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閑話小話.その時のジェイク

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 ギルドでエレノアを見た時、直ぐに声をかければ良かった。
 こんな所でエレノアに会うとは思っていなかったから、真剣な顔で依頼票を見つめる横顔に見惚れてしまった。
 エレノアは丸顔で少し子供っぽい顔をしているが、白に近い金髪をきれいに編み込んでアップにした髪型は大人びていて、スタイルのいいエレノアによく似合っていた。
 依頼掲示板に集中しているエレノアは、奥まった報告カウンター近くにいる俺には全く気づいていないようだった。
 気づかれないように近づいて、どう声をかけようか迷っていたら、見知らぬ男に先を越されてしまった。
 耳元で囁かれ、エレノアはじっと男を見つめた。
 直接契約がどうのとか聞こえたから、別に口説かれている訳ではないだろう。
 それでも、エレノアのきれいな薄緑色の瞳に知らない男が映っていると思うと、非常に面白くなかった。
 軽い言葉でエレノアを連れ出す男は、あろう事か腰を抱いて身体を密着させた。
 殴りたくなる気持ちを抑えながら男を止めようとしたら、顔を強張らせるエレノアが目に入った。
 すぐ側にいたのに、エレノアにこんな顔をさせるなんて、馬鹿じゃないのか。
 いつもそうだ。思った事を言えない。行動にも移せない。自分の不甲斐なさに腹がたった。
 それなのに、口から出るのは憎まれ口ばかりで「エレノアの助けになりたい」たったそれだけの事も言えなかった。
 でも、それも今年で終わりだ。
 ちゃんとエレノアに告白して、これからはエレノアに好きになって貰えるように、もっと素直になろう。
 雑踏の中、エレノアが可愛すぎてにやけてしまいそうになるのを必死で我慢しながら、そんな事を考えていた。
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