22 / 29
5/7章 終わり
第3話 僕たちの杏の過去ともう一人の僕
しおりを挟む
振り下ろそうとした。
しかし振り下ろせなかった。
体は刀を上段に構えたまま、硬直してしまっていた。
振り下ろしたのは妄想の僕だった。
僕は激怒する。
まだ僕を止めるのか僕は、なぜだ!
僕は固まったまま、目線を正面に向けていた。
そして杏が目の前にいることに、再び気づいた。
杏だ。
目の前に杏がいる。
僕は仮面越しに、杏と目を合わせ続けていた。
杏の眼差しは鋭く、真剣だった。
僕の体を蝕んでいる刀の浸食を意識しながら、僕は尋ねた。
「どうしたの?杏?」
僕の声は優しく、震えていた。
「そうじゃないよ、どうしたの湊?」
杏はそう言った。
僕に再び涙が溜まる。
僕は涙をこぼさないように努める。
「どうしたのって、僕は君を殺すんだよ?」
こめかみが痛い。
僕はこの緊張を終わらせたい。
「どうして、君をそうさせるのは何?」
杏は優しく、しかし叱るような声色で僕に尋ねる。
「………なんだろうね、…わからない。だけど苦しいのはわかるんだ。僕はこの苦しみから逃れたい事だけは、わかるんだ。」
一粒、涙がこぼれた。
仮面をつけていてよかったと、頭の端っこでそう思った自分がいた。
「…分かったわ湊。私を傷つけたいのね?」
「違う!」
僕は杏がほほ笑んだように見えた。
「…違うのね?…ほら、一つ分かったじゃない。こうやって、私とお話ししましょう。そうすればきっとよくなる。」
僕の胸が暖かくなる。
しかし体を楽にしたい。
さっきからこの体勢が、辛い。腕を振り下ろしたい。
僕の体は、細かく震えている。
「いいのよ湊、私は死なないわ。一度振り下ろしてしまいましょう。」
僕の様子を見限った杏は、ほほ笑みながら言った。
僕は気が楽になった。
その一瞬で、刀は彼女の前に振り下ろされた。
だめだ!
僕は腕をねじった。
刀は地面を裂き、杏に傷はつかなかった。
「………ほら、あなたはできる人なのよ。」
杏は言った。
「さぁ湊、お話ししましょう。まずは私の手錠を外してほしいわ。」
僕は放心しながらも刀を置いた。そしてレバーを引いた。
手錠は下に流れ、杏の手は下る。
そして僕は杏の手枷を引きちぎった。
杏は手をグーパーさせている。
「助かったわ、ありがとうね」
そう言って彼女は両手を僕の顔に近づけて、仮面を外した。
「やっぱりあなた、かわいい顔してるわね。悔しいけどタイプよ。」
その言葉は僕に明かりを灯した。
「ねぇ湊、私が何で泉にいたと思う?」
杏は僕に尋ねた。
「………クジラに会うため、だったよね?」
「そう、クジラに会うため。じゃあなんでクジラに会おうとしていたと思う?」
「………死ぬため?」
僕は杏と出会った時のことを思い出していた。
なんで殺してくれないの、と言っていた気がする。
「そう、半分正解ね。私は自分を殺すためにあそこにいた。私ね、あのおじいちゃんと一度会っているのよ。お城で。あのおじいちゃんが夜、私の枕元に現れたの。急に現れたものだから、びっくりしておしっこ出ちゃいそうになったわ。」
杏は微笑して言った。
「でね、私ちょうどその頃この体の原因を知ってね、死にたくなっていたの。そしたらおじいちゃんが、助かる方法があるって、私にあの場所に来るように言ったの。クジラが目印だといってね。そしてそのあとすぐいなくなっちゃったんだ。最初は自分が幻覚を見始めたのかと思ったけど、少しでも抵抗できるならって思ってね。この運命に。」
「運命?」
「私ね、人を殺しながら生きているの。私の魔法は、多くの人を犠牲にして成り立っているの。」
どういうことなのだろう。
「私が死ぬと、国で働いている人たちから集めた生気が、私に注ぎ込まれる仕組みになっているの。だから何度も死んだわ。その貯蓄をすべて無くしてしまえばって。でも無理だったわ、いくら死んでも彼らの命を無駄にするだけだったわ。国を治めるものとして、それは一番やってはいけないことなのに。」
「でもどうして、そんなことに?」
「私の父と母、国王と王女が私に魔法をかけたの。いえ、もうこれは呪いね。私の国は今、貧富の差がとても大きいの。しかも意図的に作られている。私はそれが許せない。でも私も、その一因なんだって、みんなを苦しめている原因なんだって、それが許せなくて、苦しくて。私はその貧困のうえで成り立っている国のお姫様、お金だけじゃなく、この体はみんなの生きがいも奪っている。魔法によって、国のシステムによって、みんなの魂を奪っている。」
杏は唇をかみしめた。
「それで…、みんなから命を奪っているのが嫌で、死のうとしたんだね?」
「そう。私はそんな体で、王女の地位を受け継いで、生きていかなきゃいけなかった。」
人を殺しながら生きていかなきゃいけない。
「ごめんね、私の話になっちゃったね。」
杏は微笑んでいる。
「いいよ、もっと聞かせてよ」
「…じゃぁもう一つだけ。それ聞いてもらったら、もうちょっとは楽になるかも…。………それとね、わたし、自分の人生が設計されていたの。」
「設計…?」
「うん、設計。私が何歳の何ヵ月の何日に、まるまるをする。みたいに。王を含めた、大人たちによって。」
「な…」
「私が勉強することとか、趣味にすることとか、王女になることとか、結婚する相手とか、…子供の数とかまでね。」
杏の口角は上がっていたが、目は笑っていない。
「そのことを召使の子が話しているのを偶然聞いちゃって、その時、私のすることくらい私が決めなきゃ!…って思って、恐怖と怒りがわいてきちゃって、その日から強く抵抗するようになったんだ。………壁壊したりしてね。」
杏は最後、自分に対して笑っていた。目には涙がたまっている
僕は笑えなかった。
「そんなの、生きながら死んでいると思わない?」
その言葉を言い、杏は涙をこぼした。
「だから死んでやろうと思ったんだ。生きるために。私が生きるために死んでやろうと思った。」
杏は涙をこぼしながら微笑んだ。
僕は何も言えなかった。
杏は僕に駆け寄ってきた。そして顔を僕の胸にうずめた。
「胸かしてね」
僕は彼女を抱きしめる
何分間かそんな状態が続いていた。
僕は杏を助けたい。
僕の刀で切れるんじゃないか。
杏の呪いを断ち切る事が出来るんじゃないか。
わからない。
でも
彼女を見る。
「杏。」
「うん?」
杏は僕の目を見つめる。
「僕が君の呪いを解く。できるかわからないけれど、でも本気で、やってみたくなった。助けたくなった。挑戦したくなった。できるかわからないけど、やってみたい。」
僕は大きく息を吸い込む。
できるかわからないけど、やってみたい?
できるかわからないけど、やってみたい、という言葉に僕は反応している。
僕はは反応している。
僕は反応している。
なぜ反応している。
僕が反応している理由はなんだ。
僕が反応している理由はなんだ。
なぜ。
僕はこれまでできないと思っていた。
僕はこれまでできないと思っていた、と思っている。
僕はこれまでできないと思っていた、と思っている。
なぜ。
なぜ僕はこれまでできないと思っていた。
やっていないのに。
やってみなきゃわからないじゃないか。
僕は当たり前のことを悟った。
悟る事が出来た。
「湊?」
「ありがとう。今、また君に助けられたよ。」
僕は両手で杏の肩に乗せ、彼女を離す。
「僕は君が好きだ。君のおかげで僕は、何度も救われた。そんな君を、僕は救いたい。助けさせてもらいたい。いや、そんな大きなことは正直、僕にできるかわからない。けれど、僕は君の力になりたいんだ。」
杏は目を見開いて、僕を見ている。
「あ、ありがとう…。気持ちは、…うれしいわ。本当よ。でも、私の呪いは…」
「僕が刀で、君の呪いを断ち切る。」
杏は僕の事を見つめている。
「………分かったわ。あなたに、助けてもらいたい。…力を貸してちょうだい。」
杏は言った。
僕はうなづいた。
「ちょっと待っててほしい。その、僕を、見守っていてほしい。」
僕は杏から離れ、床に落ちた刀を拾った。
刀から出てきた闇は少ない。
僕は床に座り、刀を膝に乗せた。
ゆっくりと呼吸をする。
そして意識を呼吸に合わせ、自分の感覚を、心を、意識を眺め始める。
ありのままに観察する。
目を開けるとそこは、白い部屋だった。
目の前に僕がいた。
僕は刀を構えている。
僕はただ、彼を眺め続ける。
もう一人の僕は苦しんでいた。
僕は眺め続けていたが、彼は限界だった。
正面にいる僕は刀を構え、僕に突進してきた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
目を開けると目の前に、杏がいてくれた。
「おかえり」彼女は僕にほほ笑んだ。
「ただいま」僕も彼女にほほ笑んだ。
そして僕は刀を握った。
部屋は青色の光に包まれた。
しかし振り下ろせなかった。
体は刀を上段に構えたまま、硬直してしまっていた。
振り下ろしたのは妄想の僕だった。
僕は激怒する。
まだ僕を止めるのか僕は、なぜだ!
僕は固まったまま、目線を正面に向けていた。
そして杏が目の前にいることに、再び気づいた。
杏だ。
目の前に杏がいる。
僕は仮面越しに、杏と目を合わせ続けていた。
杏の眼差しは鋭く、真剣だった。
僕の体を蝕んでいる刀の浸食を意識しながら、僕は尋ねた。
「どうしたの?杏?」
僕の声は優しく、震えていた。
「そうじゃないよ、どうしたの湊?」
杏はそう言った。
僕に再び涙が溜まる。
僕は涙をこぼさないように努める。
「どうしたのって、僕は君を殺すんだよ?」
こめかみが痛い。
僕はこの緊張を終わらせたい。
「どうして、君をそうさせるのは何?」
杏は優しく、しかし叱るような声色で僕に尋ねる。
「………なんだろうね、…わからない。だけど苦しいのはわかるんだ。僕はこの苦しみから逃れたい事だけは、わかるんだ。」
一粒、涙がこぼれた。
仮面をつけていてよかったと、頭の端っこでそう思った自分がいた。
「…分かったわ湊。私を傷つけたいのね?」
「違う!」
僕は杏がほほ笑んだように見えた。
「…違うのね?…ほら、一つ分かったじゃない。こうやって、私とお話ししましょう。そうすればきっとよくなる。」
僕の胸が暖かくなる。
しかし体を楽にしたい。
さっきからこの体勢が、辛い。腕を振り下ろしたい。
僕の体は、細かく震えている。
「いいのよ湊、私は死なないわ。一度振り下ろしてしまいましょう。」
僕の様子を見限った杏は、ほほ笑みながら言った。
僕は気が楽になった。
その一瞬で、刀は彼女の前に振り下ろされた。
だめだ!
僕は腕をねじった。
刀は地面を裂き、杏に傷はつかなかった。
「………ほら、あなたはできる人なのよ。」
杏は言った。
「さぁ湊、お話ししましょう。まずは私の手錠を外してほしいわ。」
僕は放心しながらも刀を置いた。そしてレバーを引いた。
手錠は下に流れ、杏の手は下る。
そして僕は杏の手枷を引きちぎった。
杏は手をグーパーさせている。
「助かったわ、ありがとうね」
そう言って彼女は両手を僕の顔に近づけて、仮面を外した。
「やっぱりあなた、かわいい顔してるわね。悔しいけどタイプよ。」
その言葉は僕に明かりを灯した。
「ねぇ湊、私が何で泉にいたと思う?」
杏は僕に尋ねた。
「………クジラに会うため、だったよね?」
「そう、クジラに会うため。じゃあなんでクジラに会おうとしていたと思う?」
「………死ぬため?」
僕は杏と出会った時のことを思い出していた。
なんで殺してくれないの、と言っていた気がする。
「そう、半分正解ね。私は自分を殺すためにあそこにいた。私ね、あのおじいちゃんと一度会っているのよ。お城で。あのおじいちゃんが夜、私の枕元に現れたの。急に現れたものだから、びっくりしておしっこ出ちゃいそうになったわ。」
杏は微笑して言った。
「でね、私ちょうどその頃この体の原因を知ってね、死にたくなっていたの。そしたらおじいちゃんが、助かる方法があるって、私にあの場所に来るように言ったの。クジラが目印だといってね。そしてそのあとすぐいなくなっちゃったんだ。最初は自分が幻覚を見始めたのかと思ったけど、少しでも抵抗できるならって思ってね。この運命に。」
「運命?」
「私ね、人を殺しながら生きているの。私の魔法は、多くの人を犠牲にして成り立っているの。」
どういうことなのだろう。
「私が死ぬと、国で働いている人たちから集めた生気が、私に注ぎ込まれる仕組みになっているの。だから何度も死んだわ。その貯蓄をすべて無くしてしまえばって。でも無理だったわ、いくら死んでも彼らの命を無駄にするだけだったわ。国を治めるものとして、それは一番やってはいけないことなのに。」
「でもどうして、そんなことに?」
「私の父と母、国王と王女が私に魔法をかけたの。いえ、もうこれは呪いね。私の国は今、貧富の差がとても大きいの。しかも意図的に作られている。私はそれが許せない。でも私も、その一因なんだって、みんなを苦しめている原因なんだって、それが許せなくて、苦しくて。私はその貧困のうえで成り立っている国のお姫様、お金だけじゃなく、この体はみんなの生きがいも奪っている。魔法によって、国のシステムによって、みんなの魂を奪っている。」
杏は唇をかみしめた。
「それで…、みんなから命を奪っているのが嫌で、死のうとしたんだね?」
「そう。私はそんな体で、王女の地位を受け継いで、生きていかなきゃいけなかった。」
人を殺しながら生きていかなきゃいけない。
「ごめんね、私の話になっちゃったね。」
杏は微笑んでいる。
「いいよ、もっと聞かせてよ」
「…じゃぁもう一つだけ。それ聞いてもらったら、もうちょっとは楽になるかも…。………それとね、わたし、自分の人生が設計されていたの。」
「設計…?」
「うん、設計。私が何歳の何ヵ月の何日に、まるまるをする。みたいに。王を含めた、大人たちによって。」
「な…」
「私が勉強することとか、趣味にすることとか、王女になることとか、結婚する相手とか、…子供の数とかまでね。」
杏の口角は上がっていたが、目は笑っていない。
「そのことを召使の子が話しているのを偶然聞いちゃって、その時、私のすることくらい私が決めなきゃ!…って思って、恐怖と怒りがわいてきちゃって、その日から強く抵抗するようになったんだ。………壁壊したりしてね。」
杏は最後、自分に対して笑っていた。目には涙がたまっている
僕は笑えなかった。
「そんなの、生きながら死んでいると思わない?」
その言葉を言い、杏は涙をこぼした。
「だから死んでやろうと思ったんだ。生きるために。私が生きるために死んでやろうと思った。」
杏は涙をこぼしながら微笑んだ。
僕は何も言えなかった。
杏は僕に駆け寄ってきた。そして顔を僕の胸にうずめた。
「胸かしてね」
僕は彼女を抱きしめる
何分間かそんな状態が続いていた。
僕は杏を助けたい。
僕の刀で切れるんじゃないか。
杏の呪いを断ち切る事が出来るんじゃないか。
わからない。
でも
彼女を見る。
「杏。」
「うん?」
杏は僕の目を見つめる。
「僕が君の呪いを解く。できるかわからないけれど、でも本気で、やってみたくなった。助けたくなった。挑戦したくなった。できるかわからないけど、やってみたい。」
僕は大きく息を吸い込む。
できるかわからないけど、やってみたい?
できるかわからないけど、やってみたい、という言葉に僕は反応している。
僕はは反応している。
僕は反応している。
なぜ反応している。
僕が反応している理由はなんだ。
僕が反応している理由はなんだ。
なぜ。
僕はこれまでできないと思っていた。
僕はこれまでできないと思っていた、と思っている。
僕はこれまでできないと思っていた、と思っている。
なぜ。
なぜ僕はこれまでできないと思っていた。
やっていないのに。
やってみなきゃわからないじゃないか。
僕は当たり前のことを悟った。
悟る事が出来た。
「湊?」
「ありがとう。今、また君に助けられたよ。」
僕は両手で杏の肩に乗せ、彼女を離す。
「僕は君が好きだ。君のおかげで僕は、何度も救われた。そんな君を、僕は救いたい。助けさせてもらいたい。いや、そんな大きなことは正直、僕にできるかわからない。けれど、僕は君の力になりたいんだ。」
杏は目を見開いて、僕を見ている。
「あ、ありがとう…。気持ちは、…うれしいわ。本当よ。でも、私の呪いは…」
「僕が刀で、君の呪いを断ち切る。」
杏は僕の事を見つめている。
「………分かったわ。あなたに、助けてもらいたい。…力を貸してちょうだい。」
杏は言った。
僕はうなづいた。
「ちょっと待っててほしい。その、僕を、見守っていてほしい。」
僕は杏から離れ、床に落ちた刀を拾った。
刀から出てきた闇は少ない。
僕は床に座り、刀を膝に乗せた。
ゆっくりと呼吸をする。
そして意識を呼吸に合わせ、自分の感覚を、心を、意識を眺め始める。
ありのままに観察する。
目を開けるとそこは、白い部屋だった。
目の前に僕がいた。
僕は刀を構えている。
僕はただ、彼を眺め続ける。
もう一人の僕は苦しんでいた。
僕は眺め続けていたが、彼は限界だった。
正面にいる僕は刀を構え、僕に突進してきた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
目を開けると目の前に、杏がいてくれた。
「おかえり」彼女は僕にほほ笑んだ。
「ただいま」僕も彼女にほほ笑んだ。
そして僕は刀を握った。
部屋は青色の光に包まれた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
僕が伯爵と呼ばれる7日の間に
五十五 望 <いそい ぼう>
ライト文芸
固く閉ざされた館の扉が1年に2日間だけ開く、レ・ジュルネ・デュ・パトリモアンヌ。
その日、パリ市内に位置する17世紀の城館を訪れたその人は、悲鳴を上げた。
———なかったからだ。そこにあるべき絵が。
自分のジェンダー感覚の違和感に揺らぐ一人の男と、彼が唯一執着を覚える17世紀の女性。
そしてその面影を持つ、謎の女……
そこに生まれるものは、果たして愛なのか? それとも……
バロック時代に描かれた1枚の肖像画を巡って交錯する、迷える男女の心の物語を、作者オリジナルの挿絵を交えて紡ぎ出す。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
百々五十六の小問集合
百々 五十六
ライト文芸
不定期に短編を上げるよ
ランキング頑張りたい!!!
作品内で、章分けが必要ないような作品は全て、ここに入れていきます。
毎日投稿頑張るのでぜひぜひ、いいね、しおり、お気に入り登録、よろしくお願いします。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
冀望島
クランキー
ホラー
この世の楽園とされるものの、良い噂と悪い噂が混在する正体不明の島「冀望島(きぼうじま)」。
そんな奇異な存在に興味を持った新人記者が、冀望島の正体を探るために潜入取材を試みるが・・・。
後宮の下賜姫様
四宮 あか
ライト文芸
薬屋では、国試という国を挙げての祭りにちっともうまみがない。
商魂たくましい母方の血を強く譲り受けたリンメイは、得意の饅頭を使い金を稼ぐことを思いついた。
試験に悩み胃が痛む若者には胃腸にいい薬を練りこんだものを。
クマがひどい若者には、よく眠れる薬草を練りこんだものを。
饅頭を売るだけではなく、薬屋としてもちゃんとやれることはやったから、流石に文句のつけようもないでしょう。
これで、薬屋の跡取りは私で決まったな!と思ったときに。
リンメイのもとに、後宮に上がるようにお達しがきたからさぁ大変。好きな男を市井において、一年どうか待っていてとリンメイは後宮に入った。
今日から毎日20時更新します。
予約ミスで29話とんでおりましたすみません。
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる