15 / 29
3/7章 開始
第1/3話 僕たちの試練の開始
しおりを挟む
〈開始〉
目を開けると、そこは森の中だった。
僕の城の付近とも、泉の付近の森とも違っていた。
木が一本一本、巨大だった。
僕はベッドの上に寝ていた。
巨大な木の上に建てられた、ツリーハウスのベッドに寝ていた。
外壁はないため、風が通り、僕を包む。
僕は起き上がろうとした。
しかし起き上がれない。
全身が痛んだ。僕の体は包帯で固定されている。
誰が処置してくれたのだろう。
ふと、凜の事を思い出す。
彼女はどうしているのだろうか。というより、どうしたのだろうか。
凜とは連絡が途中で途切れた。
土人たちが襲ってくる前に。
凜も仲間だったのか…。
そんな考えが頭に浮かんだが、そうとは考えられなかった。
そう考えたくもなかったし、信じる根拠はなかった。
凜に裏切られたとしたら、仕方がない。
僕のせいで、凜はこの組織に入ることになった。
彼女も死んでいた方が良かったのかもしれない。
いや、それは僕のエゴだろう。凜の考えは、凜のものだ。
僕は状況を確認した。
足元を見ると、杏が寝ていた。僕の膝の上で。
杏は綺麗な顔をしていた。
彼女の寝顔を、ずっと見ていたいなぁ。
しかし眺めていると、彼女は起きた。
僕は話しかけられることを期待した。
しかし彼女は僕の方を見て、立ち上がり、何も言わず、階段を下りて行ってしまった。
どこへ行ってしまったんだろう。
僕には何もできない。
僕は天井を見上げ、記憶を探った。
クジラの中へ入った後、目を覚ましたら、ここにいた。老婆の言う自然界なのだろうけど…。
階段から音が聞こえてきた。三つ…。
階段から順に、老婆、杏、そして土人が上がってきていた。
「調子はどうかね」
老婆は僕のそばまでやってきて、そういった。
「全身が痛みますが…。何とかなりそうです。」
「そうかい…。」
そういうと老婆は杖を置き、正座をした。
そして頭を下げた。
「すまなかった…。途中でソナタを危険な目に合わせてしまって、わがままを許してほしい。」
僕は動揺した。
「いや、いったい何を…。僕はあなたには何もされていませんし、何よりこれから力を借り王としている。」
僕はクジラのおかげで生き延び、老婆のおかげでこれから成長する。
「途中でわしは姿を消した。本当ならわしを半分犠牲にして、そなたの力に気づいてもらおう
としたのじゃが、わしはこの子を選んだ。」
そういって、老婆は体の向きを変え、杏の方に向き直り、再び頭を下げた。
「わかったわ。あなたがそう言うのなら、私はあなたを許すわ。ただ、私は私のしたい事、できることをしたまでよ。」
杏はそう言ってかがむと、老婆を抱きしめた。
僕は彼女の行為に、胸が苦しんだ。
僕のきっと彼女のようにするべきだったのだろう。今は体が動かないけど。
老婆は立ち上がり、杖もち、僕に話をした。
「そなたにはやってもらうことがある。
一つ、瞑想に励むこと。
二つ、仕事を見つける事。
三つ、この三つめはそなたが決めておくれ。」
聞きたい事はあったが、僕は了承する。
「わかった。」
「そして杏。そなたにも三つやってもらうことがある。詳しくはあとで話そう。」
その後時間がたち、体も回復してきた僕は地上へ降りることにした。
僕は階段を下りていった。
目を開けると、そこは森の中だった。
僕の城の付近とも、泉の付近の森とも違っていた。
木が一本一本、巨大だった。
僕はベッドの上に寝ていた。
巨大な木の上に建てられた、ツリーハウスのベッドに寝ていた。
外壁はないため、風が通り、僕を包む。
僕は起き上がろうとした。
しかし起き上がれない。
全身が痛んだ。僕の体は包帯で固定されている。
誰が処置してくれたのだろう。
ふと、凜の事を思い出す。
彼女はどうしているのだろうか。というより、どうしたのだろうか。
凜とは連絡が途中で途切れた。
土人たちが襲ってくる前に。
凜も仲間だったのか…。
そんな考えが頭に浮かんだが、そうとは考えられなかった。
そう考えたくもなかったし、信じる根拠はなかった。
凜に裏切られたとしたら、仕方がない。
僕のせいで、凜はこの組織に入ることになった。
彼女も死んでいた方が良かったのかもしれない。
いや、それは僕のエゴだろう。凜の考えは、凜のものだ。
僕は状況を確認した。
足元を見ると、杏が寝ていた。僕の膝の上で。
杏は綺麗な顔をしていた。
彼女の寝顔を、ずっと見ていたいなぁ。
しかし眺めていると、彼女は起きた。
僕は話しかけられることを期待した。
しかし彼女は僕の方を見て、立ち上がり、何も言わず、階段を下りて行ってしまった。
どこへ行ってしまったんだろう。
僕には何もできない。
僕は天井を見上げ、記憶を探った。
クジラの中へ入った後、目を覚ましたら、ここにいた。老婆の言う自然界なのだろうけど…。
階段から音が聞こえてきた。三つ…。
階段から順に、老婆、杏、そして土人が上がってきていた。
「調子はどうかね」
老婆は僕のそばまでやってきて、そういった。
「全身が痛みますが…。何とかなりそうです。」
「そうかい…。」
そういうと老婆は杖を置き、正座をした。
そして頭を下げた。
「すまなかった…。途中でソナタを危険な目に合わせてしまって、わがままを許してほしい。」
僕は動揺した。
「いや、いったい何を…。僕はあなたには何もされていませんし、何よりこれから力を借り王としている。」
僕はクジラのおかげで生き延び、老婆のおかげでこれから成長する。
「途中でわしは姿を消した。本当ならわしを半分犠牲にして、そなたの力に気づいてもらおう
としたのじゃが、わしはこの子を選んだ。」
そういって、老婆は体の向きを変え、杏の方に向き直り、再び頭を下げた。
「わかったわ。あなたがそう言うのなら、私はあなたを許すわ。ただ、私は私のしたい事、できることをしたまでよ。」
杏はそう言ってかがむと、老婆を抱きしめた。
僕は彼女の行為に、胸が苦しんだ。
僕のきっと彼女のようにするべきだったのだろう。今は体が動かないけど。
老婆は立ち上がり、杖もち、僕に話をした。
「そなたにはやってもらうことがある。
一つ、瞑想に励むこと。
二つ、仕事を見つける事。
三つ、この三つめはそなたが決めておくれ。」
聞きたい事はあったが、僕は了承する。
「わかった。」
「そして杏。そなたにも三つやってもらうことがある。詳しくはあとで話そう。」
その後時間がたち、体も回復してきた僕は地上へ降りることにした。
僕は階段を下りていった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
宇宙との交信
三谷朱花
ライト文芸
”みはる”は、宇宙人と交信している。
壮大な機械……ではなく、スマホで。
「M1の会合に行く?」という謎のメールを貰ったのをきっかけに、“宇宙人”と名乗る相手との交信が始まった。
もとい、”宇宙人”への八つ当たりが始まった。
※毎日14時に公開します。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる