「それなら、私が死んで空いたお父さんとお母さんの心の穴を埋めてください」

「なに……それは本気かい……チートが欲しいとかは?」

「いえ、それよりも私のことを愛してくれた二人をよろしくお願いします」

「ごめんね、それはできない。
それはミウという人間が生きた証であり、
ミウという人間が最後に両親に残したものを消してしまう行為だ。
神として、その心の領分をむやみに改変することは許されない行為なんだ」

「そうですか。それは残念です」

「だが私は決めたよミウ。君を神界に招き入れよう」

「はい?」

「私は君を神様にすると決めたんだよ」

あれ、異世界に転生すると思ったら神界に転生?
これって、かなり特殊な展開じゃなかったか。
それよりもお父さんとお母さんを悲しませたことが心残りだ。

「あの、それでどのような手続きがあるのでしょう」

「いや、ミウは何もしなくていい。
 転生させたら、異世界の神界で目覚めさせるから安心してくれ」

創造神は、優しくミウの頭を撫でて眠らせるのだった。




ここはどこだろう。
あぁ創造神がいるということは神界だろう。


ミウは上半身を起こし、周りを見渡す。
一面、綺麗な花畑である。

(これなら、神界というよりも天国ぽいなぁ)

「目覚めた調子はどうだいミウ」

「はい、大丈夫です」

「ミウには、この神界でのルールをまず教えなくてはな。
 まず一つ、他を害してはいけない。
 二つ、力を乱用してはいけない。
 三つ、常に皆仲良くすること。
 四つ、仕事をすること
 五つ、神同士は敬語で話さないこと。
 簡単なルールだろうミウ。できるかい?」

「あの仕事とは何ですか?」

「だから敬語はダメだよ。
 仕事とは私なら万物の創造。
 水の神ならすべての水の管理、
 火の神ならすべての火の管理、
 生命の神ならすべての生命の管理などだね」

「なるほど、ということは私は何をすればいい?」

「それは、ミウは何の神になったかだ。
 ミウは愛の神になったんだ。
 といっても愛の神は特に管理系の仕事がない、
 なぜならば愛は心の領域だから、
 下手に何かされると許されない行為をしたとして、
 罰を与えなければいけなくなる。」

「あのそれは、何もするなということ?」

「いや、ミウには仕事を与えよう。
 それは神たちと愛し合い、
 彼らの重責によりすり減った心を癒してほしいんだ。
 まぁ、君の見た目は僕の好みにしたけどね」

なにそれ、彼氏いないイコール年齢の私に、
他の神と愛し合えと。
無理じゃないかなそれ?
私、逃げるよそれ?
あと見た目、変えられたんだ。

「あぁ、ちなみに逃げたら天使たちが地獄の果てまで追いかけるから悪しからず」

あれ私、脅されてない?
これ、逃げられないやつだ……

「あのちなみに今の私って、どういう見た目ですか?」

「そうだね、黒髪黒眼の18歳くらいの美少女かな。
 私の好み通りに出来て、満足している」

「それで、さっそく帰ろうか」

「どこにですか」

「どこって私の神殿だよ。
 君のことは私が責任を持って養うからね」

「あの、それって好みの娘をお持ち帰りしているだけじゃ……」

「……まぁ、いいじゃないか帰ろう」

創造神が手を叩くと、一瞬で視界が変わり目の前には巨大な神殿が建っていた。

「ミウ、わたしの名前を教えるのを忘れていた。エルデス・エインフィリアス。それが、創造神たるわたしの名前だ」
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