勇者の中の魔王と私

白玉しらす

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後日談

旅、ふたたび ☆

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「昨夜は楽しめたかな?」
 しょぼくれたオスカーを残して出勤すると、団長が愉快そうに笑いながら聞いてきた。
 下卑た笑いで無い所を見ると、いやらしい意味では無さそうだ。
「あの魔法を仕込んだのは団長ですか?」
「いや、最初に仕込んだのは何代か前の勇者だろう。何人かが手を加えて、今の様に素晴らしく完成された嫌がらせになった。次代に『勇者の書』を渡すのは、やっぱりしゃくだからね」
「……本当に、勇者の業の深さを感じますね」
「それで『勇者の書』はどうしたのかな?」
「私が預かる事にしました」
 本当は焼却処分したいところだけど、長年受け継がれた物を勝手にどうこうする訳にもいかず、私以外は見られない様に魔法をかけて、厳重に保管してきた。
「まあ、そうなるだろうね。世に出ては危険な物も多いから、しっかり管理するように」
 あの中には、強制発情なんて言う恐ろしい物もあった。
 世に出たら社会が崩壊しかねない。

「ひょっとして、こうなると分かっていてオスカーに渡したんですか?」
「存在を知りつつも手出しは出来ず、しかも使える人間がニナ君のすぐ側にいると思うと、オスカー君は面白く無いだろうね。私は非常に面白いけど」
「いい性格してますね」
「褒め言葉と受け取っておくよ。そう言えば、前々代は細かい人間でね。それぞれの魔法の注意点や、組み合わせの相性なんかを子細に記したノートも残しているんだ。相手が副団長だと思うと正直萎えるけど、いるかい?」
「いりません」
 私は聞く耳が無い事を態度で示すように、書類の仕分けに取り掛かった。
「そうそう、私一押しの母乳を出させる魔法なんだけどね。普通母乳と性感は結びつかない。それを無理やり結びつけているから、身体への負担が大きいんだ。多様は禁物だよ」
 無視だ無視。
「私は紳士な変態だからね。同意無く魔法をかけたりはしない。と言う訳でニナ君、ちょっと母乳、出してみようか。パンパンに張った胸を、優しく揉みほぐしてあげるよ」
 無視、するには気持ち悪過ぎる。
 鳥肌が立ってしまった。
「魔王城にも本当は、私が行きたかったんだよね。ニナ君と露出プレイしながら旅したら、楽しかっただろうなあ。オスカー君と行かせるなんて、何としてでも阻止したかったんだけど、残念だよ」
「何の話ですか?」
 突然オスカーの名前が出てきて、思わず反応してしまった。
「メレディスの術式を書き換えちゃったから、安全性の確認が必要でね。ルーファス君の指示で、オスカー君が術式を紙に書き起こしていたから、紙ベースでは検証は出来ている。それでも、発動して確認もした方がいいだろうと言うことで、ニナ君とオスカー君二人で、魔王城に行って貰う事になったんだよ」
「オスカーと二人で……何かの罠ですか?」
「何とか私とニナ君で行けないか、日程調整してたんだけど、副団長から早くやるよう怒られちゃってね。団長職は意外と忙しいんだよ」
 団長と二人きりじゃなくて、心底良かった。
「いつから行けばいいんでしょうか」
「寝かしに寝かしちゃったからね。明日出発するよう、騎士団にも言ってあるよ」
「なんでそんな急なんですか!」
「ほら、オスカー君が急に出発すると言って、私は早朝呼び出されただろう?急に決められると困ると言う事を、身を持って理解して貰おうかなって」
 何だか、私はとばっちりな気がする。
「まあそう言う訳で、頼んだよニナ君。二人きりだからと言って、ヤリ過ぎない様にね」
 早く帰って旅支度する為にも、団長の言葉は無視して仕事を急いだ。
 オスカーとまた旅が出来ると思うと、少しだけウキウキしてしまった。


 私とオスカーは馬に乗り、街道を行く。
 私はそんなに馬の扱いが上手くないので、オスカーの後を大人しく付いていく。
 季節は秋に向かっているけど、日中はまだ暑い。
 気楽な二人旅と言う事もあって、私はシャツとキュロットスカートと言う軽装で、魔術師団の制服であるローブも脱いでしまっている。
 もっとも、魔術師団は全体的にいい加減なので、暑い日にはよっぽどの事が無いと誰もローブを着ない。
 暑くなると魔術師がいなくなると揶揄されても、気にせずローブはクローゼットの中だ。
 その点騎士はきっちりしているので、どれだけ暑くても騎士服を脱ぐ事は無い。
 オスカーも周りには私しかいなくても、しっかりと騎士服を着ている。
 正直、騎士服を着て馬に乗るオスカーはとてもかっこよくて、ついつい見とれてしまう。
 私の視線が気になるのか、オスカーも時折後ろを振り返っては、じっと私を見つめてきた。
 あまりしゃべる事も無く、私達は見つめ見つめられながら、その日の宿まで旅程を進めた。

「ふっ……んんっ、んっ……んっ……」
 その夜。
 当然の様に同じ部屋に泊まった私達は、互いの性器を弄りながら、舌を絡ませ合っていた。
「ニナ……」
 オスカーが私の中に指を抜き差ししながらじっと見つめる。
「うっ、ふっ……オスカーっ……だい、すきっ……ああ、んっ……」
 ぬるつくオスカーの物も硬く勃ち上がり、しごく様にきつく握ると小さな呻き声が聞こえた。
 気持ちよすぎてぼんやりする頭のままオスカーを見つめると、何か思いつめた顔をしていた。
 多分、ろくな事を考えていない。
「馬に揺られるニナを見て、思ったんだ。俺に跨がらせて、下からニナを揺さぶりたい。ニナの、馬になりたいと……」
 やっぱりろくでもなかった。
「オスカーの、あうっ……へん、たいっ……んんっ……」
 キスをされ、激しく指を抜き差ししながらクリトリスまで押されれば、私の身体はもう快感しか拾わなくなってしまう。
 オスカーは身体をビクビク震わす私を抱えたまま、仰向けに横たわった。
 私はキスをしながら、オスカーの上で身体をくねらせる。
 鍛えられた硬い身体と私の身体が擦れあって、とても気持ちがいい。
「ニナ」
 オスカーは不満げに私の名を呼ぶと、肩を掴んで私の身体を起き上がらせた。
「いや……オスカーと、くっついていたい……」
 私も不満げにオスカーを見下ろして、快楽を求めいやらしくひくつく割れ目を、オスカーの物に擦りつけた。
「いいから、ほら」
 オスカーに誘導される様に、私はオスカーの物を受け入れていく。
「あっ、ふっ……んんっ……オスカー……」
 満たされる喜びに、私の身体は小さく震える。
「あっ……んっ……んんっ……」
 下から大きく突き上げられ、私は掴まる様にオスカーの腰を掴んだ。
「落ちるなよ」
 オスカーは楽しそうに笑うと、腰の動きを速めた。
「ひあっ、あっ……ああっ……」
 激しい突き上げに、私の身体は大きく揺れる。
 剥き出しの胸が、ちぎれそうな勢いで揺れて、ちょっと痛い。
「や、オスカー……ああっ、激し、いっ……」
 突き上げられた身体が沈み込む度、オスカーの物が奥まで届いて、頭が真っ白になるぐらい気持ちいい。
 私は呆気なくイッてしまった。

「あっ……ふっ……オスカー……」
 私は困惑して、オスカーを見下ろしている。
 私がイくと、オスカーは腰の動きを緩め、一定のリズムで私を突き上げ続けた。
 オスカーの腰を心配してしまうぐらい、ずっとだ。
 私の中にはオスカーの物が入り続け、突き上げられる度に痺れる様な快感もある。
 それでも、私の身体はもう、それだけでは満足出来ないでいた。
「ねえ、触って……」
 私はオスカーを見つめながら、大きく揺れる胸を下から支えるように持つと、自身の親指で乳首を弄りだした。
 オスカーの灰色の瞳が、私の痴態を捉えている。
 私は見せつけるように自分の指を舐めると、クリトリスに押し付けた。 
「ああっ、んっ……もっと……欲しい、の……」
 オスカーはそんな私の様子をじっと見つめたまま、腰を突き上げ続けている。
「馬に乗りながら、自慰をするなんて、ニナは変態だな……」
「馬じゃないし……」
 私を変なプレイに巻き込まないで欲しい。
「お馬さんの大きいのが欲しい、って言ってくれ」
「もう、入ってるし……」
 どう言う設定なんだ。
 理解に苦しむけど、オスカーの腰も心配だし、いい加減私も終わらせたい。
「ねえ、私の素敵なお馬さん……」
 私は馬の首を撫でるように、オスカーの脇腹を優しく撫でた。
「私、お馬さんと交尾したい……お馬さんの大きいので、後ろから犯して……」
 私はオスカーの物を引き抜くと、四つん這いになってお尻をオスカーに向けた。
 単調とは言え、ずっと抜き差しされていたので、私のそこはいやらしくひくついている。
 早く欲しくて腰を揺らしていると、上にのしかかる様にしてオスカーが入ってきた。
「あっ、ああっ……あっ、んっ……」
 ガツガツと後ろから突かれ、快感が身体中を駆け巡る。
 時折肩を噛まれたり、背中を舐められるのは、馬の愛情表現のつもりなんだろうか。
 私は深く考えるのを止めて、ひたすらオスカーを受け入れた。
 
「くっ……うっ……」
 オスカーの身体がびくりと震えて、私の中に熱い物が注ぎ込まれた。
「んっ、ふっ……ああっ……」
 ずるりとオスカーの物が引き抜かれ、私は潰れる様にベッドに突っ伏した。
 オスカーも私の隣に倒れ込む。
「オスカー……」
 私は抗議の視線をオスカーに向けた。
「もう、馬はやだよ。するなら、オスカーとしたい」
 正直、オスカーがヒヒーンとか啼きだしたらどうしようと気が気じゃなかった。
「そうだな、手が使えないのはつまらない」
 オスカーはそう言うと私の乳首を摘んで弄りだした。
「んっ、あっ……ちょっと、待って……うっ……もう、今日は、いいっ……あうっ……」
 浄化の魔法をかけてから割れ目をなぞり出すなんて、完全にまたやる気だ。
「俺と、したいんだろ?」
「ああっ、んっ……今じゃ、なくてっ……やあっ……」
 耳を舐められながら囁かれると、私の気持ちとは裏腹に、身体は簡単に熱を持ってしまう。
「今度は、ちゃんと手も使うから」
「もうっ……あっ、んっ……ああんっ……」
 もういいはずなのに、クリトリスを押しつぶされれば、私の口からはねだるような甘えた声しか出なかった。
「ニナは、本当にかわいいな」
 キスをされて、差し込まれた指で中を擦られると、もう何も考えられなくなる。
 結局一晩中泣かされて、ぼんやりする頭で、オスカーが馬になってる間に、ちゃんと手綱を握っておけば良かったと思った。
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