【完結】触れた人の心の声が聞こえてしまう私は、王子様の恋人のフリをする事になったのですが甘々過ぎて困っています!

Rohdea

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第30話

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《……何なのよ!  本当に薄気味悪い!》

  今更、そんな事を言われなくても分かっているわ。
  心の中を読まれているアンネマリー様からすれば気味が悪いのも当然。

  (私の様子を見ている殿下だって不審に思っているはず……)

  どう思われているのかと考えるだけで胸が痛む。
  だけど、今この力を使わないでどうするの?
  そんな気持ちの方が強い。

  アンネマリー様の顔色はとても悪くなったけれど、さすが普段から本音と建前を使い分けている高位貴族の令嬢はやっぱり甘くない。
  屋敷の使用人達とは違って簡単に自供はしてくれない。

「……セシリナ様ったら、本当に何を言っているのかしら?」

  そう言いながら今にも私の腕から手を離してしまいそうだったので、私は慌てて手袋を脱ぎアンネマリー様の腕を掴んだ。

「アンネマリー様……しらばっくれても駄目です」
「酷いわ……さっきから何の言いがかりなの」

  エンジューラ様を拐っただけでなく、男達に襲わせると言っていた!
  急がないと!

《私は男達を用意してマリアン様に指示をしただけ》
《実行したのはマリアン様だもの》
《どこに連れ出したのかは知らないわ》

  アンネマリー様の思考は以前お姉様がルーベンスお兄様を唆した時と同じで自分は悪くないと言い逃れ出来ると思っているようだった。

「そうですか。連れ出したのはお姉様ですものね。つまり、アンネマリー様は王宮内のどこにいるかまではご存知ないと……そういう事ですね?」
「……え」

《どうして!?》
《何でそこまでバレてるのよ……》

  アンネマリー様が分かりやすく動揺したけれど、彼女から得られる情報は少な過ぎた。

  (しらみ潰しに王宮内の部屋を探し回るしかないの?)

  事が事だけに大掛かりにせずに済ませたい。
  でも、それでは時間がかかり過ぎる。
  お姉様さえ捕まえられれば……

  ようやく、今日のお姉様がらしくない地味な装いだった意味分かった。
  目立つ事を避けたかったからなのね。




  どう動く事が一番かと考えた時、視界の端に見覚えのある姿が映った。

  ──お姉様!!

  キョロキョロと辺りを見回しながら会場に戻って来た。
  動きがコソコソしているのは後ろめたい事があるからかもしれない。

「……エリオス殿下」
「セシリナ?」
「お姉様が会場に戻って来ました。捕まえてここに連れて来てくれませんか?」
「え?  ……分かった」

  エリオス殿下は一瞬、驚いた顔を見せたものの、深く追求せずに頷いてくれた。
  私に聞きたい事がたくさんあるはずなのに、今は黙って動いてくれる事に感謝しかない。

「ちょうど今、会場に入って来たあの令嬢です」
「……マリアン嬢とは思えない装いだね……変装のつもりなのかな。連れて来る」

  エリオス殿下がお姉様の元に向かうのを見ながらも不安は消えない。

  (お姉様が戻って来たという事は……今、エンジューラ様はどうしているのだろう?)

  早く早くと焦る気持ちばかりが先走りそうになる。
  だけど、そんな私の気持ちとは関係なくアンネマリー様は止まらない。

「いい加減にしてくださらない?」
「……」
「さっきから言いがかりばかり!  マリアン様まで捕まえて何をしようと言うのかしら?  私にこんな事をしてただで済むと思っているの?」

《最悪なタイミングで戻って来たわね》
《頃合いを見て合流して、私達二人が現場の目撃者になる予定だったから戻って来たのは分かるけれど。本当に大誤算!》
《……でも、マリアン様のあの性格なら白を切り通すはずよ》

  ……成程。だからお姉様はのこのこと戻って来たのね。

「アンネマリー様とお姉様のしでかした罪を明らかにして、エンジューラ様を助ける……それだけですよ」
「だから!  私は何も……」
「その言葉。お姉様がここに来ても言えるといいですね」
「……!」

《……何なの?》
《この人は本当にあのセシリナ様なの?  以前はあんなにオドオドしていたくせに》
《たかが伯爵令嬢にどうしてこの私が押されているのよ》

「ギルディス殿下」

  心の中で喚いているアンネマリー様をとりあえず無視してギルディス殿下に声をかける。

「……どうした?」
「お姉様がここに来たら、エンジューラ様の居場所を明らかにさせます。捜索の準備をお願い出来ますか?  ……出来る限り最小人数で」
「……最小人数でいいのか?  マリアン嬢が嘘を言って撹乱する可能性だってあるだろう?」
「いえ、大丈夫です。嘘はつかせませんから」
「セシリナ嬢……?」



  そんな話をしている間にも、エリオス殿下に連れられたお姉様が私たちの元にやって来た。

「……は?  何でセシリナが……それにギルディス殿下まで!」

  お姉様が何事かと目を丸くしている。そして、エリオス殿下を睨みながら言った。

「エリオス殿下!  内密で私に話があると言ったのは嘘だったのですか!?」
「え?  嘘では無いよ、内密な話なのは本当だからね。だけどとは一言も言っていなかっただろう?」
「そんな……!」

  お姉様がエリオス殿下に何を期待して着いて来たのかがよく分かる言動だった。
  謹慎させられても変わらないのだな、という事に落胆する気持ちを覚えながらもお姉様に向かって口を開く。

「お姉様、正直に答えて下さい。エンジューラ様は何処ですか?  どこに連れ出したのですか?」
「……は?  何の話?  知らないわよ。何を言っているの?」

  分かってはいたけれど、やっぱりとぼけられた。

「そうですか。でも隠しても無駄です。お姉様とアンネマリー様のした事はもう分かっていますから。失礼します」

  私はそう言ってアンネマリー様から手を離し今度はお姉様の腕を掴んだ。

「え?  は?  何を言って……」

《何なのよ!?》
《そして、どういう事よ!!》
《私はちゃんと、あの女エンジューラを連れ出したというのに!》

「……謹慎中でもあり、招待状も持たないお姉様がアンネマリー様の力でここに潜り込んだ事も分かっています」

《はぁ!?  何で全部バレてるのよ!》
《まさかアンネマリー様、しくじったの?》

「だから何の話かしら?」
「さっきからセシリナ様は言いがかりばっかりなのよ」
「まぁ!  妹が申し訳ございません」

  また始まった。
  二人の茶番に付き合っている時間は無い。
  そんな事を考えたせいで思わずお姉様を掴んでいる手に力が入ってしまった。

《痛っ!》
《腹が立つわね。セシリナ……あんたもあの女エンジューラのいる2階の角部屋に一緒に連れ込んでやれば良かったかしら?》
《セシリナを蹴落とす方法はアンネマリー様が決める事になっていたから、私に口出す権利が無いのが残念だわ》

「……2階の角部屋」

  私が小さくそう呟くとお姉様の身体が震えた。

《え?  今、私は口に出した?》
《そんなはずー……》
《居場所を知っているのは私だけだもの。あの2階の角部屋は奥まっていて人気も無いしちょうど良かったの》

「──ギルディス殿下、間違いありません!  2階の角部屋です!  エンジューラ様はそこにいます!」
「……え!」
「「「!?」」」

  私の言葉にお姉様が間抜けな声をあげて、他の3人も驚きの顔を私に向けた。

「セシリナ……ど、どうして?」

  明らかにお姉様はうろたえ始めた。
  この辺の弱さはやっぱりアンネマリー様とは違う。

「エリオス!  後を頼む」

  ギルディス殿下はこの場をエリオス殿下に頼んで数人の護衛と共に急いで向かっていく。

「セシリナ……あなた、本当に何なのよ」
「……」
「さっきから、瞳の色は金色に変わっているし、本当に本当に不気味!  触らないでよ!」

  お姉様が私の手を振り払う。

  (……ん?  瞳の色が金色に変わっている?  どういう事かしら?)

「セシリナ。マリアン嬢の言う事なんて聞かなくていいよ」
「……エリオス殿下?」

《本当に余計な事しか言わない姉だな》
《どっちの色だって綺麗なのに》

  エリオス殿下が私を抱き寄せたので声が聞こえて来る。
  いや、さすがに瞳の色が変わるのは綺麗だね、で済む話では無いと思うのだけど……

  (この力と関係があるのかしら?)

「アンネマリー嬢もマリアン嬢も、兄上が戻って来るまでに覚悟を決めておくべきだね」
「私は何もしていないわ!  全部、セシリナ様の言いがかりですわ!」
「私だってそうよ!」
「……」

《兄上とエンジューラ嬢が戻って来ても同じ事が言えるかな》
《セシリナは敢えて危害を……という言い方にしていたが、おそらく二人は協力して男にエンジューラ嬢を襲わせる計画を立てていた、そんな所だろう》
《……間抜けな二人だな。そんな事をしても無駄なのに。まぁ、知らなかったんだろう》

「……?」

  エリオス殿下の言っている事がよく分からなかった。
  襲わせても無駄?

  どうして──……?

「あぁ、戻って来た。さすが早いな」

  エリオス殿下の声で会場の入口を見ると二人が並んで戻って来た所だった。

  (早くない?)

  そんな疑問が浮かぶも、エンジューラ様の様子におかしな所は見受けられず安心する。

  反対にアンネマリー様とお姉様の顔色はどんどん悪くなる。
  さすがにエンジューラ様が戻って来ると冷静ではいられないらしい。

「セシリナ嬢、ありがとう。君の言う通りエンジューラは2階の角部屋に居たよ」
「そうでしたか……良かったです」
「ありがとう、セシリナ様!  さすがに人数が多かったから、面倒になってきていて加勢が欲しいわ……と思ったタイミングでギル様が来てくれたのよ!」

  ──ん?

「3人も倒しておいて何を言う」
「まぁ、ギル様!  以前の私なら5人くらいなら大丈夫でしたわ。やっぱり身体が鈍っているのかしらね」
「エンジューラのそういう所は好きだが、程々にしてくれよ」

  ──んんん?

「その反応、セシリナも知らなかったのかな?  エンジューラ嬢は大の男数人くらいなら一人で倒せてしまうくらい鍛えられた令嬢なんだよ」
「え!」
「兄上との出会いも、兄上を不届き者と勘違いして倒したのが始まりだ」
「えぇぇ……!?」

  エリオス殿下の言葉を聞いたエンジューラ様がニッコリ笑って言う。

「それでも最近は大人しくしていたから、鈍ってたみたいで。今回はちょっと困っていたのよ」

  ふふふ、と笑うエンジューラ様。
  その様子は、とても拐われて襲われかけた令嬢には見えない。
  むしろ、逞しい令嬢…… 

  そんなエンジューラ様はアンネマリー様とお姉様の方に顔を向けると、さらに笑顔で言った。

「あら、面白いくらい顔が真っ青ね。私を連れ出したマリアン様。そして、アンネマリー。男達も口を割ったわよ?  全部あなたの命令だってね」
「「!!」」
「……そうか。二人にはじっくり話を聞かせてもらう必要があるな」

  ギルディス殿下が二人に冷たい視線を向ける。
  さすがにもう言い逃れが出来ないと思ったのか、二人は反論する事も無く真っ青な顔で震えていた。








  お姉様達が別室に連れて行かれて、私とエリオス殿下はバルコニーに出て休んでいた。

「……セシリナ、大丈夫?」
「は、はい。ですが、エンジューラ様には圧倒されてしまいました!」
「まぁ、あの外見でそうは見えないからね」
「はい……」

  エリオス殿下が私の頭を撫でる。

《……だけど、セシリナは何故あの場所を特定出来たんだろう?》
《それだけじゃない。アンネマリー嬢に対してもマリアン嬢に対しても、何もかも先を読んでいた》

「……!」

《あれはまるでー……》

「……エリオス殿下」
「うん?  どうしたの?」

《また、何か思いつめた顔をしているな……》

「お話が…………あります」
「話?」

  エリオス殿下が首を傾げる。

「とても大事な……話です」

  これ以上黙っておく事は出来ない。
  そう思って私は顔をあげてエリオス殿下の目をしっかり見つめた。

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