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 ベッドに横たわり、火照る身体を持て余していると、ドアをノックする音が聞こえた。
「……はい」
 起き上がりドアを開けると、クリフさんが立っていた。
「うん、そろそろ頃合いだね」
 クリフさんはそう言いながら部屋に入り、手に持っていた小瓶を手渡してきた。
「ほらエレノア。これを飲んで」
 いつもの魔法薬だろうか。頭がぼんやりとしたままの私は、深く考える事なく中身を飲み干した。
「んんっ……」
 燃えるように身体が熱くなり、ひくつくような疼きに声が漏れてしまった。
「だらしのない、いい顔だね」
「あ、あっ……」
 クリフさんが確認するように私の頬に触れ、その刺激に欲望が抑えられなくなる。
「は、あ……あ……」
 何かよく分からないけど、とにかく欲しくて堪らなくて、私は潤んだ瞳でクリフさんを見つめた。
「エレノアの相手は、そこらの浮浪者でも連れてこようかと思っていたんだけど、向こうからやってきてくれたよ。冒険者なら、いなくなってもそう問題にはならないだろう」
 静かに笑いながら話すクリフさんの言葉は、私の耳を素通りしていく。
「さあ、エレノア。早く性交の快感を知って、媚薬を作れるようになろう。そのために君はここにいるんだから」
「あっ……」
 クリフさんに手を掴まれ、人の肌を感じた所から快感が走る。もっと色んなところを触って欲しくて堪らなかった。
「魔法薬は心の有り様で仕上がりが変わる。媚薬漬けにした女が作る媚薬は、普通の物より強力で高値で売れるんだ。それに、媚薬で狂った女を抱きたがる男も多いしね。エレノアは頑張って研究資金を稼ぐんだよ」
 上機嫌なクリフさんは、私の手を引いて歩きながら饒舌だった。
 でも、私にはクリフさんが何を言っているのか全く理解できなくて、ただ身体の熱をどうにかして欲しかった。
「あんな面倒なだけの事にお金を使う人間の気がしれないけど、おかげで私は研究に専念できる。ありがたいよね」
 クリフさんはいつもの様に笑っている。
「前の助手は気が狂って、碌に魔法薬も作れなくなっちゃったけど、エレノアは長く持つといいな」
 きっとこれは夢なんだろう。
 クリフさんの理解できない話も、ひくつくような身体の疼きも、毎日見ていた夢の一つと思えば納得できた。
 夢なら、クリフさんが向かう先にはジェイクがいるんだろうか。
 いつもの様に、私を快感の渦に沈めてくれるんだろうか。

「アンガス、様子はどうだ?」
 クリフさんが一階にある部屋の前で立ち止まり声をかけると、アンガスさんが扉を開けた。
 大きく開け放たれたドアの向こうに、ベッドに括り付けられたジェイクがいた。
 ああ、やっぱり夢だ。早く、気持ちよくして欲しい。
 上半身裸で腕を高い位置で縛られ、ベッドに括り付けられているジェイクを見ても、そんな事しか考えられなかった。
「エレノア!」
「さあ、君が会いたがっていたエレノアを連れてきたよ」
 ジェイクが激しく暴れ、ベッドがガタガタと揺れた。
「やめろ!」
 上機嫌に笑いながら私の服を脱がしていくクリフさんに、ジェイクが叫んだ。
「あっ、んっ……」
 乱雑に服を脱がされ、クリフさんの手が肌に触れるたび息が荒くなる。
 そんな私の様子をジェイクが愕然とした顔で見つめていた。
「もうこんなに濡れて、お漏らししたみたいになってるよ。これなら直ぐに挿れても大丈夫だね。さあ行っておいで」
 全て脱がされた私の背中を押すと、クリフさんはアンガスさんと共に部屋を出ていこうとした。
「待て!エレノアに何をした!」
「何って、強力な媚薬を作れるようになるために、媚薬漬けにしただけだよ。でも残念な事に、生娘に媚薬は作れないんだ。悪いけど君の手で、性交の快感を教えてあげてよ。ああ、ごめん。手は縛ってあるから使えないか」
「くそっ、ふざけんな!」
 ガタガタとベッドを揺らして罵倒するジェイクを残して、クリフさんは部屋を出ていった。
 二人のやり取りは私にはどうでもよくて、ただジェイクの肉体を求めていた。

「エレノア」
 ベッドに乗ると、そのままジェイクの腰の辺りに跨った。
「はっ、はっ……ああっ……」
 私は息を荒げながら、ジェイクの硬い筋肉に擦りつけるように腰を揺らした。
「エレノア。大丈夫だから、一緒に逃げよう。縄を解いてくれ」
 落ち着かせるように優しく語りかけるジェイクに、私は自然と笑顔になった。
 やっと私の名前を呼んでくれた事が嬉しかった。
「ジェイク」
「うっ……や、めろ……」
 ジェイクの股間に手を伸ばすと、そこはみるみる硬くなっていった。
「しよ……」
「だめだ、こんな事……お願いだから、やめてくれ」
 ジェイクは泣きそうな顔をすると、身体を回転させて横を向いてしまった。
 やっぱり、ステファニーじゃないと抱いてくれないんだ。
 そう思うと悲しくて、胸が張り裂けそうだった。

「ジェイクなんて、嫌い」
 自分に言い聞かせるように言いながら、私はジェイクのズボンと下着を剥ぎ取った。
 ジェイクは驚いた顔で私を見つめるだけで、それ程抵抗しなかった。
「私だって、こんな事……したくない」
 それだけ言うと、無理矢理ジェイクの唇を奪った。
 ジェイクの物を手で扱きながら、口の中に舌を差し込む。
 胸を押し付けるようにして身体をくねらせると、ちょっと身体を押しただけで、ジェイクは仰向けになってくれた。
「あ、ああっ……すご、いっ……」
 ジェイクに跨って、手で支えたジェイクのものを割れ目に押し当てると、それだけでイッてしまいそうなぐらい気持ちよかった。
「あ、はあっ……で、もっ……止まら、ない、のっ……ああぁっ……」
「エレノア……」
 ジェイクが息を荒げて、私を見つめている。
 はしたない姿を見られていると思うと、身体が熱くなり下半身が疼いた。
「ごめん、ねっ……んっ、うっ……あっ、ああっ……」
 我慢できなくて、私はジェイクのものを割れ目の奥へと押し込んだ。
 こんな事をするのは初めてで、あっているのかも分からなかったけど、身体を沈めるたびに私の中は歓喜に震える様にうごめいた。
「くっ……うっ……」
「はあぁっ……ああっ……」
 ジェイクと私のうめき声が混じり合い、部屋の中に響く。
 何も考えられないぐらい気持ちよくて、呆けた顔で腰を揺らした。
「あっ、ひっ……い、いっ……あっ、ああっ……」
 ゆっくりと抜き差しする度、どうにかなってしまいそうなぐらい激しい快感が身体中に走る。
「く、そっ……」
 まるで生きているみたいに私の中はうねり、ジェイクが吐き捨てるように呟いた。
 ごめんね。私となんてしたくないよね。本当に、ごめんなさい。
「んっ、ふっ……ああっ……すご、いっ……もっとっ……もっと、ああっ……いいっ……」
 気持ちとは裏腹に、口から出るのは快感を求める浅ましい嬌声だった。
「エレノアッ……」
「ひ、ああっ!」
 ジェイクが叫ぶように私の名を呼び腰を突き上げたので、私は思わず仰け反ってしまった。
「あっ、あっ……ふっ、はっ……」
 突き上げられて浮いた身体が沈み込む度、気を失いそうになるぐらい大きな快感が全身を駆け巡った。
「あっ、ひっ……あ、あっ……ああぁっ!」
「く、うっ……」
 大き過ぎる快感に何も考えられなくなっていると、びくりとジェイクの腰が揺れて、どくどくと熱いものが中に注がれた。
 びく、びくと動くジェイクのものを感じると、満たされるような幸福感があった。

「エレノア……」
 私の名を呼ぶジェイクの顔には、私とは違って後悔が滲んでいた。
「抜いちゃ、だめ……」
 抜こうとするジェイクの腰を手で押さえて、そのまま筋肉をなぞる様に手を滑らせて、身体を沈めた。
「もっと、しよ……」
 ジェイクに対する罪悪感は、与えられる快感を前にどこかに行ってしまった。
 繋がったまま覆いかぶさり、無理矢理唇を奪うと舌を差し込んだ。
「んっ、ふっ……気持ち、いい……」
 舌を絡めるキスはとても気持ちよくて、腰を揺らしてキスする内に、ジェイクのものもまた大きくなっていった。
「ジェイクも、気持ちいい?」
「……気持ちいい」
 見下ろして笑うと、険しい顔のジェイクが小さく呟いた。
「じゃあ、また……いっぱい、突いて……」
 くにくにと腰を揺らしながら誘うと、ジェイクはしばらく耐えるような顔をしてから、大きく突き上げた。
「ああっ……」
 ゆっくりと不規則に突き上げてくるジェイクに、私はだらしなく笑い、快感を享受し続けた。
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