勇者の中の魔王と私

白玉しらす

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後日談

プレゼント ☆

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 私は疲弊していた。
 夜会での寸劇は一度だけのはずだったのに、あの後何度かやる羽目になったのだ。
 魔王オスカーを見た貴族のお嬢様方はこぞってお茶会で自慢した。
 魔王なオスカーは貴族の方々の琴線に触れたようで、今やお茶会は魔王オスカーの話で持ち切りらしい。
 私も見たいと夜会での寸劇の依頼が引きも切らず、お姉様方曰く「断れる物は断っているけど、相手が大物過ぎて断れない」そうだ。


「ニナ君、オスカー君に足の筋を切られて監禁、陵辱、調教されたんだって?」
 私が真面目に仕事をしていると、おじさまが愉快そうに笑いながら聞いてきた。
「何ですか、それ」
「ほら、これ」
 おじさまが差し出した冊子には『魔王オスカーと村娘ニナ』と書かれていた。
 スーザンさんが出した本だ。
「実話を元にしているって専らの噂だよ」
 私は無言でブンブンと顔を振った。

 その本は、寸劇をやる上で必要だから読むよう言われたので私も読んだ。
 冒頭、ニナは告白されて振った村の青年に、森で襲われていた。
 裸に剥かれて「身体は嫌がっていないみたいだな」とか言われていた。
 もうこの時点で、私は本を閉じようとした。
 何とか耐えて続きを読むと、まさにズブリと挿れられそうになった所で、二人の前に魔王が現れる。
 魔王の森でいい度胸だと、青年を縛り上げると、魔王は目の前でニナを犯した。
 ページを捲る私の手は震えた。
 魔王はニナの絶望に沈む瞳を気に入り、ニナを拐っていく。
 魔王城に着くと、魔王はニナが逃げられない様に足の筋を切り、昼も晩も無く犯し続けた。
 怖い。
 犯される日々を送りながらも、魔王の孤独と不器用な優しさに触れてニナは魔王に惹かれていく。
 足の筋を切られているのに。
 魔王も自分を理解して受け入れてくれるニナに惹かれていき、いつしか二人は犯し犯される関係から、愛し愛される関係へと変わっていった。
 とは言えやっている事に変わりはない。
 穏やかな日々は長く続かず、冒頭の青年が討伐隊を率いて魔王城に乗り込んでくる。
 死闘の末、魔王は傷を負いながらも、討伐隊を退ける。
 こうして魔王と村娘は結ばれました。
 めでたしめでたし。
 
 と言う、どう考えてもめでたく無い内容だった。
 二人の距離が縮まるくだりは、スーザンさんの筆力でなかなか読ませる物はあった。
 でも、基本組んず解れつしている。
 普通と変態の間で悩んでいたのがバカバカしくなるぐらい、煩悩まみれの話だった。

「ニナ君は普通に歩いているし、実話な訳無いのにねえ。あ、でも、昼も晩も無く犯されているのは本当なのかな?」
「仕事してください」
「それにしても、スーザン君もまだまだだね。私が魔王だったら、村の青年の目を潰してからニナを犯すよね。水音や嬌声、肉がぶつかり合う音だけで絶望を与える。どうかな?」
「仕事、してください」
「足の筋を切るのもいただけないな。体位のバリエーションが減っちゃうよね。むしろ逃げ出そうとするニナをどういたぶるかが楽しいのに」
「仕事、してください!」
「ニナ君はどういたぶられたい?いや、オスカー君にどういたぶられているか聞くべきかな」
「しっごっとっ!」
 ケニスさんの口が悪いのは、おじさまのせいなんじゃないかと思った。


「きれい……」
 私は魔王に抱きかかえられたまま、魔王城の庭園を散歩していた。
「お前が歩けたなら、好きな時にここに来られた……だが俺は、お前を……」
「そうだね、もし歩けたなら、魔王の為に色んな事が出来たのにね」
 私は魔王の前髪をかき上げると、後悔が滲む瞳を見つめた。
「でも、私が歩けたら、こんな風に抱きかかえて散歩なんて、してくれなかったでしょ?」
「ニナ……」
 魔王は私の口に優しいキスを落とすと、そっと地面に横たえた。
「ここ、外だよ?」
 私の言葉は無視して、魔王は上半身裸になった。
 オスカーの鍛えられた身体に、あちこちから息を飲む音が聞こえる。
「誰も来ないさ」
 魔王はそう言うと私に覆いかぶさりキスをした。
 当然の様にガッツリと舌が入っている。
 黄色い悲鳴と共に幕が閉じ、私はオスカーにパンチを繰り出した。


「もうね、私は怒っているんだよ、オスカー」
「なんだ急に」
 寸劇を終えて二人で私の部屋に戻ると、私はオスカーに怒りをぶつけた。
 お姉様方の寸劇は、スーザンさんの書いた本のワンシーンを舞台化すると言う物だ。
 依頼者によって演じる場面は違うのに、毎回私がキスをされて終わり、その度にオスカーはガッツリと舌を入れてくる。
 しかも人前でするには、ちょっと恥ずかしいぐらいに激しいヤツだ。
「人前であんなキスははやめてって、いつもパンチしてるでしょ」
「あれでも抑えている。いつもはもっと激しいだろ?」
「確かに……じゃなくて、オスカーがあんなキスをするから、貴族の方々も熱に浮かされて、寸劇の依頼が止まらないんじゃない?」
「関係ないだろ」
 オスカーはなだめるように私の髪を梳く。
 怒っているはずなのに、いつもの癖でベッドに並んで座ってしまっていた。
「だって『☆割り切った大人限定☆一夜限りの仮面舞踏会』から、青年の前で魔王に犯されるシーンの依頼があったそうだよ。完全にいかがわしい目的だよ」
 貴族の方々の考える事は理解できない。
「流石に人前はな。ニナの裸は見せたくない……いや待てよ、服を着たまま後ろからなら、アリか……」
「無いよ!」
 オスカーの考える事も理解できない。
 私はむくれてオスカーを睨みつけた。
「冗談だ。俺もいい加減外泊許可をこんな事に使う事にはうんざりしている」
 オスカーは私の頭を撫でると苦い顔をした。
 夜会はその名の通り夜行われる。
 夜会で寸劇なんかやっていたら、オスカーは門限に間に合わないので、外泊許可を取らないといけなかった。
 新人騎士がそうそう外泊出来る訳もなく、私達はゆっくりと二人の時間を過ごす事が出来なくなっていた。

「本当は、もっとちゃんと祝いたかった」
 オスカーはポケットから紙包を取り出して、私に渡してきた。
「おめでとう、ニナ」
 よく分からず紙包を見つめていると、オスカーが私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「一昨日誕生日だっただろ?遅れてすまない」
「そうか、一昨日だったっけ」
 私はオスカーより少しお姉さんだ。
 田舎では相手の女性は若ければ若い方がいいと言う節がある。
 それもあって、数カ月とは言え年上の私がオスカーの近くにいる事は疎まれたんだろう。
「またお姉さんになっちゃった」
 なんとなく申し訳無い気持ちで手元の紙包を見つめる。
「昔はよくお姉さんぶってたくせに」
 オスカーはそう言うと、私の顎に手をかけて、そっとキスをした。
「俺が我慢できなくなる前に、開けたらどうだ?」
 オスカーの優しい笑顔に私も自然と笑顔になる。
 紙包みを開けると、中には香油が入っていた。
「……ありがとう」
 もう、その意味を間違えたりはしない。
 今度は私からオスカーにキスをした。
「塗らせてくれないか?」
 オスカーが私の手から香油を取ると聞いてきた。
「……いやらしい手付きで塗ったりしない?」
 私の言葉に、オスカーはとびきり爽やかな笑顔を見せてくれた。
「そんなの、いやらしいに決まってるだろ」
 言葉と表情が、一致していなかった。


「はっ、あっ……オスカー……」
 私は物欲し気な瞳でオスカーを見つめる。
 ベッドに仰向けで寝ている私の身体は、全身香油が塗られて妖しく光っている。
 足の指の間まで、丹念に塗り込んでおきながら、乳首と割れ目は一度も触って貰えず、もう我慢できなくなっていた。
「どうした?ニナ」
 オスカーは乳輪をなぞるように指で円を描きながら、意地悪く笑った。
「ううっ……触って……」
「どこを?」
「ち、くび……」
「いやらしいのは嫌なんじゃないのか?」
「うっ、ふっ……」
 乳首には触れない様に乳房を掴んで、やわやわと揉みしだく。
 とにかく快感が欲しくて、私は性的知識を総動員して、オスカーにおねだりをする。
「いやらしい事が大好きな、ニナの淫乱な乳首を、いっぱいいじめて……」
 オスカーは何かを考えるような顔で胸を揉み続けている。
「自分で教えた訳じゃない淫語を使われると、色々複雑だな……」
 恥を忍んでおねだりしたのに、不発に終わって非常に恥ずかしい。
「もういい……自分で、する……」
 私はオスカーの手を払い除けると、上体を起こして見せ付けるように乳首を弄りだした。
「んっ……これは、オスカーが、教えたんだからね、ああっ……」
 片方の手を、香油で滑りの良い身体をなぞりながら下へと伸ばすと、私のそこはもうグチョグチョだった。
「ああっ、やっ……気持ち、いいっ……」
 乳首を弄りながら、足を大きく開いて手と腰を動かす。
「はあっ、あっ、ああっ……」
 オスカーの灰色の瞳に、私のいやらしい姿が映っていると思うと堪らなく感じてしまって、私は中に指を入れると激しく腰を振った。
 オスカーは私の痴態を見つめながら服を脱ぎ、硬く勃ち上がった物を軽く扱いた。
「あっ、やっ……んんっ……」
 オスカーは私の足首を掴むと、足の裏に自身の物を擦りつけた。
 足に感じる熱と硬さ、私の足を使って自慰をするオスカーの姿、そのどちらも、私にぞくぞくするような快感をもたらしている。
「ニナは、足の裏までいやらしいんだな」
 オスカーの言葉に、私の身体はびくりと反応してしまう。
「オスカー、ああっ……オス、カー……」
 オスカーの名前を呼びながら、身体を仰け反らせて達すると、私はそのまま倒れこんだ。
「ニナ、今度は俺が……」
 オスカーは私の足を持ち上げると肩に乗せて、下半身を引き上げた。
 オスカーの顔のすぐ下に、私のグチョグチョなアソコがあって、恥ずかしさと同時に期待にひくついてしまう。
「ちゃんと見ておくんだ」
 オスカーはそう言うと、舌を伸ばしてクリトリスを突いた。
「ひやっ、ああっ……いやぁっ……」
 凄まじい快感に、私の身体が跳ねる。
「次から次へと溢れてくる」
 オスカーはそう言うと、割れ目を塞ぐようにピッタリと口を付けて、私の蜜を啜った。
「や、だめっ……ああっ、ああっ……」
 目に映る光景が余りにいやらしくて、私は目に涙を浮かべながらよがり狂う。
「ニナ、ほら」
 オスカーは手で口を拭うと、指を中に入れてきた。
「欲しかったんだろ?」
 見せ付けるようにゆっくりと抜き差しされて、私の身体はビクビクと揺れる。
「あっ、あっ、あんっ……ああっ……」
 ズボズボと激しくなる指の動きに、私の頭は真っ白になる。
「食い千切られそうだ」
 そう言いながらクリトリスを押されて、私は叫び声の様な嬌声を上げて達してしまった。

「ニナ……」
 抱えられていた下半身を降ろされて、オスカーが覆いかぶさってきた。
 オスカーの大きくて硬い物が、私の割れ目をなぞる。
「オスカー……」
 もう何度もイッたのに、私のあそこはオスカーを求めてひくひくとうごめいている。
「好きなんだ。愛してる」
「うっ、んっ……私、もっ……」
 耳元で囁かれると同時に貫かれ、私の身体は大きく仰け反る。
「ニナ、ニナっ……」
 名前を呼ばれながら激しく突き上げられて、もう何も考えられなくなる。
「あっ、ああっ……んっ、あああっ……」
 私達はきつく抱き合うと、激しく腰を動かし続けた。

「ニナ、まだだ。まだ、足らない」
 オスカーに中に出され、私もしばらくイき続けてしまい、半分気を失っていた。
「ま、だ?」
 うつ伏せにひっくり返され、お尻を高く持ち上げられた。
「ニナも、まだ欲しいだろ?」
「ん……ほし、い……」
 もう硬さを取り戻していた物を擦り付けられて、ぼんやりした頭で答える。
「そうか、なら『ニナの変態おまんこに、オスカーの変態ちんぽをズボズボして』って言ってくれ」
 後ろを振り返ってオスカーを見ると、至極真面目な顔をしていた。
「……ニナの、変態おまんこに……オスカーの、変態ちんぽを……ズボズボして……」
 よく分からないまま、オスカーを見つめて言われた言葉を復唱する。
 もう、頭が働かない。
「よし……」
 何がよしなんだろう。
 オスカーは恍惚の表情で私を突き刺すと、激しく腰を打ち付けだした。
「あっ、ああっ……ああ、んっ……」
 同じ様な事を言ってスルーされたような気がするけど、何が違うんだろうと言う疑問は、快感の波に流されていった。
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