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本編
第四夜 ☆
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ただのお休みのキスで顔を赤らめている場合ではない。
私にはやるべき事があるのだ。
『裸で自慰』
私は手で顔を覆った。
ほぼゼロ距離にオスカーがいるのに、無理でしょうよ。
もう、無視して寝てしまおうか。
『約束を守れなかったら昼まで犯す』
朝までじゃなくて、昼までと言う所に本気具合を感じてしまう。
実際は朝になればオスカーは目を覚ます訳で、もう完全に真っ最中に魔王と交代する訳だ。
そっちの方が無理だ。
やっぱり、やるしかない。
私はひたすらオスカーが寝るのを待った。
とは言え、待ちすぎて魔王が出てきてしまっては元も子もない。
規則正しい呼吸音を確認すると、私は意を決して寝間着を脱ぎだした。
最小限の動きでボタンを外し、寝返りを装いながら脱いでいく。
何とか寝間着を脱ぎ、下着姿でオスカーの後ろ姿を見つめる。
これだけでももう、変態の世界に足を踏み入れてしまっている気がする。
動きの無いオスカーの後ろ姿を見つめたまま、ゆっくりと肌着をたくし上げる。
胸を出す時に、肌着が硬くなった乳首を弾いて、身体がビクリと反応してしまった。
そんな反応がとてつもなく恥ずかしくて、恥ずかしいのに、私の乳首はより一層硬くたってしまった。
何をしているんだ、私は。
泣きそうになるのを何とか堪えて、一気に肌着を脱ぎ、その勢いのまま、下着に手をかける。
「ニナ」
振り向いたオスカーと目が合い、私は固まる。
これは、どっちだ?
「眠れないのか?」
オスカーだった。
「う、うん。でも、もう寝れそう。お休み」
私は布団に潜り込みながら背中を向けた。
こう言う時は下手に言い訳しない方がいい。
脱ぎかけの下着はそのままに、限りなく全裸に近い姿のまま、私はひたすらオスカーが寝るのを待った。
オスカーはしばらく私の様子をうかがってから、再び背中を向けたようだった。
しばらく時間をおいてから、私は寝返りをうち、オスカーの方を向いた。
その動きに合わせて脱ぎかけの下着も足元へ脱ぎ捨てる。
さあ、これで一つ目の約束は果たした。
もう一つの方は適当でもバレやしないだろう。
さあ、さあと魔王の出現を待つけど、いたずらに時だけが過ぎていく。
じっとオスカーの後頭部を見つめていたら、もぞりと身体が動き、向き合う形になった。
目は閉じられているから、ただの寝返りだろう。
私はじっとオスカーの顔を見つめる。
月明かりだけの薄暗い部屋だから、見ていてもそうそう気づかれないはずだ。
旅に出る前は知らなかった、オスカーの顔を思い出す。
私の場合中身は魔王だったけど、オスカーだってああ言う事をする時は、あんな顔をするんだろうか。
本当なら私には見せない顔なのに、私は知ってしまった。
それは本当にいい事だったんだろうか。
あまりの出来事の連続で、秘密のままここまできてしまったけど、やっぱりオスカーに魔王の事を話した方がいいのかもしれない。
でも、ここ数日のあれこれは何が何でも隠し通したい。
どうやって言えばいいんだろう。
「どうやら、昼まで犯されたいらしいな」
エッチな事にガッツリ修正を入れた魔王の話を考えていたら、オスカーの声が聞こえてきた。
言いながら乳首を摘んでくるのは、どう考えてもオスカーではなく魔王だ。
「ちょっと、休憩してた、だけ」
足の付け根まで触られて、私は身体をよじる。
「いつ始めるか、寝たふりをして待っててやったのに」
「待って、それはいつから?」
「そう言うって事は、やってなかったんだろ?」
あれ?ひょっとして嵌められたんだろうか。
「ニナは一人でするより、昼まで犯される方を選んだ訳だ」
魔王は楽しそうに笑いながら布団を捲り、起き上がって寝間着を脱ぎだした。
「裸にはなっていたから、もう一つの約束は守ってやる」
「もう一つ?」
伸し掛かってきた魔王に腕を押さえつけられながらも、何の事か分からずに聞いてしまう。
「言う事が聞けたら、他の女の所には行かないと言っただろ?」
魔王がするキスは、当然のように舌が差し入れられ、私も素直に受け入れてしまう。
「んっ、待って……本当に、んんっ……もう他には行かないで、んっ……くれるの?」
キスの合間に何とかそれだけ聞くと、魔王は耳にピッタリと口をつけて囁いた。
「ああ、ニナだけだ」
「んっ、ふっ……ああっ……」
囁きだけで蕩けてしまった所に、指で割れ目をなぞられて一気に力が抜ける。
「あんっ……んんっ……ああんっ……」
胸も揉まれて、気持ちよさから腰が揺れる。
「さあ、昼まで楽しもうか」
「やっ、まっ、待って!」
魔王の言葉に血の気が引く。気持ちいいとか言っている場合ではない。
「あの、何とかそこは、考え直し、て、あううっ……」
魔王は聞く耳を持たず、ぬるぬると割れ目をなぞり続けている。
耳たぶを噛じられ、意識が飛びそうになる。
「がんばる、から……んんっ……ゆる、して……」
荒い息遣いが聞こえるように、耳を舐めていた魔王の動きが止まる。
「何を頑張るんだ?」
魔王は心底楽しそうに、意地悪く笑いながら私を見下ろす。
ここが正念場だ。
私は上に乗る魔王の身体をグイッと押し倒すと、馬乗りに跨った。
「まさか、この魔法を使う時が来るとは……」
私は腕輪に手を添え、魔法を発動させる。
オスカーの腹筋の上に魔法陣が出現し、そこから粘性のある水が溢れ出る。
「待て」
焦る顔も、オスカーと同じなんだなと見つめていると、起き上がって腕を掴まれた。
「なんだ、この魔法は」
「あうっ……ぬるぬる、する……」
魔王が起き上がったせいで、粘性のある人肌の水が私の方にも流れてきた。
溜まったぬるぬるを掬って、自分の身体に塗りつける。
「んっ……娼婦の友達が、海藻で作ったローションは、ああっ……」
そのまま滑り込むように魔王の身体に密着すると、魔王はそのままベッドに倒れ込んだ。
「片付けが大変、んっ……だからって……魔法で何とか、ならないかなって……はあっ……」
ぬるぬると身体を擦り合わせるだけで、堪らなく気持ちが良い。
「フローラさん、魔法が使えなかったから、ううっ……意味なかった、けど……」
私が気持ち良くなっていても仕方が無い。
私は胸でオスカーの身体を洗うように、身体を滑らせる。
「せっかくだからって、ふっ、うっ……やり方を、教えて、くれてっ……あんっ……」
「どこから、突っ込めばいいか、分からない」
何だかさっきから私ばかり気持ち良くなっていて、魔王の反応が薄い気がする。
「あの、でも……やるのは、初めてで、あうっ……気持ち良く、なかった?」
起き上がって割れ目を腹筋に擦り付けながら、魔王を見降ろすと、何だか苦しげな顔をしていた。
「相変わらず……ニナは、バカだ……」
今一つどう言う反応なのか分からなかったため、再び胸を押し付けて下へと下がって行くと、硬い物が行く手を阻んだ。
こちらの反応は、良好そうだ。
「あう……」
なぞるように腰を浮かせて回避して、更に下へと向かう。
「見てて……」
オスカーの硬く勃った物をそっと握り、その先端に自分の乳首を押し付ける。
「ああっ、んっ……はあっ……」
ええと、次は挟み込んで目を見つめるだっけ?
ぼんやりする頭のまま、両脇から胸を押さえて、オスカーの物を挟み込む。
そのままムニムニと押さえつけながら、視線を上に上げると、魔王は上半身を軽く起こして、悩まし気な顔でじっと見つめていた。
「ええと、ダメ、だった?」
「いや……くっ、大丈夫、だ……」
それならばと、私は魔王を見ながら、胸を左右交互に動かして擦り合わせる。
「うっ、くっ……ニナ……」
先端から汁が溢れ出しているのに気付き、思わず舌で舐め取ってしまった。
腰をビクつかせる魔王に、もっと気持ち良くなって欲しくなって、そのまま先端を口に含む。
胸で揉みしごきながら、舌を這わせ吸い上げると、魔王は声にならないうめき声をあげた。
「もう、いい……」
まだこれからと言う所で、頭をくしゃくしゃ撫でられ、魔王に止められてしまった。
身体を引き上げられて、そのまま押し倒される。
「まだ、イカせてない」
私としてはかなり頑張ったけど、結果が出ていない。
泣きそうな顔で魔王を見つめる。
「本当に、ニナはバカだな」
呆れたように笑うと、魔王は私の頬にそっと触れた。
「こんな事、俺以外にするなよ」
魔王は怒っているような、真剣な顔で私を見降ろした。
「脅されてなければ、魔王にだってこんな事、しない」
私はつい不満を漏らしてしまう。
「いや……そうだな、すまない」
悲しいような、苦しいような、何だか辛そうな顔で魔王が謝ってきた。
「こんな事をしていても、ニナは手に入らない」
私の上に覆いかぶさると、魔王はきつく抱きしめてきた。
「魔王?」
何だか様子がおかしい。
「どうしたら、俺のものになってくれる?」
小さな声で呟かれた声は、大きなオスカーの身体が小さく感じられるぐらい、弱々しい物だった。
魔王はもうすぐ封印されてしまう。だから、こんな事をするんだろうか。
「私でよければ、全部あげる」
私は魔王の背中をそっと撫でる。
誰かとどうこうなる事もないだろうから、全て魔王に捧げても問題ない。
少しでも魔王の慰めになるなら、私の全部をあげよう。
「封印されても、私の心も身体も、魔王のものだよ。誰にも触らせない」
私の言葉に顔を上げた魔王の瞳は、絶望に震えていた。
「なんで……」
魔王は首を振ると、暗い瞳でじっと私を見つめた後、噛み付くようにキスをしてきた。
「ふっ、んんっ……んっ、んっ……んんっ……」
濡れ具合を確認するように割れ目をなぞると、すぐに熱い猛りを押し挿れる。
「俺以外は、簡単に受け入れるんだな」
「あっ、はっ……うっ……やっ……」
余りに激しい突き上げに、声も出ない。
「ニナ、ニナ……くっ、うっ……ニナ……」
うわ言のように私の名前を呼びながら、魔王はひたすら腰を振り続ける。
「や、あっ……ああっ……あああっ!」
何かが弾けるような快感に、悲鳴をあげてイッてしまう。
それでもなお、魔王の動きが止まる事は無かった。
私にはやるべき事があるのだ。
『裸で自慰』
私は手で顔を覆った。
ほぼゼロ距離にオスカーがいるのに、無理でしょうよ。
もう、無視して寝てしまおうか。
『約束を守れなかったら昼まで犯す』
朝までじゃなくて、昼までと言う所に本気具合を感じてしまう。
実際は朝になればオスカーは目を覚ます訳で、もう完全に真っ最中に魔王と交代する訳だ。
そっちの方が無理だ。
やっぱり、やるしかない。
私はひたすらオスカーが寝るのを待った。
とは言え、待ちすぎて魔王が出てきてしまっては元も子もない。
規則正しい呼吸音を確認すると、私は意を決して寝間着を脱ぎだした。
最小限の動きでボタンを外し、寝返りを装いながら脱いでいく。
何とか寝間着を脱ぎ、下着姿でオスカーの後ろ姿を見つめる。
これだけでももう、変態の世界に足を踏み入れてしまっている気がする。
動きの無いオスカーの後ろ姿を見つめたまま、ゆっくりと肌着をたくし上げる。
胸を出す時に、肌着が硬くなった乳首を弾いて、身体がビクリと反応してしまった。
そんな反応がとてつもなく恥ずかしくて、恥ずかしいのに、私の乳首はより一層硬くたってしまった。
何をしているんだ、私は。
泣きそうになるのを何とか堪えて、一気に肌着を脱ぎ、その勢いのまま、下着に手をかける。
「ニナ」
振り向いたオスカーと目が合い、私は固まる。
これは、どっちだ?
「眠れないのか?」
オスカーだった。
「う、うん。でも、もう寝れそう。お休み」
私は布団に潜り込みながら背中を向けた。
こう言う時は下手に言い訳しない方がいい。
脱ぎかけの下着はそのままに、限りなく全裸に近い姿のまま、私はひたすらオスカーが寝るのを待った。
オスカーはしばらく私の様子をうかがってから、再び背中を向けたようだった。
しばらく時間をおいてから、私は寝返りをうち、オスカーの方を向いた。
その動きに合わせて脱ぎかけの下着も足元へ脱ぎ捨てる。
さあ、これで一つ目の約束は果たした。
もう一つの方は適当でもバレやしないだろう。
さあ、さあと魔王の出現を待つけど、いたずらに時だけが過ぎていく。
じっとオスカーの後頭部を見つめていたら、もぞりと身体が動き、向き合う形になった。
目は閉じられているから、ただの寝返りだろう。
私はじっとオスカーの顔を見つめる。
月明かりだけの薄暗い部屋だから、見ていてもそうそう気づかれないはずだ。
旅に出る前は知らなかった、オスカーの顔を思い出す。
私の場合中身は魔王だったけど、オスカーだってああ言う事をする時は、あんな顔をするんだろうか。
本当なら私には見せない顔なのに、私は知ってしまった。
それは本当にいい事だったんだろうか。
あまりの出来事の連続で、秘密のままここまできてしまったけど、やっぱりオスカーに魔王の事を話した方がいいのかもしれない。
でも、ここ数日のあれこれは何が何でも隠し通したい。
どうやって言えばいいんだろう。
「どうやら、昼まで犯されたいらしいな」
エッチな事にガッツリ修正を入れた魔王の話を考えていたら、オスカーの声が聞こえてきた。
言いながら乳首を摘んでくるのは、どう考えてもオスカーではなく魔王だ。
「ちょっと、休憩してた、だけ」
足の付け根まで触られて、私は身体をよじる。
「いつ始めるか、寝たふりをして待っててやったのに」
「待って、それはいつから?」
「そう言うって事は、やってなかったんだろ?」
あれ?ひょっとして嵌められたんだろうか。
「ニナは一人でするより、昼まで犯される方を選んだ訳だ」
魔王は楽しそうに笑いながら布団を捲り、起き上がって寝間着を脱ぎだした。
「裸にはなっていたから、もう一つの約束は守ってやる」
「もう一つ?」
伸し掛かってきた魔王に腕を押さえつけられながらも、何の事か分からずに聞いてしまう。
「言う事が聞けたら、他の女の所には行かないと言っただろ?」
魔王がするキスは、当然のように舌が差し入れられ、私も素直に受け入れてしまう。
「んっ、待って……本当に、んんっ……もう他には行かないで、んっ……くれるの?」
キスの合間に何とかそれだけ聞くと、魔王は耳にピッタリと口をつけて囁いた。
「ああ、ニナだけだ」
「んっ、ふっ……ああっ……」
囁きだけで蕩けてしまった所に、指で割れ目をなぞられて一気に力が抜ける。
「あんっ……んんっ……ああんっ……」
胸も揉まれて、気持ちよさから腰が揺れる。
「さあ、昼まで楽しもうか」
「やっ、まっ、待って!」
魔王の言葉に血の気が引く。気持ちいいとか言っている場合ではない。
「あの、何とかそこは、考え直し、て、あううっ……」
魔王は聞く耳を持たず、ぬるぬると割れ目をなぞり続けている。
耳たぶを噛じられ、意識が飛びそうになる。
「がんばる、から……んんっ……ゆる、して……」
荒い息遣いが聞こえるように、耳を舐めていた魔王の動きが止まる。
「何を頑張るんだ?」
魔王は心底楽しそうに、意地悪く笑いながら私を見下ろす。
ここが正念場だ。
私は上に乗る魔王の身体をグイッと押し倒すと、馬乗りに跨った。
「まさか、この魔法を使う時が来るとは……」
私は腕輪に手を添え、魔法を発動させる。
オスカーの腹筋の上に魔法陣が出現し、そこから粘性のある水が溢れ出る。
「待て」
焦る顔も、オスカーと同じなんだなと見つめていると、起き上がって腕を掴まれた。
「なんだ、この魔法は」
「あうっ……ぬるぬる、する……」
魔王が起き上がったせいで、粘性のある人肌の水が私の方にも流れてきた。
溜まったぬるぬるを掬って、自分の身体に塗りつける。
「んっ……娼婦の友達が、海藻で作ったローションは、ああっ……」
そのまま滑り込むように魔王の身体に密着すると、魔王はそのままベッドに倒れ込んだ。
「片付けが大変、んっ……だからって……魔法で何とか、ならないかなって……はあっ……」
ぬるぬると身体を擦り合わせるだけで、堪らなく気持ちが良い。
「フローラさん、魔法が使えなかったから、ううっ……意味なかった、けど……」
私が気持ち良くなっていても仕方が無い。
私は胸でオスカーの身体を洗うように、身体を滑らせる。
「せっかくだからって、ふっ、うっ……やり方を、教えて、くれてっ……あんっ……」
「どこから、突っ込めばいいか、分からない」
何だかさっきから私ばかり気持ち良くなっていて、魔王の反応が薄い気がする。
「あの、でも……やるのは、初めてで、あうっ……気持ち良く、なかった?」
起き上がって割れ目を腹筋に擦り付けながら、魔王を見降ろすと、何だか苦しげな顔をしていた。
「相変わらず……ニナは、バカだ……」
今一つどう言う反応なのか分からなかったため、再び胸を押し付けて下へと下がって行くと、硬い物が行く手を阻んだ。
こちらの反応は、良好そうだ。
「あう……」
なぞるように腰を浮かせて回避して、更に下へと向かう。
「見てて……」
オスカーの硬く勃った物をそっと握り、その先端に自分の乳首を押し付ける。
「ああっ、んっ……はあっ……」
ええと、次は挟み込んで目を見つめるだっけ?
ぼんやりする頭のまま、両脇から胸を押さえて、オスカーの物を挟み込む。
そのままムニムニと押さえつけながら、視線を上に上げると、魔王は上半身を軽く起こして、悩まし気な顔でじっと見つめていた。
「ええと、ダメ、だった?」
「いや……くっ、大丈夫、だ……」
それならばと、私は魔王を見ながら、胸を左右交互に動かして擦り合わせる。
「うっ、くっ……ニナ……」
先端から汁が溢れ出しているのに気付き、思わず舌で舐め取ってしまった。
腰をビクつかせる魔王に、もっと気持ち良くなって欲しくなって、そのまま先端を口に含む。
胸で揉みしごきながら、舌を這わせ吸い上げると、魔王は声にならないうめき声をあげた。
「もう、いい……」
まだこれからと言う所で、頭をくしゃくしゃ撫でられ、魔王に止められてしまった。
身体を引き上げられて、そのまま押し倒される。
「まだ、イカせてない」
私としてはかなり頑張ったけど、結果が出ていない。
泣きそうな顔で魔王を見つめる。
「本当に、ニナはバカだな」
呆れたように笑うと、魔王は私の頬にそっと触れた。
「こんな事、俺以外にするなよ」
魔王は怒っているような、真剣な顔で私を見降ろした。
「脅されてなければ、魔王にだってこんな事、しない」
私はつい不満を漏らしてしまう。
「いや……そうだな、すまない」
悲しいような、苦しいような、何だか辛そうな顔で魔王が謝ってきた。
「こんな事をしていても、ニナは手に入らない」
私の上に覆いかぶさると、魔王はきつく抱きしめてきた。
「魔王?」
何だか様子がおかしい。
「どうしたら、俺のものになってくれる?」
小さな声で呟かれた声は、大きなオスカーの身体が小さく感じられるぐらい、弱々しい物だった。
魔王はもうすぐ封印されてしまう。だから、こんな事をするんだろうか。
「私でよければ、全部あげる」
私は魔王の背中をそっと撫でる。
誰かとどうこうなる事もないだろうから、全て魔王に捧げても問題ない。
少しでも魔王の慰めになるなら、私の全部をあげよう。
「封印されても、私の心も身体も、魔王のものだよ。誰にも触らせない」
私の言葉に顔を上げた魔王の瞳は、絶望に震えていた。
「なんで……」
魔王は首を振ると、暗い瞳でじっと私を見つめた後、噛み付くようにキスをしてきた。
「ふっ、んんっ……んっ、んっ……んんっ……」
濡れ具合を確認するように割れ目をなぞると、すぐに熱い猛りを押し挿れる。
「俺以外は、簡単に受け入れるんだな」
「あっ、はっ……うっ……やっ……」
余りに激しい突き上げに、声も出ない。
「ニナ、ニナ……くっ、うっ……ニナ……」
うわ言のように私の名前を呼びながら、魔王はひたすら腰を振り続ける。
「や、あっ……ああっ……あああっ!」
何かが弾けるような快感に、悲鳴をあげてイッてしまう。
それでもなお、魔王の動きが止まる事は無かった。
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