異世界でダンジョンを作ることになった俺はとんでもない物を作ってしまった

白玉しらす

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そして世界は動き出した ☆

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「セラフィナ……」
「トオル……」
 向かい合わせで抱き合い、見つめあってはキスを交わす。
 きつく抱き合い、時折腰を揺らすだけ。もう、繋がっているだけで満足だった。
「あっ、んっ……好き……大好き……トオル……」
 セラフィナが猫のように顔を擦り付けてくる。
「ああ、俺も、大好きだよ、セラフィナ」
 言葉を注ぐように耳元で囁くと、セラフィナは嬉しそうに笑った。
「トオル、トオル……ずっと、一緒に……」
「そうだな、一緒の方が楽しいし、気持ちいいもんな」
 俺ももうすっかり、一緒の方がより良いはずだ信仰の信者だ。
 セラフィナのいない世界なんて考えられない。

 それにしても、どれだけの時間が経ったのか。途中寝てしまっているし、サッパリ分からない。
 ダンジョンはあと何階層あったっけ?
「トオル、あうっ……気持ち、いい……」
 セラフィナが俺の上でグニグニと腰を動かすと、もう、ダンジョンの事なんてどうでもよくなった。
 繋がっているだけで満足って、誰が言ったんだ?
 どちらかが動けば、沸き立つ快感にまた正気ではいられなくなる。
 終わりの無い無限地獄だ。いや、天国なのか?
 どっちでもいいか。
「セラフィナ、俺も、気持ちいいし」
「はっ、うっ……ああっ……」
 強めに腰を打ち付けると、セラフィナは身体を仰け反らせた。
「セラフィナが、気持ち良さそうだと、嬉しい」
 そう言って、突き出された胸に顔を埋めると、セラフィナは俺の頭を優しく抱きしめてくれた。
「私もっ……嬉しい……あっ、ああっ……しあ、わせっ……」
 下から突き上げながら乳首に吸い付くと、セラフィナのナカが一段と締まった。
「くっ、セラフィナ……また……出る……」
「ああっ、やっ……わたし、もっ……イ、クっ……ああっ……」
 どくどくとセラフィナのナカに欲望を注ぐ。
 正直、まだ出るのが不思議なぐらいだ。
 セラフィナもビクビクと身体を弛緩させ、俺のモノを受け止めてくれた。
 二人同時に果てるこの瞬間は、何度経験してもとてつもなく幸せだった。
 

「はあっ、はあっ……」
「ふっ……はっ……あうっ……」
 二人で倒れ込んで荒い息を吐いていると、周りがキラキラ光り出した。
「な、んだ?」
 起き上がって周りを確認すると、セラフィナの身体から光る粒子のような物が立ち昇っていた。
「セラフィナ?」
 なんだか、やっつけたモンスターのようなエフェクトに、俺は焦る。
「トオ、ル……光って、ます」
 俺もか。自分の身体を見ると、セラフィナと同じように光の粒が立ち昇っていた。
「これは、どう言う……」
 まさか、やり過ぎて死ぬのか?

「大変です。世界が、始まってしまいます」
 良かった。ただの時間切れだった。でも、待て。
「流石に、そんなに時間は経ってないだろ」
 ここに入ったのは夕暮れ時で、ダンジョン内は時間の流れが遅くなっている。
 まだ二日分ぐらいは時間が残っていたはずだ。
「もう、夜になったんだと思います。夜になれば、その日はおしまいです」
「おかしいだろ、それ」
 その日が翌日の営業開始時間まで続く所で働いていた俺には、受け入れ難い感覚だ。
「まだ、ダンジョン攻略が終わってないのに……」
 セラフィナは泣きそうな顔で俺を見つめた。
「それなら大丈夫だ」
「でも、アイテムが手に入らないと、近くの街に影響が……」
「このダンジョンで手に入る物は、どこまで行っても似たりよったりだ。催淫効果に避妊効果、男性向けの精力剤。第三階層までに手に入る物で十分だろ」
 想像力が貧困で良かった。
「そう、なんでしょうか」
「多分な。それより、セラフィナ」
 俺はセラフィナをきつく抱きしめる。
「もう、お別れなんだな」
「トオル……」
 世界の事より、今はセラフィナとの時間の方が大切だった。
「まだ、怖いか?」
 セラフィナは大きく顔を横に振った。
「また、会えるといいな」
 顔を近づけてそれだけ言うと、軽くキスをする。
 正直、こんな事にもなって、より一層離れ難くなっている。
「会えますよ?ずっと一緒と、言いましたよね?」
 セラフィナは不思議そうに俺を見つめた。
「私は神の意志に基づき世界を創る者。私が望めば、世界はその通りに創れます。あの、トオルも、ずっと一緒で、いいんですよね?」
「なんだそのチート。そうか、一緒か」
 俺は嬉しくなって、笑いながらセラフィナを押し倒した。

「あの、でも、記憶は失われますよ?」
 俺の頬に手を添えて、セラフィナが申し訳なさそうに言った。
「まあ、この記憶があっても、正直困る」
「そうですね」
 俺の言葉に、セラフィナは笑った。
 腕の中に囲ったまま、俺は笑うセラフィナを見つめる。
 例え忘れてしまうとしても、その目に焼き付けておきたかった。
 
「そうだ。望み通りに作れるなら、希望を言ってもいいか?」
「なんですか?」
「今度は、同い年ぐらいにして欲しい」
「若い方がいいんじゃないですか?」
「だから、そんな事無いって言っただろ……この年の差だと、ドーピングしないと体力が保たない」
 十歳以上の年の差は、ダンジョンのアイテムが無いと色々大変そうだ。
「よく、分からないけど、分かりました。他にもありますか?」
「もっと、イケメンにしてくれ」
 どうせなら、セラフィナに釣り合うような外見で産まれたい。
「トオルは、今のままでも素敵ですよ?」
 うっとりとした微笑みの後で、セラフィナからキスをされて、俺の心は舞い上がってしまう。
「セラフィナは、これ以上素敵になるなよ」
 キラキラと光る粒子の中、俺はセラフィナに深い口づけを落とす。
「セラフィナ、好きだ、愛してる」
「トオル、私も大好き、愛しています」
 新しい世界で出会っても、お互いの事は分からない。
 それでも、きっと俺はセラフィナを好きになる。
 いつかまた、こんな風に愛し合えたら最高だな。
「セラフィナ、また後で」
「はい、ちゃんと、見つけてくださいね」
「セラフィナもな」
「私は大丈夫です」
「俺だって自信がある」
 二人で笑い合うと、またキスをした。
 光となって消えるその時まで、俺とセラフィナは一つになって、何度も何度も唇を重ねた。


 俺は全ての記憶を無くして、どこかの肉体に宿るんだろう。
 それは、可愛い幼馴染に片想い中の平凡な青年かもしれないし、とある国の第六王女に振り回される冒険者あがりの騎士かもしれない。
 俺の隣にセラフィナがいるなら、どこの誰でも構わない。
 いや、願わくばイケメンであって欲しい。
 もっと強くお願いしておけばよかった。


 こうして、俺のダンジョン作りは終わり、そして世界は動き出した。
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