勇者の中の魔王と私

白玉しらす

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本編

第三夜 ☆

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 腕輪に書き込んだ術式を展開させ、新たな術式を書き加える。
 魔法文字が私の魔力に反応して金色に輝き、揺らめく光景はいつ見ても綺麗だ。
 ゆっくりと指を滑らせるけど、なかなか文字が浮かび上がらない。
 今日はほぼ空になるまで魔力を使ってしまったから、魔力が足りなくなってきたんだろう。
 私は一旦大きく深呼吸をしてから、再び書き込む為に手を伸ばした。

「それぐらいにしておかないと、倒れるぞ」
「ひえっ!」
 後ろから抱きしめられ、伸ばした手を掴まれて、飛び上がるかと思うぐらいびっくりした。
 全く気配を感じなかった。
「いつも思っていた。俺の魔力をニナに渡せたらと」
 魔王は掴んでいた手を離し、私の身体をきつく抱きしめた。
「どうした?早くキリをつけないと、始めるぞ」
 お腹に置かれた手が上に向かってきたので、慌てて書き込みを再開する。
「あの、くっついていても、魔力は人に渡せませんよ?」
 お腹を撫でたり、首筋の匂いを嗅いだり、耳たぶを甘く噛じったりされて、非常に落ち着かない。
「知っている」
「書き込み作業は慎重にやらないと、危ないんですよ?」
「知っている。だから、大人しく待っているだろ?」
 確かに、今までの魔王と比べると大人しいかもしれないけど、出来ればもっと大人しくしていて欲しい。
「すぐに終わらせるから、離れて待っていて貰えませんか?」
「触られるのは、嫌か?」
「嫌と言うか、落ち着かないので」
 ついでに耳元で囁くのもやめて欲しい。
「嫌じゃないなら、このままでもいいだろう?」
「……もう、いいです」
 話が通じない魔王に見切りをつけて、私は腕輪への書き込みを諦めた。

 光る魔法文字が消え、部屋は暗闇に包まれる。
「途中でやめると、魔法が使えなくなるんじゃないのか?」
「難所は越えたし、オスカーもいるから、大丈夫っ」
 魔法文字が消えた途端、胸を揉み出した魔王の手を何とかしようと、私は格闘している。
「ニナ、したい……」
「ふえっ……な、何をでしょうか」
 だから、耳元で囁かないで欲しい。その気になったらどうしてくれる。
「ニナに自慰を教え込んで、目の前で乱れる姿を見ながら、扱きたい」
「へ、変態……」
 予想外の答えに、私は狼狽えた。要求の難易度が高過ぎないだろうか。
「勿論、ニナが考えたような事もしたい」
「あううっ……」
 耳の穴に舌を突っ込む勢いで耳を舐められ、私の身体に電気が走る。
 この先にある気持ち良さを、私の身体はもう覚えてしまっている。

「ま、待って」
「十分待った」
 太ももの間に差込まれた手が、ゆっくりと上へ向かい、スカートが捲れ上がる。
「もう、待たない」
 動きを止めようとする私の手は何の働きもせず、下着の上から割れ目をなぞられてしまう。
「やめ、ああっ……」
 それどころか、魔王の指は下着の中に入り込み、クリトリスをぐりぐりと押しつぶしてきた。
「あっ、んんっ……それ、だめっ……ああっ……」
 痺れるような快感に、私の身体からは力が抜け、腰が揺れてしまう。
「やあっ、んっ……ふっ、うっ……あうっ……」
 いつの間にか中に入れられた指が、グチュグチュといやらしい音をたてながら抜き差しされている。
「まるで、俺の手を使って自慰をしているみたいだな」
 魔王の言葉に、仰け反らせていた身体を戻すと、動きを止めようと重ねた手はそのままに、与えられる快感を貪欲に受け止める私がいた。
「や、あっ……」
 あまりの光景に、私が固まっていると、魔王は耳元で囁いた。
「ニナは、ここをこうされるのがいいんだろ?」
 どこをどうしているのか良く分からないけど、中で折り曲げた指を小刻みに動かされ、今までにないぐらい大きな快感に襲われる。
「ああっ、あんっ……あっ、あっ……ああっ、ああっ、あああっ……」
 足がガクガクと揺れ、私はあっという間にイッてしまった。

「次はニナの番だ」
「はあっ……あうっ……な、に?」
 まだ身体のビクつきが収まらない内に、魔王は私の手を掴んできた。
 魔王の手ごと、お腹の方から下着の中へと差し入れられ、指が濡れる割れ目に触れる。
「や、やだっ……」
 逃げようとする私をきつく抱きしめ、魔王は下着の中の手を動かす。
「あっ、やあっ……ふっ、んんっ……」
 イッたばかりで、敏感になっているクリトリスをクニクニと押しつぶされて、私の口からは吐息が漏れる。
「ここも、触ると気持ちがいいんじゃないか?」
 反対の手も掴まれて、胸へと誘導される。
 私の指ごと乳首を摘み、円を描くように胸を揉む。
「だ、めぇっ……あっ、ああっ……んんっ……」
 口ではだめと言っておきながら、私はクリトリスに指を押し当てたまま、腰を揺らしている。
「そのまま、一人で続けるんだ」
 魔王はそう言うと掴んでいた私の手を離し、後ろから抱きついたまま、服を脱がし始めた。
「やめたら、昼まで犯し続ける」
 二重の意味で恐ろしいセリフに、私は離そうとしていた手を戻した。
 オスカーにバレる以前に、そんなにされたら身が持たないんじゃないだろうか。
「ううっ……」
 仕方なく、寝間着を脱がそうとする魔王の動きに合わせて、身体を動かす。
 自分で敏感な所を弄りながら裸になるなんて、どんな痴女だ。 
「そろそろ、指を中に入れたらどうだ?ニナは、中でもイケるだろ?」
 脱がせ終わった魔王は私が触っていない所を撫で回しながら、次の指令を出してきた。
「や、だ……」
 私は半泣きで首を横に振る。これ以上変態の道に誘わないで欲しい。
「ニナが言う事を聞けたら、もう他の女の所には行かない」
 ええと、私は魔王が行きずりの女の人と一晩を共にするのを阻止するため、こんな事をしてる訳で、この提案は受けた方がいいのか?
「ニナ」
 首筋を舐め上げられ、私は冷静な判断もできぬまま、指を中に埋めてゆく。
「あっ、ふっ……んんっ……」 
 嫌なはずなのに、私の腰は刺激を求めて揺れ動き、クチュクチュといやらしい音が響いた。

 身体をまさぐる手を止めて、魔王は私の正面に移動した。
 私の痴態をじっと見つめながら、手早く服を脱ぐと、私のすぐそばで胡座をかいた。
「うっ……ふっ……」
 硬くそそり勃つ物を見て、私の身体から蜜が溢れる。
 自分の身体の反応が信じられなくて目をそらすと、魔王は私の左手を手に取り、指をしゃぶりだした。
「やっ、あっ……ああっ……んんっ」
 その行為の意味が分からず、思わず魔王を見ると、そこには熱のこもった瞳で私の指をしゃぶるオスカーの顔があった。
 オスカーではなく、魔王と分かっていても、灰色の瞳を見るとどうしようもなく感じてしまう。
「あっ、ああっ……オスカー……」
 魔王に何度も言わされたせいか、私の口からはあっさりとオスカーの名がこぼれた。
「これが、欲しいのか?」
 魔王は舐めていた手をグイッと引っ張り、足の間にそそり勃つ物を握らせた。
「や、ああっ……やあっ、変態っ……」
 魔王が私の手と一緒に、握りこんだ物を上下に扱く。
「ダメっ……や、ああんっ……あんっ……やあっ……」
 こんな変態行為は嫌なはずなのに、左手にオスカーを感じながら、私のあそこは咥え込んだ自分の指をキュウキュウと締め付けてしまう。
「はっ、ああっ……ああっ……んっ……」
 身体を仰け反らせて腰を揺らす私を、魔王が片手で抱き寄せる。
 乳首に噛みつきながら、扱く手を早め、それにつられて私の右手の動きも早まってしまう。
「ああっ……あっ、あっ、あああっ」
 何も考えられなくなった私は、ひたすら腰と手を動かし、オスカーの物を扱きながら、イッてしまった。

「はあっ……はあっ……んんっ……」
 私はオスカーの太腿に跨らされ、そのままぐったりとオスカーにもたれ掛かった。
 オスカーの身体は柔らかいところなんてどこにもない。
 胸板も、お腹も、太腿も、何処もかしこもしっかりと筋肉が付いていて固い。
 私の左手にまだ握らされている物も、とても硬くて、とても大きい。
「オスカーの……おっきい……」
 私が自ら扱きだしたのに気がついたのか、魔王は手を離し、私にされるがままになった。
「オスカーの身体は……硬くて、気持ちいい、ね……」
 太腿の上で腰を揺らし、胸を押し付けるように身体をくねらせる。
「ふっ、あっ……ああん……」
 私は、オスカーの灰色の瞳を見つめる。
「んんっ……オスカー……」
 オスカーじゃないと分かっていても、どうしようもなくオスカーを求めてしまう。
「ニナ」
 魔王は軽々と私を持ち上げると、足の間に座らせた。
「自分で挿れられるか?」
「んっ、あっ……んんっ……」
 割れ目やクリトリスを擦り付けるように腰を動かすけど、オスカーの物はやっぱり大きくて、入る気がしない。
 擦り付ける気持ち良さにうっとりとしながら、どうやって挿れるのか首を傾げていると、魔王が笑った。
 愛しい者を見るような優しい微笑みが、魔王らしくない。
「あっ、んっ……オスカー?」
 思わずこぼれた問いかけに、魔王は答えることなく私を貫いた。
「うっ、くうっ……んっ、んっ……んんっ……」
 圧迫感で口から出たうめき声は、魔王の口で塞がれ、絡められる舌の動きに、すぐに喘ぎ声になった。
「んっ、はあっ……んんっ……んんっ」
 お互いに舌を絡ませ合いながら、私は下から突き上げられる。
 頭が真っ白になるぐらい、気持ちがいい。
「はあっ、ニナ……」
 魔王がじっと私の目を見つめる。
「明日の晩、裸になって自慰をして待っててくれ」
「んんっ……んっ?……ああっ、あっ……んんっ……」
 何だかとんでもない事を言われた気がしたけど、乳首とクリトリスを同時に押されて、思考が飛んでしまう。
「言う事を、聞くんだろ?」
「ふっ、はっ……あううっ……ああっ……」
「約束だ、ニナ」
「んんっ……んっ……んんんっ……」
 再び口を塞がれた私は、言われた事も頭に入らず、ひたすら快感の波に溺れ続けた。
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