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「一人で帰る事にならなくて良かったよ」
揺れる馬車の中、クリフさんは上機嫌に笑った。
結局私は、資料の片付けを手伝うと言う名目で、クリフさんと一緒に王都に行く事にした。
「そう言えば、クリフさんはどんな研究をしているんですか?」
狭い馬車に二人きりと言うのはどうにも気まずくて、私は無理やり質問を捻り出した。
「それは助手になった時に教えるよ」
「そう、ですか……」
嬉しそうに笑うクリフさんにそれ以上聞けなくて、私は窓の外を眺めることにした。
ガタガタと揺れる景色をぼんやりと見つめながら、書いてきた置き手紙の事を考える。
お店の貼り紙とは別に、裏口のドアにジェイクに宛てた手紙を挟んでおいた。
帰る時は乗合馬車で帰ろうとお金は持ってきたけど、それがいつになるかは分からない。
ひょっとしたらしばらく王都に留まる事になるかもしれないから、事の次第をなるべく事務的に書いてきた。
ジェイクはクエストから戻ってくるといつも、途中で採った薬草や買ってきたお土産を持ってきてくれた。
お店に来て閉まっていたら心配するかもしれないと思って置いてきたけど、果たして気付くだろうか。
お店の貼り紙だけで納得して帰るかもしれないのに、わざわざ手紙を書くなんて、馬鹿な事をしてしまったかもしれない。
あー。
心の中で、もう何度目か分からない深いため息をつく。
「王都に行く事、恋人は止めなかった?」
ジェイクの事で頭がいっぱいの中、唐突に聞かれ、驚いてクリフさんを見つめてしまった。
「恋人なんていません」
「まさか」
「まさかどころか、今まで恋人がいた事なんてないですよ」
私の返事にクリフさんは驚いた顔をした。
「本当に?ちょっとした遊び程度もなかったの?」
ちょっとした遊びがどの程度を指しているのか分からないけど、どの程度だろうと遊ぶような相手はいなかったので、回答は決まっている。
「勉強と仕事で忙しかったので」
「そうか、それは……」
クリフさんはそれだけ言うと、顎に手をおいて考え込んでしまった。
狭い空間に沈黙が続く。
この年まで恋人がいなかった事が、こんなにも人を沈黙させてしまうとは思わなかった。
確かに、もう結婚していてもおかしくない年ではある。やっぱりお見合いとかした方がいいんだろうか。
諦めたと言っておきながら、何かと言うとジェイクの事ばかり考えてしまっている。
迷惑でしかないこんな気持ちを早く無くしてしまうためにも、私は他に目を向けるべきなんだろう。
「もう直ぐ着くよ」
クリフさんは馬車の中では言葉少なく、私も昨日はあまり眠れなくて、揺られている内にうとうとしてしまった。
夕日と並ぶ高い鐘楼が遠目に見えて来た頃、馬車は街道から離れ、森の中へと入っていった。
王都と言っても街中ではないんだなと思っていると、程なくして馬車は大きなお屋敷の前で止まった。
「夜になる前に帰ってこられて良かった」
御者の手を借りて馬車から降りると、クリフさんは一人で玄関に向かった。
私も御者の男性に礼をして、クリフさんの後を追う。
「パメラ!今戻った」
クリフさんが大きな声で呼ぶと、奥から一人のおばあさんが出てきた。
「直ぐに食事の用意をしてくれ」
クリフさんの言葉に、パメラさんは返事もしないで直ぐに立ち去ってしまった。
「コックがいる訳じゃないからね。大した物は出せないから、あまり期待しないで」
パメラさんの様子を気にする事なく、クリフさんは正面にある階段の方へと向かった。
「食事まで部屋で休むといい。ついておいで」
階段を上がりきると、クリフさんは立ち止まり、左側を指差した。
「こちらには私の部屋と研究室があるから、立ち入らないようにね。エレノアの部屋は反対側の奥だよ」
右側の廊下を進むと、クリフさんは突き当りで立ち止まり扉を開けた。
中に入ると部屋はとても広く、クローゼットの隣には洗面台もついていた。
部屋の奥には一家族が纏まって寝られるぐらい大きなベッドが置いてあって、とにかく立派な部屋だった。
「あの、私はもっと小さな部屋で大丈夫です」
気後れしてつい言ってしまったけど、ちょっと失礼だっただろうか。
クリフさんは気にする事なく、部屋の中にある扉に向かった。
「どうせここも今は空き部屋なんだから、気にする事はないよ。ここは前の助手が使っていた部屋なんだ。ほら、こっちは作業場になっているんだよ」
クリフさんが扉を開けると、部屋の中央に大きなテーブルがあり、その上には魔法薬作りに使う道具が所狭しと並んでいた。
「私は研究で忙しいからね。助手のエレノアには、ここで魔法薬を作って欲しいんだ」
「助手になるとは言ってませんよ」
恵まれた環境に圧倒されて、思わず聞き逃しそうになってしまった。慌てて訂正するとクリフさんは楽しげに笑った。
「食事の準備が出来たら呼びに来させるから、それまでゆっくりしていて。それじゃあ、また後で」
クリフさんは私の反論には何も言わず、上機嫌に笑いながら部屋を出ていってしまった。
残された私は無駄にクローゼットを開けたり、化粧台の引き出しを開けたりしてから、大きなベッドに飛び込むように横たわった。
硬いマットレスを想像していたら、身体が跳ねるぐらい柔らかくて驚いてしまった。
仰向けになり、高い天井を見つめると、お姫様にでもなった気分だった。
あまりにふかふかの布団に、気がつけばまたうとうとしてしまっていた。
トントンとドアをノックする音で目を覚まし、ドアを開けると、パメラさんが立っていた。
私の姿を確認すると、パメラさんは何も言わず立ち去ってしまった。これは、食事の準備ができたと言う事なんだろうか。
後ろを振り返ることなく進むパメラさんの後をついていくと、食堂に案内された。
パメラさんが椅子を引いてくれたのでお礼を言うと、やはり何も言わず立ち去ってしまい、ついその後ろ姿を見つめてしまった。
「パメラは口がきけないんだ」
クリフさんの言葉に正面を向くと、クリフさんが穏やかに笑っていた。
「耳は聞こえているから、何かあれば普通に頼んで大丈夫だよ」
「ここにいるのは、クリフさんとパメラさんだけですか?」
「あとは下男のアンガスだね。御者をしていた男だよ」
降りる時に手を貸してくれて、お礼を言ったら無言で頭を下げて去っていった人だ。
「アンガスは少し頭が足りない所があるけど、余計な事を言わない分、賢いつもりなだけの凡夫よりは使える男だよ」
これは、なんて相槌を打てばいいんだろう。人付き合いの少なかった私は、戸惑う事しかできなかった。
「ほら、食事の用意ができたよ」
私の戸惑いは意に介さず、クリフさんがグラスを手に取った。
あまり期待しないでと言っていたけど、スープとパンだけでなく焼いたお肉まであって、私から見たら十分ご馳走だった。
クリフさんに習って私もグラスを手に持つ。
中を見ると小さなグラスにとろりとした液体が入っていた。
「食前酒代わりの魔法薬だよ」
「食前酒代わり、ですか」
「最近王都で流行っているんだよ。新たな需要の掘り起こしだね」
そう言うとクリフさんは、グラスの中の魔法薬を一気に飲み干した。
「レノラス、バレンオート、カンシェ、ルシカ。他にも色々入っているけど、そこらの薬草酒と変わらないかな」
血行促進、精神興奮、鎮痛鎮静、強精強壮。回復薬にもよく使われる薬草の効能を思い浮かべながら、私も一気に飲み干した。
「あっ」
急に身体が熱くなり、思わず声が出てしまった。
「とは言え魔法薬だからね、薬草酒よりは効き目も早くて強いかな」
なんだか頭がぼうっとして、身体が熱い。
「ひょっとして、エレノアってお酒に弱かったりする?」
「あんまり飲まないので、よく分からないです」
「食前酒代わりだからね、お酒も入っているんだよ。ほら、水を飲んで胃に何か入れた方がいい」
「はい。いただきます」
ぼんやりとした頭で、言われた通りに水を飲み、食事を進める。
「大丈夫?」
「なんだか身体が熱いですけど、大丈夫です」
「それは魔法薬の効果かな。消化を助け、食欲を増進させる。いっぱい食べるといい」
私を見つめるクリフさんは、どこか満足そうに笑っていた。
揺れる馬車の中、クリフさんは上機嫌に笑った。
結局私は、資料の片付けを手伝うと言う名目で、クリフさんと一緒に王都に行く事にした。
「そう言えば、クリフさんはどんな研究をしているんですか?」
狭い馬車に二人きりと言うのはどうにも気まずくて、私は無理やり質問を捻り出した。
「それは助手になった時に教えるよ」
「そう、ですか……」
嬉しそうに笑うクリフさんにそれ以上聞けなくて、私は窓の外を眺めることにした。
ガタガタと揺れる景色をぼんやりと見つめながら、書いてきた置き手紙の事を考える。
お店の貼り紙とは別に、裏口のドアにジェイクに宛てた手紙を挟んでおいた。
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ひょっとしたらしばらく王都に留まる事になるかもしれないから、事の次第をなるべく事務的に書いてきた。
ジェイクはクエストから戻ってくるといつも、途中で採った薬草や買ってきたお土産を持ってきてくれた。
お店に来て閉まっていたら心配するかもしれないと思って置いてきたけど、果たして気付くだろうか。
お店の貼り紙だけで納得して帰るかもしれないのに、わざわざ手紙を書くなんて、馬鹿な事をしてしまったかもしれない。
あー。
心の中で、もう何度目か分からない深いため息をつく。
「王都に行く事、恋人は止めなかった?」
ジェイクの事で頭がいっぱいの中、唐突に聞かれ、驚いてクリフさんを見つめてしまった。
「恋人なんていません」
「まさか」
「まさかどころか、今まで恋人がいた事なんてないですよ」
私の返事にクリフさんは驚いた顔をした。
「本当に?ちょっとした遊び程度もなかったの?」
ちょっとした遊びがどの程度を指しているのか分からないけど、どの程度だろうと遊ぶような相手はいなかったので、回答は決まっている。
「勉強と仕事で忙しかったので」
「そうか、それは……」
クリフさんはそれだけ言うと、顎に手をおいて考え込んでしまった。
狭い空間に沈黙が続く。
この年まで恋人がいなかった事が、こんなにも人を沈黙させてしまうとは思わなかった。
確かに、もう結婚していてもおかしくない年ではある。やっぱりお見合いとかした方がいいんだろうか。
諦めたと言っておきながら、何かと言うとジェイクの事ばかり考えてしまっている。
迷惑でしかないこんな気持ちを早く無くしてしまうためにも、私は他に目を向けるべきなんだろう。
「もう直ぐ着くよ」
クリフさんは馬車の中では言葉少なく、私も昨日はあまり眠れなくて、揺られている内にうとうとしてしまった。
夕日と並ぶ高い鐘楼が遠目に見えて来た頃、馬車は街道から離れ、森の中へと入っていった。
王都と言っても街中ではないんだなと思っていると、程なくして馬車は大きなお屋敷の前で止まった。
「夜になる前に帰ってこられて良かった」
御者の手を借りて馬車から降りると、クリフさんは一人で玄関に向かった。
私も御者の男性に礼をして、クリフさんの後を追う。
「パメラ!今戻った」
クリフさんが大きな声で呼ぶと、奥から一人のおばあさんが出てきた。
「直ぐに食事の用意をしてくれ」
クリフさんの言葉に、パメラさんは返事もしないで直ぐに立ち去ってしまった。
「コックがいる訳じゃないからね。大した物は出せないから、あまり期待しないで」
パメラさんの様子を気にする事なく、クリフさんは正面にある階段の方へと向かった。
「食事まで部屋で休むといい。ついておいで」
階段を上がりきると、クリフさんは立ち止まり、左側を指差した。
「こちらには私の部屋と研究室があるから、立ち入らないようにね。エレノアの部屋は反対側の奥だよ」
右側の廊下を進むと、クリフさんは突き当りで立ち止まり扉を開けた。
中に入ると部屋はとても広く、クローゼットの隣には洗面台もついていた。
部屋の奥には一家族が纏まって寝られるぐらい大きなベッドが置いてあって、とにかく立派な部屋だった。
「あの、私はもっと小さな部屋で大丈夫です」
気後れしてつい言ってしまったけど、ちょっと失礼だっただろうか。
クリフさんは気にする事なく、部屋の中にある扉に向かった。
「どうせここも今は空き部屋なんだから、気にする事はないよ。ここは前の助手が使っていた部屋なんだ。ほら、こっちは作業場になっているんだよ」
クリフさんが扉を開けると、部屋の中央に大きなテーブルがあり、その上には魔法薬作りに使う道具が所狭しと並んでいた。
「私は研究で忙しいからね。助手のエレノアには、ここで魔法薬を作って欲しいんだ」
「助手になるとは言ってませんよ」
恵まれた環境に圧倒されて、思わず聞き逃しそうになってしまった。慌てて訂正するとクリフさんは楽しげに笑った。
「食事の準備が出来たら呼びに来させるから、それまでゆっくりしていて。それじゃあ、また後で」
クリフさんは私の反論には何も言わず、上機嫌に笑いながら部屋を出ていってしまった。
残された私は無駄にクローゼットを開けたり、化粧台の引き出しを開けたりしてから、大きなベッドに飛び込むように横たわった。
硬いマットレスを想像していたら、身体が跳ねるぐらい柔らかくて驚いてしまった。
仰向けになり、高い天井を見つめると、お姫様にでもなった気分だった。
あまりにふかふかの布団に、気がつけばまたうとうとしてしまっていた。
トントンとドアをノックする音で目を覚まし、ドアを開けると、パメラさんが立っていた。
私の姿を確認すると、パメラさんは何も言わず立ち去ってしまった。これは、食事の準備ができたと言う事なんだろうか。
後ろを振り返ることなく進むパメラさんの後をついていくと、食堂に案内された。
パメラさんが椅子を引いてくれたのでお礼を言うと、やはり何も言わず立ち去ってしまい、ついその後ろ姿を見つめてしまった。
「パメラは口がきけないんだ」
クリフさんの言葉に正面を向くと、クリフさんが穏やかに笑っていた。
「耳は聞こえているから、何かあれば普通に頼んで大丈夫だよ」
「ここにいるのは、クリフさんとパメラさんだけですか?」
「あとは下男のアンガスだね。御者をしていた男だよ」
降りる時に手を貸してくれて、お礼を言ったら無言で頭を下げて去っていった人だ。
「アンガスは少し頭が足りない所があるけど、余計な事を言わない分、賢いつもりなだけの凡夫よりは使える男だよ」
これは、なんて相槌を打てばいいんだろう。人付き合いの少なかった私は、戸惑う事しかできなかった。
「ほら、食事の用意ができたよ」
私の戸惑いは意に介さず、クリフさんがグラスを手に取った。
あまり期待しないでと言っていたけど、スープとパンだけでなく焼いたお肉まであって、私から見たら十分ご馳走だった。
クリフさんに習って私もグラスを手に持つ。
中を見ると小さなグラスにとろりとした液体が入っていた。
「食前酒代わりの魔法薬だよ」
「食前酒代わり、ですか」
「最近王都で流行っているんだよ。新たな需要の掘り起こしだね」
そう言うとクリフさんは、グラスの中の魔法薬を一気に飲み干した。
「レノラス、バレンオート、カンシェ、ルシカ。他にも色々入っているけど、そこらの薬草酒と変わらないかな」
血行促進、精神興奮、鎮痛鎮静、強精強壮。回復薬にもよく使われる薬草の効能を思い浮かべながら、私も一気に飲み干した。
「あっ」
急に身体が熱くなり、思わず声が出てしまった。
「とは言え魔法薬だからね、薬草酒よりは効き目も早くて強いかな」
なんだか頭がぼうっとして、身体が熱い。
「ひょっとして、エレノアってお酒に弱かったりする?」
「あんまり飲まないので、よく分からないです」
「食前酒代わりだからね、お酒も入っているんだよ。ほら、水を飲んで胃に何か入れた方がいい」
「はい。いただきます」
ぼんやりとした頭で、言われた通りに水を飲み、食事を進める。
「大丈夫?」
「なんだか身体が熱いですけど、大丈夫です」
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