勇者の中の魔王と私

白玉しらす

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本編

第一夜 ☆

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 どこかからクチュクチュとか、ピチャピチャとか、水っぽい音が聞こえる。
 それと共に、身体に違和感を感じて、私はゆっくりと目を覚ました。

「んんっ……」
 目が覚めた途端、あちこちから今まで感じたことの無い快感が私を襲った。
 月明かりに目を凝らすと、私の身体の上には人影があり、胸を舐めたり、足の付け根を撫で回したり、忙しなく動いていた。
「だっ、ああっ……誰っ、んんっ……何をっ……んっ……」
 割れ目をなぞる指の動きが早くなり、クチュクチュと言う音も激しくなる。

「起きたのか」
 胸を舐め回していた顔を上げて、声の主が私を見下ろした。
 声も、見下ろす顔もオスカーだけど、オスカーがこんな事をするはずがない。
「あ、なたはっ……んっ……誰?」
「……魔王」
 それだけ言うと、見た目だけオスカーの別人は、私にキスをしてきた。
「ふっ、んんっ……んーっ、んんっ……んっ……」
 ねっとりと舌を絡ませられ、息が出来なくなる。
 いつの間にか胸も揉まれ、指が乳首を弾く度に、電気が流れるように快感が走った。
 私が力の限り、目の前の身体を押し退けると、ようやく自称魔王は動きを止めてくれた。

「嫌なのか?」
「あたり、前でしょ」
 荒くなった息を整えながら睨みつける。
「お前が嫌がるなら、他を当たる。それでもいいのか?」
「どう言う事?」
 気がつけば魔王も私も裸だったので、私はシーツで身体を隠しながら問いただした。魔王は見られても気にならないようだ。
「目が覚めて、知らない女が隣に寝ていたら、コイツはどう思うだろうな」
 コイツと言って、魔王はオスカーの身体を指差した。
「本当に、魔王なの?」
「魔王じゃなければ、誰なんだ?」
 射抜くような瞳で見つめられ、私は目の前の人物が魔王である事を受け入れる。
 魔王じゃなければオスカーだけど、オスカーな訳が無い。
「朝になれば元に戻る。その時、知らない女が隣に寝ていてもいいのか?」
 私は魔王の言葉をよくよく考える。
 真面目なオスカーの事だ、きっと責任を取ると言うだろう。
「それは、ダメ……」
 オスカーには魔王を封印する役目があるし、王都に行けば、いくらでも素適な女性と付き合うことが出来る。
 こんな所で身に覚えのない責任を取っている場合ではない。

「では、お前がその身体で、俺を止めるんだな」
 身体はオスカーな魔王に、私の攻撃が効くだろうか。 
「止めると言うのは、こう言う事だ」
 殺気立つ私を呆れたような顔で見ると、魔王は私に覆いかぶさってきた。
 胸を揉みながら、口の中に侵入してきた舌が口中を動き回る。
「んんっ……ふっ……んんっ、んっ……」
「お前が俺を満足させられれば、朝になる前にこの身体を返す。お前なら、隣に寝ていてもおかしくないだろ?」
 私の顔を見下ろしながら、魔王が最後通告をしてきた。
「もう一度だけ聞く、嫌なら他を当たる。どうする?」
 どうするのが正解なんだろう。オスカーにとって、最善の選択はどれだ?
 少なくとも、他を当たられるよりは、私とサッサと終わらせた方が、被害が少ないような気がする。
「私と、して……」
 私の声も身体も震えてしまっている。
 こんな事をするのは初めてだし、怖くないと言ったら嘘になる。
 それでも、オスカーの為なら私はどうなってもいいと思った。
 魔王は満足そうに笑うと、深いキスをしてきた。
 
「んっ……ふっ……んんっ……」
 一度許してしまうと、私の身体は簡単に快楽に溺れてしまった。
 胸を揉む指が乳首を弾く度、割れ目をなぞる指がクリトリスをかすめる度、私の身体は歓喜するように跳ねる。
 中身は違うとは言え、オスカーの身体からもたらされる甘い刺激に、完全に思考が溶けている。
「ああっ……うっ、あんっ……ああんっ……」
 魔王はキスを止めて私を見下ろすと、クリトリスをグニグニと押しつぶした。
 乳首も摘まれ、あまりの快感に私は身体をくねらせる。
「気持ちいいか?」
 薄っすらと笑う魔王は、熱のこもった瞳で私の痴態を見つめている。
 オスカーの灰色の瞳に、私のいやらしい姿が映っていると思うと、とめどなく蜜が溢れた。
「んんっ……ああっ……やっ……ああんっ……」
 私は返事をすることなく、身体をくねらせ続けた。

「……ニナ」
 名前を呼ばれ、私の身体がビクリと硬直した。
「なんで、あうっ……名前っ……んんっ……」
 戸惑う私にニヤリと笑って見せると、魔王は私を責める手の動きはそのままに、後ろから抱き付いてきた。
「俺はずっとコイツの中にいたんだ。何だって知っている」
 耳を舐めるように囁かれ、私は更なる快感に震えた。
「いつも、コイツがいてもお構いなしに着替えて、そのいやらしい身体を見せつけていただろ?男の前で肌を晒す意味を、知らないわけでもないだろうに」
 咎めるような口調も、オスカーの声で言われると、甘い囁きにしかならない。
 お尻に硬いものを押しつけられ、私の身体は更に熱を帯びる。
「ああ、それとも誘っていたのか?コイツにこうされたくて」
 そう言うと魔王は、私の中に指を差し込んできた。
 既にトロトロになっていたそこは、すんなりと指を受け入れ、喜びに震えている。
「ああっ……あんっ……違うっ……やあっ……」
 グチュグチュと中をかき回されて、頭が真っ白になる。
「よっぽど欲しかったんだな。キュウキュウ締め付けている」
「ああっ……あんっ……あっ、ああっ……」
 私の腰は更なる快感を求めていやらしく動き、ひたすら嬌声をあげ続けた。

「一応、確認しておくが、こう言う事は初めてか?」
「なっ……ああっ、んっ……当たり、前……ううっ……でしょっ……」
「その割には、もう二本も指が入っている」
 魔王は私にも良く分かるように、交互に指を動かしてきた。
「ああ、コイツの隣で、いつも自分でしてたのか」
 一瞬意味が分からなかったけど、分かった瞬間羞恥なのか怒りなのか、カッと頭に血が登った。
「するわけないっ……んっ……で、んんっ……しょ、ああっ……」
 私の否定の言葉の途中で、強くクリトリスを摘まれ、抗議の言葉は嬌声にかき消されてしまった。
「そうか、初めてなのにこんなに感じて、ニナの身体はいやらしいんだな。もうコレを挿れても大丈夫そうだ」
 魔王はそう言うと、私を跨ぐように膝立ちになり、大きく勃ち上がった物を見せ付けるように軽く扱いた。
 当然ながら、そんな状態のオスカーの物を見た事は無く、私は怯む。
「無理、だと思います」
 魔王は色気が溢れる笑顔で私を見下ろし、手に持つそれを無言で私のあそこに押し当ててきた。
「聞いてますか、魔王さん?」
 そのままグニグニと擦り付けられ、空いた手で胸を揉まれる。
 再び襲ってくる快感に、私は為す術もなく流されてゆく。

「今からお前を貫くコレは、誰の物だ?」
「ふっ……んんっ……誰って……あんっ……魔王?」
 間違えた罰だとでも言うように、きつく乳首を抓られた。
 魔王じゃないとしたら……私は目の前にいる人物をじっと見つめる。
「ああっ……んっ、オスカー……あああっ」
 オスカーの名を呼ぶと、魔王は擦り付けていたものを一気に私の中へ挿れてきた。
 あまりの圧迫感に、息が詰まる。
「ふっ……はっ……痛っ……んんっ」
「ニナ、お前を貫くコレは、誰の物だ?」
 魔王は同じ質問を繰り返す。
「はあっ……オスカー、ああっ……オスカー……」
 名前を呼ぶ度、私のあそこは引き抜かれる物をひき止めるように、キュウキュウ締め上げた。
「くっ、ニナ……」
 魔王の苦しげな声に目を開けると、そこには夢中で腰を振るオスカーの姿があった。
「ふっ、くっ……んんっ……ああっ……あんっ……」
 中身はそうじゃ無いと分かっていても、オスカーと繋がっている錯覚に、私の身体からは力が抜ける。
「ニナ……」
 魔王は私の名前を呼ぶと、しがみつくように抱きつき、噛み付くようにキスをした。
 強く打ち付けられる腰からもたらされるのは、既に痛みよりも快感の方が強くなっている。
「あんっ……ああっ……オスカー……ああんっ……」
 私は浅ましくも、オスカーを求めてしまう。
 魔王はそんな私の様子に構うことなく、ひたすら腰を振り続ける。
「ニナ、愛している」
「やあっ……あああっ……あっ、ああっ……」
 耳元で囁かれた言葉に、私の身体はガクガクと揺れる。
 初めての感覚に私は慄き、目の前の身体に縋る。
「大丈夫だ、ニナ」
 そんな言葉と共に、私の中に熱いものが注がれた。

「ふっ、ううっ……はあっ……」
 終わった。
 いいのか悪いのか、初めては痛いと聞いていたけど、それ程痛い思いをする事なく、もう終わった。
「ふっ、んっ……あの……やっ……魔王、さん?」
 終わったはずなのに、魔王は私の中から出ていく事なく、胸を揉み、乳首をクニクニと摘んで遊んでいる。
「あんっ……あのっ、はうっ……もう、終わり……ああんっ……やあっ……」
 繋がったまま、クリトリスをグリグリと押し潰されて、私は快感から逃げるように腰をくねらせた。
「待ち望んだものが手に入ったんだ、一回ぐらいで満足できるか」
 私の中の物は、もう十分硬さを取り戻していて、ゆっくりと抜き差しし始めていた。

 私の性的知識によると、男の人は出したらスッキリするんじゃなかったっけ?もう、終わったんじゃないの?
 そんな疑問は、段々早くなる腰の動きに掻き消されていく。
 胸にキスをされる度、チリっとした痛みが走るけど、それすら直ぐに快感に変わってしまう。
「ああんっ……ああっ……やっ、耳っ……ダメぇっ……んっ、ああっ……」
 体中にキスをされる中で、舌が私の耳を捕らえた瞬間、私の身体は快感に仰け反った。
「耳が弱いなんて、知らなかったな。今までで一番締め付けてくる」
 熱い吐息を吹き掛けるようにして告げられた言葉に、ガクガクと腰が揺れる。
「ああっ……あっ、あっ……ああんっ……やあっ、んんっ……」
「まるで性器だな。剥き出しの、性器だ」
 オスカーの声でいやらしい事を言われ、指と舌が耳の穴に入ってきた。
「ああっ、ああっ、あんっ、ああっ……あああっ」
 私は狂ったように腰を振り、イキ続けてしまう。
「ああ、ニナ……たっぷり愛し合おう」
 魔王の言葉も耳に入らず、私の意識はそのまま飛んでしまった。
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