勇者の中の魔王と私

白玉しらす

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本編

最終夜 ☆

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「あの、オスカーはまだ帰らなくていいの?」
 祝賀会が終わり、いつもの服に着替えて家に帰ろうとすると、外出許可を取ってあると言って、オスカーが家まで送ってくれた。
 魔術師団は騎士団と違って、城内に宿舎を持たないため、それぞれ城下町の好きな所に部屋を借りて住んでいる。
 魔術師団がある北棟はすぐ近くに北門があるので、城下町から通うのもそんなに大変ではない。
 私もいつまでも仮眠室に寝泊まりする訳にはいかないので、北門近くに部屋を借りていた。
「やっとニナを捕まえたんだ。まだ、側にいたい」
 一緒に晩ごはんを食べて、お茶を飲みながら別れてからの出来事を話し合っていたら、随分遅い時間になってしまった。
「門限とか大丈夫?」
「そうだな、そろそろ」
 オスカーはそう言うと立ち上がり、私の前に立った。
「ニナ、抱きしめてもいいか?」
 真剣な顔で見つめられ、私は暫く考え込んだ。
 多分恋人になったんだから、それぐらい許してもいいんだろうか。
 返事をする代わりに立ち上がると、そっとオスカーに抱きついた。
「ニナ……」
 オスカーは私をきつく抱きしめ、髪にキスを落とした。
 無性に恥ずかしい。
「もう、おしま……」
 私が言い終わるより前に、オスカーは軽々と私を持ち上げるとベッドに寝かした。
「ちょっと待って」
 オスカーは何も言わず上から私に抱きつくと、首筋に顔を埋めた。
 抱きしめるのを許しただけで、押し倒されるとは思わなかった。
「好きだ、ニナ」
 耳元で囁かれて、私の身体は一気に熱を帯びる。
 このままではまずい。
「う、うん。分かったから、どいて」
 私が押し退けても、当然びくともしない。
「キスしてもいいか?」
 見下ろしながらそう言うと、オスカーは私の唇にそっと触れた。
「だ、だめ」
 私は顔を横に振ると、オスカーの下から抜け出そうとした。
「ニナと、キスがしたい」
 逃げようとする私を腕の中に閉じ込めて、耳元で再度囁いた。
「ふっ、うっ……」
 吐息がくすぐったくて、私はオスカーの腕の中で身をよじった。
「ニナ?」
 オスカーは鼻がくっつきそうなぐらい、顔を近づけて私の名を呼んだ。
 私の心臓はドキドキとうるさくて、顔も身体も熱を持ち、どうにかなってしまいそうだ。
「いい、けど、か……」
 軽くだよと言う前に、私の口はオスカーの口で塞がれてしまった。
 口を閉じる前に、舌が差し入れられる。
「ふっ……んんっ……んっ、あっ……んんっ……」
 オスカーの舌が口中を動き回り、舌に絡みついてくる。
 甘く痺れるような快感が、私の身体を走り抜ける。
「はあっ……オスカー……」
 オスカーはキスをやめて、私の様子をうかがう様に見下ろしていた。
 だめと言おうとして、もっとと言いそうになってしまう。
「ニナ……」
 オスカーは小さく私の名を呼ぶと、何度か軽くキスをした後、再び舌を差し入れてきた。
「んっ、ふっ……んっ、んっ……んんっ……」
 気持ちよくて、もっと気持ちよくなりたくて、私はオスカーの舌の動きに合わせて舌を絡ませた。
 狭い部屋に口づけを交わす音が響く。
 チュッと言う音と共にオスカーが離れると、今度は首元にキスをしてきた。
「あ、んっ、くすぐったい……あっ、やっ、ああっ……」
 首筋へのキスは上へと向かい、私の耳にたどり着くと、噛ったり舐めたり執拗に攻め立てた。
 反対の耳を手で塞がれて、オスカーが私の耳を犯す音しか聞こえない。
「ああっ、あっ……あんっ……んっ、ああっ……」
「……ニナに触りたい」
 耳を犯しながら呟かれた言葉に、私の身体はびくりと反応してしまう。
 完全に熱を持ってしまった私の身体は、この先にある快感を求めてしまっている。
「あ、んっ……オスカー……」
 見下ろすオスカーを、ねだるような視線で見つめる。
 オスカーは薄く笑うと、そっと胸に触れてきた。
 硬くなった乳首を避けて、服の上からなぞるように触られると、物足りなさから身体が疼いてしまう。
「……もっと……」
「服を、脱がせてもいいか?」
 私の言葉にかぶせるように聞かれ、思わず頷いてしまった。
 もう、後戻りは出来ない。
 オスカーは時折キスをしながら、ゆっくりと私の服を脱がせた。
 肌着の中に手を入れて直接胸を揉むけど、やはり乳首には触れてこない。
「ニナ」
 オスカーは私の名前を呼びながら肌着をたくし上げた。
「ふっ、うっ……」
 晒された胸をオスカーが見つめていると思うと、恥ずかしさから声が漏れた。
「硬くなったニナの乳首を、摘んで舐めて吸い上げたい」
 オスカーは指で円を描くように乳輪をなぞりながら、耳に口を寄せて囁いた。
「はっ、あっ……」
 身体はそれを求めていても、何て答えればいいのか分からない。
 熱い吐息を吐きながら戸惑っていると、オスカーの手は下の方にも伸びていった。
「ニナのその様子だと、きっとこっちもトロトロだろうな。確認してもいいか?」
「あ、んっ……」
 下着の上から軽く触られ、私の身体はびくりと反応してしまう。
「ニナ、返事は?」
 私の様子を楽しそうに眺めながら、オスカーが聞いてくる。
「……もう、オスカーの好きにしていいから……お願い、気持ちよくさせて?」
 これ以上、いちいち許可を取られていては堪らない。
 私は半ばやけになって、オスカーに懇願した。
「ニナ……」
 オスカーは私に激しいキスをすると、乳首を摘み、下着の中に手を差し入れてきた。
「ああっ……ふっ、うっ……ああっ、んっ……」
 待ち望んだ刺激を与えられて、私の身体は大きくくねる。
 クリトリスを押しつぶしながら乳首を吸われて、余りの快感に私はオスカーにしがみつく。
「本当に、好きにしていいんだな?」
 乳首を舐めながら私を見上げるオスカーと目が合う。
「あっ、ふっ……うんっ……オスカーと、んんっ……したい……」
 私は更なる刺激を求めて、自ら腰を揺らす。
 もう、早く挿れて欲しい。
「俺も、もう我慢できない」
「ああっ、あっ……んっ……ああっ……」
 オスカーの指が私の中をかき回す。
 クチュクチュといやらしい音を響かせながら、指を抜き差しされて、私の身体はガクガクと揺れる。
「あああっ、ああっ……やあっ……」
 呆気なくイかされて、はあはあと大きく息をしていると、服を脱いだオスカーに下着を脱がされた。
 オスカーは私の胸元に跨ると、そそり勃つ大きな物を口元に差し出してきた。
「は、あっ……」
 言葉もなく、指で形を確かめるようにオスカーの物に触れると、私は先っぽをペロペロと舐めた。
「くっ……」
 オスカーは苦しげな声を出すと、自身の物を口の中へと押し入れてきた。
「んっ……ふっ……」
 オスカーが感じてくれているのが嬉しくて、私は硬くぬるつくそれに吸い付きながら、頭を動かして抜き差しする。
 後ろに伸ばされたオスカーの手が私の割れ目をなぞり、クリトリスを弾く度に私の身体はびくりと反応する。
 いつしか中に入れられた指が小刻みに動かされ、痺れるような快感に、私はオスカーの物を口に含んだまま顔を横に振った。
 気持ち良過ぎて、ちゃんと口で出来ない。
「嫌だったか?」
 オスカーが心配そうに聞いてきた。
「んっ、指……気持ち、良すぎて……あうっ……口で、出来ない、からっ……ああっ……」
 やめてと言おうとしたのに、更に激しく責め立てられてまたイってしまう。
 オスカーは私の髪を梳くように撫でると、私に覆いかぶさった。
「や、あっ……」
 オスカーの熱くて硬い物で割れ目をなぞられ、これ以上無いくらいひくついてしまう。
「もう、挿れる」
 オスカーは余裕なくそう言うと、ゆっくりと私の中に入ってきた。
「あっ……あっ……んっ、オスカー……」
 圧迫感だけじゃない、満たされる喜びが私の頭を痺れさせる。
「くっ、ニナっ……」
 奥まで入ったのに、更に奥へと行こうとする様に、オスカーは腰を揺らす。
「はっ、うっ……ああっ……やっ、んんっ……」
 クリトリスが擦れて気持ちがいい。
「オスカー……ああっ……んっ、ああっ……オスカー……」
 私がオスカーを求めて名を呼ぶと、オスカーは打ち付けるように抜き差しし始めた。
「ニナ、好きだ……愛している……」
「あんっ……あっ……あうっ……わたっ……もっ……」
 余りの激しさに言葉が出ない。
 私はオスカーにしがみついて、ひたすらオスカーを受け入れる。
「ニナッ……」
 オスカーは私の名を呼びながら、熱い物を中に注ぎ込んだ。
「オス、カー……」
 オスカーは腰をビクつかせると、脱力して私に覆いかぶさる。
 まだ繋がったままで、私はうっとりとするような幸福感にオスカーの頭を撫でた。
「はあ、ニナ……」
 オスカーは愛しそうに私の名を呼ぶと、やわやわと胸を揉んできた。
「実は、外出許可は取ってないんだ」
 気のせいか、まだ中に入ったままのオスカーの物が硬さを取り戻しつつある。
「え?じゃあ早く戻らないと」
 私が焦ってオスカーの下から抜け出ようとすると、オスカーは私を押さえつけ、にっこりと笑った。
「明日は二人共休みだろ?外泊許可を取ってある」
「え?あうっ……」
 私が意味を理解する前に、オスカーが腰を振りだした。
「好きにしていい許可も取ったし、昼までたっぷり楽しもう。いや、昼までで足りるかな……」
 何だか怖い事を言いながら、オスカーはゆっくりと腰を振り続ける。
「次はどうやってニナをイかせようか」
 私を見下ろしてオスカーは楽しげに笑っている。
 笑っているオスカーが好きだとは言ったけど、今のこの笑顔は何だか違う気がする。
「もう、逃さない」
 逃げ出したくなる私の気持ちに気が付いたのか、オスカーは私をきつく抱きしめた。
 私は忘れていた。
 勇者は性欲が強いだけでなく、変態と言うことを。
 好きにしてと言った事を後悔するのに、そんなに時間はかからなかった。
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