【完結】転生したら悪役令嬢になったようですが、肝心のストーリーが分かりません!!

Rohdea

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おまけ

溺愛王子の愛の重さは尋常じゃ無い

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「そう言えば、ずっと疑問だった事があるのですが……」
「ん?  何だい?」

  あの元・男爵令嬢ピンクとの騒動を経て、無事に気持ちを通じ合わせた私達。

  今はあの頃のドタバタが嘘のように穏やかな時間が流れている。
  まぁ、あれから変わった所と言えば……

「その話をする前に、少し離れてくださいませんか?」
「……えぇっ!!  何を言ってるの?  キャロライン、それは例え君でも無理なお願いだね」
「っっっですが!!  こ、こうもくっつかれていたら話がしにくいのです!!」


  実は今、私はシュナイダー様の膝の上にいる。

  ……もう一度言わせてくれます?

  今、私はシュナイダー様の膝の上にいる。

  彼は終始ニッコニコ顔で、私を膝に乗せて優雅に紅茶を啜っている。
  え?  これって普通の事?  誰もがやってる事??
  シュナイダー様は当然だよって顔でいつも要求してくるのだけど!


  ──おかげさまで、最近の彼とお茶会の際、私の定位置はシュナイダー様の膝の上。


  そうなのだ。
  あれから、シュナイダー様の私に対する愛が爆発した。

  かつて、彼と婚約した頃、
  王子様とは大体が俺様か腹黒かと決まっているのだ。(キャロライン調べ)
  なーんて、“王子様”の事を決めつけていたけど、違ったわね。甘かったわ、あの頃の私!

  シュナイダー様は、俺様でも腹黒でも無かったわ!

  ──恋人に甘々な、溺愛王子よっっっ!!!!(キャロライン調べ・改)

  溺愛王子……いや、正確には溺愛王太子が爆誕していた。

  おそらくだけど、彼は相当拗らせていた。
  7年もの間、私が彼からのアプローチを事ごとくスルーして来た結果が、コレ。

「キャロライン……お願いだからそんな悲しい事、言わないでよ」
「うっ!!」

  そう言って私を後ろからギュッと抱き締めてくるシュナイダー様!

  ドクンッ!

  私の心臓は大きく跳ねる跳ねる。
  も、もしやシュナイダー様は私をキュン死にでもさせる気なの!?
  そう警戒するも、私が少しでも離れようとする素振りを見せると、こうしてまるで捨てられた仔犬のような顔をされてしまい、私は私でそんなシュナイダー様を見ていると、どうにもこうにも離れ難くなってしまうのだ。
  (前世の私は犬派)


  ……私の名前、キャロラインじゃなくてチョロラインに改名した方がいいかしら?
  なんて、ちょっとだけ本気で悩んだわ。
  まぁ、そんな事を言い出したら、お父様とお母様が全力で泣いて止めに入ると思うけれどね。

  さて、心臓の音はバックンバックン凄いけれど、ここはもうこの体勢を受け入れて、例の話をしないと!

「あのですね!  シュナイダー様、私ー……」

  そう言いながら、私は勢いよく後ろを振り返った。

  ──チュッ

「!?!?!?」

  私の唇に覆い被さるようにシュナイダー様が、唇を重ねて来た。

「……んんっ」
「……」

  シュナイダー様は何度も角度を変えてはチュッ、チュッと啄むようなキスを繰り返す。
  そして、それは全く緩まること無く、むしろ段々と濃厚に……

  ──ダメぇぇぇ!  私がヒロインの私だけの物語は18禁じゃないのよーーーー!!!!

  心の中でそう叫ぶも、当然、シュナイダー様には届くはずもなく。
  キスは、シュナイダー様が満足するまでしばらくの間続いた。




「もーーう!  ですから、私の話を聞いて下さい!!」

  ようやく唇が解放されたので、やっと話せるわ。

「ごめん、ごめん。キャロラインのその美味しそうな唇を見ると、どうしても触れて堪能したくなっちゃうんだ。それもこれもキャロラインが可愛い過ぎるからだよ」
「……!」

  そんな事を言いながら、シュナイダー様は、今度は楽しそうに私のくるんくるんした縦ロールを弄んでいる。
  私の縦ロールはいつだって絶好調よ!

  最近気付いたけど、シュナイダー様は私のこの縦ロールがお気に入りらしい。
  このくるんくるんしていて、元気に弾んでいるのを見るのがお好きなのだとか。

  ──王子様はちょっと人に言えない性癖を持っている!  (キャロライン調べ・改)

  ……って、違う、違う!!
  今は髪の事じゃないわ!!  私が聞きたかったのはーーーー……




「え?  キャロラインが階段から落ちて、昏睡状態のままの君を僕が私室にお持ち帰りしていた時、僕がどこで寝ていたのかだって?」

  私は全力でウンウンと頷く。

  やっと!  やっと聞けたわ!!
  ここまで来るのに凄く時間を費やした気がするけど、ついに聞けたわ!!

  そんな必死な様子の私をみて、シュナイダー様はクスリと笑った。

「嫌だなぁ、キャロライン。決まってるでしょ?」
「え?  決まっている、のですか?」

  なんだ、そうなのね?  こういった際に王子が使えるお部屋なんてたくさんあるわよね!  だって、王宮だもの。
  と、納得しかけたら、目の前の溺愛王子様は笑顔のまま爆弾発言を投下した。

「僕もずっと自分の部屋にいたよ。だってキャロラインが心配だったから」
「ーーはい?」
「もちろん、日中は勉強や公務でずっと付きっきりというわけにはいかなかったけど、夜はね。ずっとキャロラインの傍にいたかったから」
「ーーーーはい?」

  んんんんん?  私、やっぱり耳おかしくなったんじゃないかしら?
  だって、シュナイダー様、眠っている私と一緒の部屋にいたって聞こえたんだもの。

「……私、シュナイダー様の寝心地抜群のふっかふかのベッドで寝ていましたよね?」
「うん。僕が寝かせたからね。あ、寝心地良かったんだ?  それは良かった」

  シュナイダー様は、ニッコニコの笑顔で答えた。

「えぇ、とっても!  ……では無くてです!  ベッドは私が占領していました。では、シュナイダー様……は、その、あのお部屋のどこで……?」
「……あぁ、僕がどこで眠っていたのか気にしてたんだ?」

  私がブンブン勢いよく首を縦に降ると、シュナイダー様はあっけらかんとした顔で言った。

「嫌だなぁ、キャロライン。決まってるでしょ?」

  あら?  どうしてかしらさっきもこのセリフ聞かなかった?  嫌な予感ーー……

「…………」
「君の隣だよ」
「!?!?!?!?!?」


  ────はい????  今、この方は何と……?


「キャロライン?  固まってるよ、どうかした?」
「と、なり? 隣……ですか……?」
「そうだよ、君の隣で寝てたよ。まぁ、心配しすぎて殆ど寝付けなかったけどね」

  そう言ってシュナイダー様はクスリと笑う。

  シュナイダー様ーー?  そこ笑うところ?  笑うところですかーー!?
  嫁入り前の令嬢に、何してくれてるのですかーー!?!?


  ……もう、私のライフはゼロに近かった。


  その後、みっちりじっくり聞き取りをした結果、彼は、周囲の反対を押し切って、自分の私室に私をお持ち帰りした際、両親である国王陛下夫妻と私の両親である公爵夫妻に絶対に手は出さないと約束し、その誓約書まで書かされていたと教えてくれた。

「どうかしたの?  キャロライン」
「い、いえ……大丈夫です、わ」

  息も絶え絶えな様子の私を、どうかしたのかと不思議そうな顔をして尋ねてくるシュナイダー様。
  何故、そんな不思議そうな顔されるの!?
  お願い、分かって!  私、もう貴方の爆弾発言のおかげで瀕死なんです!!

「そう?  ならいいのだけど……」
「えぇ、本当に…………大丈夫……ですわ」

  私は精一杯の笑顔でそう答えた。

  そんな私の気も知らずニッコニコな笑顔でシュナイダー様が再び顔を近付けてくる。
  そして、私はそっと瞳を閉じる。

  与えられた温もりは、何だかんだで幸せの味がした。
  

──────……


  今日、私は知った。
  私だけの物語のヒーロー……
  溺愛王子の愛の重さは尋常じゃ無い(キャロライン調べ・改)







✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼

ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました!
イチャイチャラブラブ出来てましたかね……?(心配)
最近、私の中のイチャイチャラブラブが迷子になっておりまして(汗)
楽しんで頂けてたら幸いです。

さて、名残惜しさもありますが、このお話はここで完結にしようと思います。
この2人はもう大丈夫です。
イチャイチャラブラブしながら、周りに支えられつつ成長して行きますよ(きっと)

『婚約破棄されて処刑されたら時が戻りました!?~4度目の人生を生きる悪役令嬢は今度こそ幸せになりたい~』
の方は引き続き更新して行きますので、よろしくお願い致します!
あちらの王子様は最近、意味深な言動と行動が増えて来た所です。
本日更新分もそんな感じです。
読んでないよって方は、もしご興味があればぜひ!

ありがとうございました!(*ˊᵕˋ*)
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