聖女に転生してしまった私は幸せを目指す

白玉しらす

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恋人と過ごす夜 ☆

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 数日後、転移魔法の準備が整い、ヴィンセントは再び魔物討伐に向かった。
 見送る時に、食事を用意して待っていますと言うと、ヴィンセントは優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。
 私に触れる時は緊張した顔を見せていたヴィンセントも、この数日でだいぶ慣れたようだ。
 私は二人で過ごす、穏やかで温かな時間が好きだった。
 だから、どうか無事に帰ってきて欲しい。一緒に食事をして、美味しいと笑って欲しい。
 もしも戻って来た時に発情していたら、今度は聖女としてではなく、恋人としてヴィンセントの全てを受け入れたい。 
 そんな事を考えながら、私は食事の下拵えに取り掛かった。
 

「……ただいま」
 夕方、ヴィンセントは一人で私の部屋にやってきた。
 前回程は血にまみれていないけど、それでもあちこち汚れている。
「お帰りなさい」
 嬉しそうに笑うヴィンセントに、私も笑いかけながら部屋の中に迎え入れる。
「まずは、お風呂にしましょうか」
「……一人で入れる」
 私が浴室に向かうと、ヴィンセントは私の腕を掴んで止め、赤い顔を隠すように一人で浴室に向かった。どうやら発情はしていないようだ。
「では、食事の用意をして待っていますね」
 ヴィンセントの背中に向かって声を掛けると、私はキッチンに向かった。

 今日のご飯は肉じゃがと鰤の照り焼き、そしてお味噌汁とほうれん草のおひたしだ。
 ちなみにこの世界には出汁をとるための鰹節と鰹節削り器まで存在する。どこでどうやって作られているのか気になって調べてみたけど、全く分からなかった。突如現れるオーパーツ。細かい事を気にしてはいけないんだろう。
 肉じゃがとお味噌汁を温め直し、鰤を焼いていると、ヴィンセントがキッチンに顔を出した。
「早かったですね。もう少しでできますから」
「……」
「どうかしましたか?」
「……いや……幸せだなと、思っただけだ」
「そうですね。誰かのためにご飯を作るのは、幸せな事です」
 いい具合に焼けた鰤をひっくり返しながら答える。早くヴィンセントに食べて貰いたい。
「……何か手伝える事はあるか?」
「では、お味噌汁をよそって貰えますか?」
「……分かった」
 二人でキッチンに並んでいると、なんだか新婚さんみたいで、気恥ずかしくて嬉しかった。


「……そろそろ、帰ろうと思う」
 食事を終えてお茶も飲み終わると、ヴィンセントは落ち着かない様子で呟いた。
「今日は、泊まらないんですか?」
「……泊まる?」
 前回の討伐後はずっと一緒にいたから、今日も一緒に過ごせると思っていた。
「……いや、だめだ」
「そうですか……」
 一緒にいたいと思うのは私だけなのかと思うと寂しかったけど、無理を言って嫌われたくない。
「あの、明日は一緒に過ごせますか?」
 私の質問に、ヴィンセントはすぐには答えなかった。なんだか難しい顔でじっと見つめられる。
「無理なら、いいんです。すみません」
「俺も、一緒に過ごしたい」
 私が謝ると、ヴィンセントは慌てて口を開いた。
「……本当は、ずっとセシィーと一緒にいたい……」
「何か用事があるんですか?」
 ヴィンセントは無言で首を横に振ると、決まり悪そうに私から視線を外した。
「……その、今夜は特に、我慢できそうにないから」
「我慢?」
「……嫌だと言われても、止められない、かもしれない」
「ひょっとして、発情しているんですか?」
「……そう言う訳では、ない。ただ無性に……」
 それだけ言うと、ヴィンセントはじっと私の目を見つめて言葉を続けた。
「……セシィーに触れたい」
 ヴィンセントの熱い眼差しに答えるように、私もヴィンセントを見つめ返す。
「……私も、触れて欲しいです」
 私の言葉にヴィンセントが立ち上がり、同じように私も立ち上がった。
 どちらからともなく抱き合い、口づけを交わす。段々激しくなるキスに答えていると、突然抱き上げられた。

「……セシィー」
 寝室に向かいながら、ヴィンセントは懇願するような顔で私の名を呼んだ。
「優しく、してくださいね」
 私が微笑みかけると、ヴィンセントはなんだか難しい顔をして、私をそっとベッドに横たえた。
「……痛かったりしたら、思い切り噛み付いてくれ」
 私を見下ろしながら、真面目な顔でそんな事を言うヴィンセントに笑ってしまった。
「分かりました。だから、ヴィンセントの好きなようにしてください」
 手を伸ばして、どこか緊張した様子のヴィンセントの頬に触れる。
 ヴィンセントは私の手に自分の手を重ねると、その手をベッドに縫い付けるようにして覆いかぶさってきた。

「……んんっ」
 少し強引に差し入れられた舌が、私の口の中を動き回る。
「……セシィー」
「……んっ、ふっ……」
 ヴィンセントは様子を窺うように、時折キスを止めて私を見下ろす。
 ヴィンセントの燃えるような瞳の中に、蕩けた顔の私が見えて、無性に恥ずかしい。
「んんっ……ふ、うっ……」
 キスをしながら上から下に向けて、ゆっくりとヴィンセントの手が身体を撫でていく。
「……脱がしてもいいか?」
 耳元で囁かれた言葉に、私は頷く事でしか答えられない。恥ずかしくて、でももっと先に進みたくて、私は静かに服を剥ぎ取られていく。
「んっ……あっ……」
 合間合間に身体のあちこちにキスを落とされると、私の口からは甘い吐息が漏れた。

 ヴィンセントは私の服を全て脱がすと、じっと私を見下ろした。
「あの、恥ずかしいから……」
 私は手を伸ばしてヴィンセントを引き寄せると、ぎゅっと抱きしめた。
「あまり、見ないでください」
「……」
 ヴィンセントは私の頭をくしゃくしゃ撫でながら、難しい顔でじっと私の顔を見つめてきた。この顔は、我慢してくれているんだろうか。
「ええと、ヴィンセントも、脱いでくれるなら、その……」
 いっそ、少し強引に進めて貰った方が恥ずかしくないんだなと思いながら、私はもごもごと言葉を続ける。
「見ても、いいです……少しなら」
 恥ずかしくて抱きつく腕に力が入ってしまった。
 ヴィンセントはそんな私をぎゅっと抱きしめ返すと、起き上がり手際よく全てを脱ぎ捨てた。


 裸のヴィンセントが私を見下ろしている。
 しっかりと筋肉のついた身体に見とれてしまったけど、私も裸だと言う事を思い出して手で胸を隠そうとした。
「……もう、見ない」
 隠し切る前に手首を掴まれてベッドに縫い付けられてしまう。
「あの、んんっ……」
 恥ずかしさをごまかすように声を掛けると、それを合図の様にヴィンセントはキスをしてきた。
「んっ……ふっ……んんっ……」
 激しいキスに反して、そっと撫でるように胸を触られて、もっと欲しくなってしまう。
「んうっ……ふっ……ヴィンセント……」
 押し付けられたヴィンセントのものは熱くて固くて、私はもぞもぞと腰を揺らした。
「……セシィー、だめだ……」
 ヴィンセントが苦しそうな顔で私の腰を押さえつけて止める。
「や、あ……もっと……」
「……ああ、もっとだ」
 そう言うとヴィンセントは腰を押さえつけていた手を下へ向かわせ、ゆっくりと割れ目をなぞった。

「ふっ、うっ……ああっ……」
 太くごつごつした指がゆっくりと動くたび、電気が流れるような快感が襲う。
「んっ……んんっ……んうっ……」
 ぬるぬると指を動かしたまま、ヴィンセントは再びキスをしてきた。舌が差し入れられるのと同時に、指がゆっくりと中へと入れられる。
「んっ、んっ……ふっ、うっ……んんっ……」
「……セシィー」
 激しくなる指の動きに勝手に腰が揺れてしまい、いやらしく腰をくねらせていると、ヴィンセントが耳元で私の名を囁いた。
「あっ、んっ……ヴィンセント……ああっ……」
 ヴィンセントの興奮したような荒い息遣いが耳をくすぐると、私までどうしようもなく興奮してしまう。
「あっ、ああっ……やっ、んっ……ああっ……」
 ヴィンセントの唇が耳から首筋を通って胸まで移動すると、パクリと乳首を咥えられ舌先で転がされた。
「あっ……あっ、んっ……やあぁっ……」
 胸を吸われ、激しく指を出し入れされながらクリトリスまで押されると、あっと言う間に限界が来てしまう。
「あっ、あっ……ああっ!」
 身体を仰け反らせてガクガクと腰を揺らしても、ヴィンセントの手が止まることはなかった。
「……セシィー……もっとだ……」
「まってっ……だめっ、またっ……ああっ……やっ、ああっ……んんうっ!」
 ヴィンセントは耳元で囁くと、そのまま耳を舐めながら私を攻め立てた。


 ヴィンセントは荒い息を吐き、苦しそうな顔で私の足を引き上げると、その顔を足の間に埋めた。
「だ、め……も、う……ああっ……」
 幾度となくイカされてぐちょぐちょに濡れてしまっているそこを舌先で舐められて、私は身体を震わせた。
「あっ……ああっ……やっ、ああっ……」
 丁寧に舐め取るような行為が恥ずかしくて止めて欲しいのに、疲れ切った身体は与えられる快感に反応する事しかできない。

 もうどれぐらい続いているんだろう。ヴィンセントはひたすら私を快感に溺れさせている。
「ヴィン……セント……あっ……もうっ、ちょうだいっ……んっ、うっ……」
 何度も繰り返される懇願にも、ヴィンセントはまだだと言って自身のものを挿れてはくれなかった。
「あっ、んんっ……ひっ、ああっ!」
 指で中をかき混ぜられながらクリトリスを甘噛みされて、私は足の指先を反らしてガクガクと腰を揺らした。
「ふっ、やっ……もうっ、んっ……ヴィンセントッ……ヴィンセントが、欲しいっ……」
 足を抱えられたまま、腰をくねらせてヴィンセントを見つめる。
 もう身体も頭もドロドロに溶けてしまっている。ついでに顔も溶け切った顔をしているんだろう。
「ヴィンセント……もっと……おっきくて、硬いのっ……んんっ……欲しい……」
 私の言葉に、ヴィンセントは難しい顔をして指の動きを止めてしまった。
 入れられたまま止まってしまった指を、自分で腰を動かして出し入れしながら、手を伸ばしてヴィンセントの太ももを撫でる。
 残念ながら挿れて欲しいものには手が届かなかったけど、私はその先にあるものが欲しい。
「おねがい……あんっ……ヴィンセントが、欲しい、のっ……」
「……セシィー……いいのか?」
 苦しげな顔のヴィンセントが、持ち上げていた私の足を置き腰に手を置いた。
「はやく、きて……」
 広げられた足はそのままに、ひくひくと腰を揺らしてしまう。
 ヴィンセントは少しの間、はしたない私の姿を眺めてから、熱く硬いものを割れ目に宛てがった。
「あっ、ふっ……ああっ、もっと……ああっ、挿れ、て……くだ、さいっ……」
 ヴィンセントの熱く硬いもので割れ目をなぞられるともう我慢できなくて、自分から咥え込むように腰を押し付けてしまう。
 そんな私の様子に、ヴィンセントはゆっくりと奥まで入ってきた。
「あっ、んっ……ヴィンセント……ああっ……」
 ゆっくりと抜き差しするヴィンセントの動きに合わせるように、私はきゅうきゅうと締め上げてしまう。
「……セシィー…………ああ……好きだ……好きなんだ……」
 ヴィンセントは苦しげな顔でゆっくりと、それでいて深く私を穿つ。
「ひっ、あっ……あっ、あっ……私もっ……ヴィンセントッ……」
 大きな波の様な快感が私を襲い、ガクガクと腰が揺れる。
「好きっ……ああっ、んっ……好きっ……」
 何も考えられないまま、私はひたすら腰を揺らし続けた。
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